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⑪遅すぎる後悔

Cくんは、私としか寝ていない。


それがなんだというのだ
むしろ体目的が明確ではないか。

しかしその頃の私は
Cくんのその言葉に救われていたんだと思う。

自分の方が Cくんに必要とされていると
なんとも浅はかだった。



そんな馬鹿女には、やはり天罰が下る




ある日、いつものように会社の帰りに
Cくんと待ち合わせをして
Cくんの家に行った。



ご飯を作ろうと立ち上がると、
Cくんは私の手を掴んだ。



「話があるんだ」


真剣な顔でそう言うCくん。


嫌な予感がした。


重苦しい雰囲気に胃がキリキリ痛んだ。


長い沈黙の後、Cくんが口を開いた。








「彼女が妊娠したから結婚する」



目の前が真っ白になった。

結婚

彼女

妊娠

SEX


その言葉だけが頭の中でぐるぐると回った。

『彼女とはしてないって言ってたよね?
それに、暫く会ってないのにそれ本当にCくんの子なの??騙されてない?』

「…長期休暇以外にも会ってたし…SEXもしてた…ごめん…それに、彼女は浮気するような人じゃない…俺の子で間違いないよ…」



“澪ちゃんとしかしていないよ”



なんだったんだ、私の気持ちは。

なんだったんだ、あの時間は。

簡単な嘘に騙されて

勝手に信じて、浮かれて、利用されて

確かに私が悪いが、C君も悪い。



私はキレた。


Cくんの胸ぐらをつかんで壁に追いやり
Cくんの頬を思いっきり平手で殴った。

『人の事なんだと思ってるの?ふざけんな!!!!!!!』

その後も罵声を浴びせながらクッションやティッシュ、携帯にキーケース、目につくもの全てCくんに投げつけた。


自分が悪いのに
怒りをすべてCくんにぶつけた。

何時間も泣いて叫んで暴れた。

Cくんはずっと「ごめんね」と謝り続け、おとなしく私の怒りを受けていた。


何時間経っただろう。


疲れてその場に座り込むと、Cくんは私を強く抱きしめた。

「本当にごめん澪ちゃん…本当にごめん…」

何度も謝るCくん。

ああ、私の事はもういらないんだ。

謝るくらいなら最初からやらないでよ。

残ったのは、また1人になるという悲しみだけ。

彼はもう私とは二度と会わないだろう。



私は無言で立上りCくんの部屋を出た。


「ごめんね、澪ちゃん、ごめんね」


最後までCくんは謝っていた。


何度も謝ってきたCくんは一見優しく見えるだろう
しかし、全て大嘘だった。


Aくん同様、クズ男に私は再び傷つけられた。


人のものに手を出した代償。


それを再び身を持って実感した。



どうしてフリーの人は好きになれず
人のの彼氏にハマるのか?

良い男には彼女が居るから?

人の物がよく見えたから?

私は普通の人を好きになれないんだろうか?

私は幸せになれないんだろうか?

私は恋愛に向いていないんだろうか?

恋愛するたびに悲しい思いをする。

こんな事になるなら、Cくんと再会なんてしたくなかった。

私はまた、一人ぼっちになった。


つづく

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