カズオ・イシグロ『夜想曲集』徹底解説

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「決して聴こえない主題の謎」~『夜想曲集』#3「モールバンヒルズ」~カズオ・イシグロ…

そして、歌のことを考えろ、と自分に命じた。まだしっくりこないパッセージのことを… おしまい。 え?それでおしまい? なんか妙なハナシやったな… 第1話や第2話に比べると、ちょっと空気感が違う気がする… あれだけたくさん登場した歌のタイトルがひとつも出てこなかったし… 主人公の名…

「マロニエの花、咲き乱れる頃」~『夜想曲集』#2「降っても晴れても」~カズオ・イシ…

さて、主人公レイモンドと人妻エミリの二人による「交合ストーリー」における『ラバーマン』の意味を解説しよう。 前回を未読の人はコチラへ! レイモンドは、サラ・ボーンの『ラバーマン』を聴きながら、目を閉じて昔のことを思い出す。 およそ三十年前の大学時代のこと、エミリの部屋で「レコー…

「シヴァとリンガとハイファイセット」~『夜想曲集』#2「降っても晴れても」~カズオ…

し、シヴァ!? そう。多くのヒンドゥー教徒に最高神として崇められているシヴァだよ。 イシグロ&土屋政雄氏ふうに言えば「ヒンズーのシバ」だね。 第2話のタイトル『Come Rain or Come Shine』っていうのは、主人公レイモンド(愛称レイ)が「シヴァ」であることのジョークでもあるんだよね。 …

「サラ・ボーンのLOVER MANとパリの四月」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖…

四つん這いで「犬」になりきり、「雑誌」に嚙みついていたレイモンド… 会議を切り上げ帰宅して、その姿を見てしまい、戸口で立ちつくすエミリ… 前回を未読の人はコチラ! さあ、ここからが小説も解説も正念場だ。 お手並み拝見といこうか。 へ? 実を言うと、ここから「3つ」の物語が同時進…

「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖…

しかし驚いたな。 イシグロが短編『降っても晴れても』の中に潜ませた『スペイン革のブーツ』に、あんな意味があったなんて… しかもそれだけではなく、松本隆のパクリ疑惑まで晴らすとは… お前ら大丈夫か? あくまでオッサンの「推測」に過ぎんハナシやで? このシリーズ全般に言えることやけ…

「スペイン革のブーツってどんな意味?」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖…

さて、ボブ・ディラン『スペイン革のブーツ』の歌詞に込められた本当の意味を解説しようか… その前に、前回を未読の人はコチラ! しかしホンマかいな。 男女の「別れの予兆」を切なく歌い上げた名曲『スペイン革のブーツ』が「裏切り者を十字架にかける」歌やったなんて… ホントだよ。「愛」の…

「ぼくたちの失敗」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖・第63話

さて、居間を物色したレイモンドは、キッチンへ向かった。 それにしても居間で発見した3枚のCDの秘密には驚いたね! まさかあんな暗号になっていたとは! 特に「フレッド・アステア」は、サブイボMAXやったで。 有り得ないよな… 何度も言ってるだろう。 イシグロ文学においては「有り得る」…

「イシグロの暗号」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖・第62話

さて、どんどん進めるよ。 前回を未読の人は、こちらをどうぞ~ 主人公の「ぼく」ことレイモンドとチャーリーがフラットに戻ると、エミリが「フィナンシャルタイムズ」を読んでいた。 エミリを見て「ぼく」は驚く。以前よりかなり太ってて、口元がブルドッグみたいだったからだ。 ひでえな(笑)…

「ロンドンって、どこ?」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ徹底解剖・第61話

じゃあ第2話『Come Rain or Come Shine/降っても晴れても』の解説を始めよう。 登場人物は、この三人。こんな役割になっていた。 前回を未読の人はコチラからどうぞ! しかし衝撃的だったな… せやな… まだサブイボ立っとるわ。 冒頭に提示された4曲の「出だしのフレーズ」によって、この…

「エミリー・エミリー&メリイ・クリスマス後篇」~『夜想曲集』#2~カズオ・イシグロ…

め、メリイ・クリスマス? そう… カズオ・イシグロの短編『Come Rain or Come Shine/降っても晴れても』は、太宰治の『メリイ・クリスマス』という短編を元ネタとして書かれているんだ… 前回を読んでない人にはチンプンカンプンだな。 まずはこれを読んで、衝撃の展開に備えたほうがいいぞ。 …