見出し画像

⑯拗らせ年上女 VS マイペース年下男

年下Dくんとの、突然の2人お出かけから数ヶ月。
私たちはそれ以上、特に発展しなかった。

仕事帰りに数人で飲みに行く回数は増えたが
そこまでで、
私が勇気を出して休日の飲みに誘ったりもした。

Dくんは結構フッ軽で、予定が空いていれば急な誘いでもOKしてくれた。

2人で飲みに行って、ダーツやカラオケに行って
最寄り駅まで送ってくれて
でも、それまでだった。

そんなある日、いつものメンバーで飲んでいると
珍しくDくんが酔っていた。

上機嫌でニコニコして
3次会に行こう!と提案したが、
みんな次の日も仕事だから帰ろうと言った。

Dくんは少しションボリしながら、
私に言ってきた。

「澪さん、皆説得してくださいよーーーー」

普段クールなDくんの駄々こね姿


かわいい


何とかしてあげたかったが
皆も疲れているだろうし
今日は帰ろう?となんとかDくんを宥める。

諦めたのか、Dくんは
そこからはいつもの調子に戻った。

お会計をして、大通りでタクシーを捕まえ
目上の人から乗せて見送っていた。


酔っても、酒に飲まれず
そういうところちゃんとする所もいい

そう思いながらDくんを眺めていた。


そこへ、先輩が1人私に話しかけてきた。


「澪さん、▲▼方面だよね?俺もそっちだから相乗りして行く?」

『あ、そうですね。そうしましょうか』

割り勘、もしくは先輩が多く出してくれるかも…
セコイ考えで私は相乗りをOKした。


「おーいD!次は俺と澪さんね!▲▼方面!」

先輩はDくんにそう伝えた。

Dくんはタクシーを捕まえ、先輩を先にタクシーに乗せた。
私もそれに続いてタクシーに乗る。


『Dくん、ありがとう。お疲れ様ね』

「………」

私の問いかけに答えず
Dくんはドアを開けたまま
運転手に向かってこう言った。



「運転手さん、▲▼方面に1人お願いします」

「『え?』」

私と、一緒にタクシーの乗った先輩の声が揃った。


その瞬間Dくんは私の腕を引っ張り
タクシーから降ろした。

そして直ぐにタクシーの扉を閉めて


「先輩、お疲れ様でした!」

そう言ってタクシーと先輩を見送った。
私の腕をつかんだまま。





『なんで?』

「なんでって、俺はまだ澪さんと一緒に居たいから」


『またまた…酔っぱらいの戯言を…』

「もう酔ってない」


『もう一軒行きたいの?』

「行かない」


『なにそれ、ほら、じゃあ帰るよー』

「澪さんはあの先輩と帰りたかったの?」


『?????』

「澪さんは周りが自分をどう見ているかわかってない」


『どういう意味?』

「先輩と同じタクシーで、今みたいにタクシーから降ろされたらどうすんの?」


『そんなのあるわけないじゃんw』

「その場の雰囲気で先輩の誘いに乗ってたかもよ?」



『好きじゃない人の誘いには乗りませんー』

「じゃあ俺は?」




ん???


『…なに?』

「俺の誘いだったら、断らない?」

そう言ってD君は
つかんでいた私の腕を更に自分の身体に引き寄せ
私を抱きしめた。


私は今まで自分より5センチ位しか
変わらない身長の人ばかりと付き合ってきた。

なので知らなかった。

身長の高いDくんに抱かれると、
Dくんの胸にすっぽりと包まれることを。


細身だが筋肉質なDくんの身体は
とても気持ちがよかった。


「もう一回聞きますよ。
俺の誘いだったら、どうします?」


私はドキドキして答えられなかった。

だってDくんが私を抱きしめている?

あんなに誘っても何も進展がなかったのに?

いつも私から誘っていたのに?

どうして急に???????



答えられずにいると、
Dくんは私を抱く腕の力を少し強くした。



「じゃあ…帰るか、俺の部屋に来るか
どっちか選んでください」


抱きしめられながら、囁かれたDくんの声が
とても色っぽくて

私は一気にスイッチが入った。



もう駄目だ

もう止められない

だって好きな男が私を誘っている

しかも、あのDくんが



私はもう覚悟を決めた。

『部屋、行こ』

私がそういうと、Dくんは少し間をおいて

「ありがとうございます」

そう言って私の肩を抱き、
Dくんのマンションへと向かった。




つづく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?