コーエン兄弟バートンフィンク31あ

『バートン・フィンク』徹底解剖~エピローグ前篇~「大淫婦バビロン」

前回の「Qの証明」は面白かったな。

さあ♪かき鳴らせ♪証明の歌~♬

第30回「BARTON FIN”Q”」

よう発見したわ、マジで。

なにげに映画解説史に名を残すんとちゃうか、このシリーズ。

『Q資料』で全てのピースが収まったよね。

最初っからバートンは、ゴーストライターになる運命だったんだ。『Q資料』の作者みたいに…

人類史上最も有名な聖典に、あんな隠された経緯があったなんて驚いたな!

そこ重要だよ。

コーエン兄弟は、エピローグに「そのネタ」を引用した。

へ?

では、この解説シリーズもエピローグと行こうか。

フィナーレも高らかに「証明の歌」をかき鳴らすぞ!


待ってました!ガンガン行くぞ!

リプニックの社長室シーンは、波の音でフェードアウトしてゆく。

そして例の「荒波と岩」が映し出される…

これは「つまづきの岩」ことイエスであり、ローマにて「教会の礎」となった使徒ペテロの象徴やったな。

なんでキリスト教って、重要なものが「岩」に喩えられるんだろうね。

もとになったユダヤ教が「岩」を神聖視していたからだよ。

アブラハムが息子イサクを神に捧げようとした「岩」の上に、ダビデは十戒の入った「アーク(聖櫃、契約の箱)」を置き、ソロモンは「エルサレム神殿」を建てた。

現在はその「岩」の上に「岩のドーム」が建てられている。

建てたのはイスラム教徒なんだけどね。イスラムの開祖ムハンマドは、大天使ガブリエルに導かれ、この岩の上から昇天して宇宙へと旅立ったんだ。

ああ、そうだった!

カズオ・イシグロの『日の名残り』徹底解剖で解説したよね!

執事スティーブンスの旅の目的地「コーンウォール」とは、壁で有名な「エルサレム旧市街地」のことであり、中心に踊り場がある回廊状の建物「ローズガーデン・ホテル」とは、「神殿の丘」に建つ「岩のドーム」のことだったんだ…

あのシーンで使われた名曲『ブルー・ムーン』で、月の色が「青から金に変わる」のも、2つのドームの屋根の色のことやった…

しかし中断したままのカズオ・イシグロ解説シリーズも、早よ引っ越し&再開させなあかんな…

noteからあっちへ引っ越しさせたいのは山々なんだけど、書きたいことが山ほどあって忙しいんだよね…

さて、映画『バートン・フィンク』では、この「激しく波に洗われる岩」が、最初と最後に象徴的に登場するよね。

まず最初は舞台がNYからLAに移る時。

ホテルのバーで話し込むバートンとガーランド氏の背後に「アーク」が映し出され、そこから突然「岩」のアップに変わる。

これはダビデがアークを「聖なる岩」の上に置いたことの引用だ。

なるほど!だからあんな風な「つなぎ」になっていたのか!

そして最後の場面に移るシーン。

リプニック社長のオフィスでのやりとりの後に「岩」がアップで映し出される。

バートンはリプニックに「所有物」扱いされ、これからずっと「飼い殺し」にすると伝えられた。

これはアブラハムとイサクの「父子関係」の引用だね。

そしてあの「岩」が映し出される。アブラハムが息子イサクを捧げた「岩」というわけだ。

ちなみに、バートンの「もふもふ」した髪型は、この羊のイメージだったんだよね。きっと。

うひゃあ…

髪型はともかく、あの「岩」にここまで深い意味が込められていたとは…

実はこの岩、映画の世界では「超有名な岩」なんだ。

誰でも知ってる「超有名作品のラストシーンに登場する岩」なんだよね。

わかるかな?

あの岩が超有名作品のラストシーンに出てくる岩!?

マジで!?全然見当もつかない!

実は、この岩なんだよね…

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