見出し画像

「シドニー・ポラック」『RAISING ARIZONA(赤ちゃん泥棒)』徹底解剖17 (最終回)

さて、引き続きコーエン兄弟『RAISING ARIZONA(赤ちゃん泥棒)』に隠されたベートーヴェン交響曲第9番『歓喜の歌(ODE TO JOY)』を見ていこう。

前回を未読の人はコチラをどうぞ!

今回もラストシーンに関する解説やさかい、ネタバレが気になるお友達は、ここまでにしといたほうがええ。

さて、『歓喜の歌』の4分から5分にかけてからやな。リズムが威勢のいいマーチ風になる部分や。


ここはわかりやすいね。

ハイの夢の中でネイサン・ジュニアがアメリカンフットボール選手になるところだ。

まずはクリスマスの朝、五つ子たちがプレゼントを開けるシーン。

Froh, wie seine Sonnen fliegen(ドイツ語)
Glad, as His suns fly(英語)
喜ばしき哉、主の星々は天を舞い(日本語)

「自ら輝く星々」を意味するドイツ語の「Sonnen」と英語の「Suns」が混じって「Sons」か!

実に教養溢れる駄洒落だ。素晴らしいね、コーエン兄弟は。

そして歌詞はこう続く。

Durch des Himmels prächt'gen Plan
Through the Heaven's glorious Plan
輝かしき計画のもと進んでゆく

ハイとエドが匿名でアメフトのボールをプレゼントするんだよね!

そしてネイサン・ジュニアは高校のアメフト部でスター選手になるんだ!

まさにハイが描いた「輝かしき計画」通り!

その通り。そして歌詞はこう続く。

Laufet, Bruder, eure BahnHasten,
Brothers, on your way
走れ兄弟よ!己の道を突き進め!

映画もこのまんまだね(笑)

かなりディフェンスのタックルがヘボかったけど、ネイサン・ジュニアはゴールに向かって一直線に突き進んでたな!

そしてタッチダウンを決め、なぜかユニフォームのデザインが違うチームメイトたちに祝福される。

その理由は前に説明したね。コーエン兄弟がユニフォームに仕込んだ秘密については第14回をどうぞ。

タッチダウン後のシーンは、『歓喜の歌』のこの部分や!

Freudig, wie ein Held zum Siegen
Joyfully, as a Hero to Victory
喜びに満ちて、勝利を手にする英雄のように

まさに夢の中のネイサン・ジュニア(笑)

ここから『歓喜の歌』は1分40秒ほど歌の無い「間奏」となる。

映画でのハイの夢も、ここでいったん区切りとなったよね。

ハイの語り:しかし俺とエドの未来は夢に現れなかった…。結局、最後まで…。だけど奇妙な光景が見えた。とても朧げで、遠い遠い時代のことのようだ…。その老夫妻は玄関で、子供たちや孫たちがやって来るのを待っていた…

その語りと同時に、ドアの前で待つ老夫婦の姿が映し出される。

そして前方のドアが開くと、明るい光が差し込み、老夫婦の二人の娘や孫たちの姿が現れるんだ…

<続きはコチラ!>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?