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E22:すぱげてぃとケチャップ

キッチンをゴソゴソ捜索したら
ピーマン、玉ねぎ、しめじ、ウィンナー…。
正直言ってあまりレパートリーのない僕は、ここで大体メニューが決まってしまう。

久しぶりにナポリタンを作った。

※※※※

ナポリタン

初めて食べたのは…45年前くらい?
大阪の大病院の食堂
子どもにとって決して楽しくはない「検査」を終えた後のささやかなご褒美。
かけ過ぎると叱られるので、遠慮がちに「粉チーズ」
決して「パルメザン」などとと言うなかれ……。

口を拭かずに食べては
当時流行った、口裂け女のマネして
「アタシ、キレイ?」
子どもなりに、沈んだ表情の母親を気遣ってみるが、それは、なかなか伝わらない。
慌てた母親に口の周りをゴシゴシ拭かれる…。

まぁ、いいや。
それで母さんの気が紛れるなら。
母親を独占できる、大事な時間。
美味しかったけど、ケチャップ濃いめだったな。

外でケチャップ濃いめのナポリタンに出会うと
なんだかちょっと胸が痛い。

何故だか
一人暮らし時代は、自分で作らなかった。

※※※※

「源ちゃん、ナポリタン作ってよ」

そうそう。そうだった!
ツレがそう言ったから、作り始めたわけで。

そんなわけで、自作ナポリタン。
主役であるはずのケチャップはちょっと少なめ。

そのかわり炒める段階で、バターとシャンタンデラックスを入れて、玉ねぎをしっかり炒め、ベースの味付けをしておく。そのあとケチャップとピザソースが大さじ2杯ずつ。ウィンナー、ピーマンとしめじは後から入れて、炒めはほどほどに…。
固めに茹でたパスタを絡めるともう出来上がり。
手抜きメイン完了。

冷凍ブロッコリーを手早く解凍して、クリームチーズを小さく切って上に広げる。あとは鰹節と醤油をお好みで…。プラス柚子胡椒。
手抜き副菜完了。

毎度、手抜きでゴメンよ〜。
あ、ちょっと量多かったかな?
という心配をよそに、みるみる減っていく目の前のナポリタン。
「何か、改善点は?」
「ううん。美味しかった、ただ…」
「うん? ただ?」
「もう少しケチャップが効いてると嬉しいかも」
ツレが遠慮がちに呟いた…。前から思ってたのかもしれない。

うぬ…。お許しを。
諸般の事情により、僕はケチャップ多めにすると
泣けてくるのであります。

しばし、考え込んで、ハッとする。
「あ、写真撮るの、忘れた!」

(というわけで、甘く切ないあの頃を思い出す、素敵な絵を使わせていただきました。記憶に残るテーブルクロスの柄がよく似ています。)


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