『バートン・フィンク』徹底解剖~エピローグ前篇~「大淫婦バビロン」
前回の「Qの証明」は面白かったな。
さあ♪かき鳴らせ♪証明の歌~♬
よう発見したわ、マジで。
なにげに映画解説史に名を残すんとちゃうか、このシリーズ。
『Q資料』で全てのピースが収まったよね。
最初っからバートンは、ゴーストライターになる運命だったんだ。『Q資料』の作者みたいに…
人類史上最も有名な聖典に、あんな隠された経緯があったなんて驚いたな!
そこ重要だよ。
コーエン兄弟は、エピローグに「そのネタ」を引用した。
へ?
では、この解説シリーズもエピローグと行こうか。
フィナーレも高らかに「証明の歌」をかき鳴らすぞ!
待ってました!ガンガン行くぞ!
リプニックの社長室シーンは、波の音でフェードアウトしてゆく。
そして例の「荒波と岩」が映し出される…
これは「つまづきの岩」ことイエスであり、ローマにて「教会の礎」となった使徒ペテロの象徴やったな。
なんでキリスト教って、重要なものが「岩」に喩えられるんだろうね。
もとになったユダヤ教が「岩」を神聖視していたからだよ。
アブラハムが息子イサクを神に捧げようとした「岩」の上に、ダビデは十戒の入った「アーク(聖櫃、契約の箱)」を置き、ソロモンは「エルサレム神殿」を建てた。
現在はその「岩」の上に「岩のドーム」が建てられている。
建てたのはイスラム教徒なんだけどね。イスラムの開祖ムハンマドは、大天使ガブリエルに導かれ、この岩の上から昇天して宇宙へと旅立ったんだ。
ああ、そうだった!
カズオ・イシグロの『日の名残り』徹底解剖で解説したよね!
執事スティーブンスの旅の目的地「コーンウォール」とは、壁で有名な「エルサレム旧市街地」のことであり、中心に踊り場がある回廊状の建物「ローズガーデン・ホテル」とは、「神殿の丘」に建つ「岩のドーム」のことだったんだ…
あのシーンで使われた名曲『ブルー・ムーン』で、月の色が「青から金に変わる」のも、2つのドームの屋根の色のことやった…
しかし中断したままのカズオ・イシグロ解説シリーズも、早よ引っ越し&再開させなあかんな…
noteからあっちへ引っ越しさせたいのは山々なんだけど、書きたいことが山ほどあって忙しいんだよね…
さて、映画『バートン・フィンク』では、この「激しく波に洗われる岩」が、最初と最後に象徴的に登場するよね。
まず最初は舞台がNYからLAに移る時。
ホテルのバーで話し込むバートンとガーランド氏の背後に「アーク」が映し出され、そこから突然「岩」のアップに変わる。
これはダビデがアークを「聖なる岩」の上に置いたことの引用だ。
なるほど!だからあんな風な「つなぎ」になっていたのか!
そして最後の場面に移るシーン。
リプニック社長のオフィスでのやりとりの後に「岩」がアップで映し出される。
バートンはリプニックに「所有物」扱いされ、これからずっと「飼い殺し」にすると伝えられた。
これはアブラハムとイサクの「父子関係」の引用だね。
そしてあの「岩」が映し出される。アブラハムが息子イサクを捧げた「岩」というわけだ。
ちなみに、バートンの「もふもふ」した髪型は、この羊のイメージだったんだよね。きっと。
うひゃあ…
髪型はともかく、あの「岩」にここまで深い意味が込められていたとは…
実はこの岩、映画の世界では「超有名な岩」なんだ。
誰でも知ってる「超有名作品のラストシーンに登場する岩」なんだよね。
わかるかな?
あの岩が超有名作品のラストシーンに出てくる岩!?
マジで!?全然見当もつかない!
実は、この岩なんだよね…
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