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⑥傷心未練

Aさんと終わって、私は暫く彼を引きずった。

それはもう未練タラタラだった。

なんといっても私にとっては人生初の大恋愛だったのだから。

友人にも終わったことを告げ
叱咤した人も、心配してくれていた人も、一緒に泣いてくれた人も
皆そろってお疲れ様と言ってくれ
沢山遊びに誘ってくれた。

しかし、私はなかなかAさんを忘れられずにいた。

紹介をされても、合コンに行っても、Aさんと比べてしまう。



そんな時、バイト先の社員Bさんと飲みに行った。

丁度、私とAさんの間くらいの年齢のひとで
とても面白く、優しい良い先輩だった。

なんとなく最近、私の元気がないからと誘ってくれたのだった。

お酒も入り、私は最近大失恋をしたことを話した。
相手の詳細は勿論伏せて。

その彼が忘れられないと。

Bさんは、口を挟むわけでもなく
ずっと私の話を頷きながら聞いてくれた。

そして、帰りにタクシーに乗せてくれた時

「気を紛らわせたいときは付き合うから!元気だしな!」

そう言って、タクシー代を手に握らせてくれた。



それから、ちょくちょくBさんは私を誘ってくれた。

ご飯、映画、ゲーセン、カラオケ、ドライブ

Bさんと過ごす時間は楽しかった。

ある日遊びに行った帰りに
車の中でBさんは私に付き合ってほしいと言ってきた。

Bさんが私に気があることも、薄々は感じていた。

しかし、私は失恋し、まだ彼を忘れられないことも伝えていたので
彼もそれをわかってくれていると思っていた。

私は、正直にまだ彼を忘れられないのでBさんとは付き合えないといった。

Bさんは、

それでもいい
今は忘れられなくても、付き合っているうちに忘れる日が来るからと

私を抱きしめてきた。

Bさんに抱きしめられ、抵抗しようとしたが

Aさんを忘れられる日が、そんな日が来るのか

毎日、Aさんの事ばかり考えている私は
そんな日が来るとは思えなかった。

しかし、忘れられるなら忘れたい
辛い毎日から抜け出したい

楽になれるのなら…

私は、辛さから逃れたい為に
Bさんに抱きしめられる事に抵抗するのをやめた。

Bさんはそれに気づき、強く私を抱きしめた。
軽くキスをされ、そのままBさんの部屋へ行った

展開が早いな、ただやりたいだけだったのか
と思ったが、Bさんは

「好きな女を抱きたいと思うのは当然だろ」
といった。
それに俺は本気だからと。


Bさんは、とても良い人。

Bさんと付き合って
Aさんのことが忘れられれば…




そう思って挑んだが





BさんはあまりSEXが上手くなかった。


Aさんが上手すぎたのかもしれないが
全然気持ちよくなかった。

別にSEXの上手い下手で、人を好きになるわけではないが、未練がある今、どうしても比べてしまった。


Bさんに抱かれながら、
私はますますAさんのことを考えていた。


忘れたいと思って進んだのに
逆にAさんを強く思い出す結果になってしまった。




つづく

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