E32:「悪くない」のに、頭を下げ合うのも「悪くない」

昨日は通信障害で大変だった人も多かったのではないでしょうか。
僕もau回線です。
外に出ていた方は、いろんな場面で苦労されたのでは。
頭が下がります。
特にショップ店員の方、本当にお疲れ様でした。
ただいま心身とも疲労困憊では、と推察します。
ゆっくりおやすみください。

家で仕事をしていたら、Wi-Fiが繋がるので
僕はなんとかなりました。

ただ、１つだけ困ったことがあったのです。
「大事な荷物が届かない」
その荷物が来ないと、ちょっと困ったことになります。

きっと現場も大混乱だろうから
こちらから確認することはしません。
携帯を横に置いて、連絡を待ちました。

「あのねえ、そこにはかかってこないよ」
ツレが冷静に言いました。
「へ？……あ、そうか」
「しっかりしてよ」
しっかりでけたら、うっかりせんわ！
新喜劇「竜じぃ」のギャグ、そのまんまです。

僕にはこういうところがあります…。

ともかく
待ちました。

夜９時を回った頃、待望の荷物が来ました。
インターフォンのカメラ越しに
何度も何度も頭を下げる、ドライバーさん。
見ていてこちらが申し訳なくなりました。

ド「遅くなって本当にすみません！」
源「いえいえ、今日は大変だったでしょう？」
ド「はい、かなり混乱しておりまして。お客様の何人かは連絡もつかなくてですね…」
源「あ、え？　ひょっとして私にも何回か電話を？」
ド「……はい、差し上げましたが、繋がらなくて」
源「うわー、すみません！au回線なもので！！」
ド「いえいえ、今日はそういう方、たくさんいらっしゃいますので」
源「大変だったでしょう？　今日はこれで終わりですか？」
ド「いえ、まだあと何件か…」
源「うわ、早く行ってくださいね。ごめんなさい！」

玄関先でおじさん２人が
交互にペコペコ頭を下げ合う
ちょっと面白い図ではあります。

玄関のドアを閉めながら、ふと思いました。
「でも、２人とも、何も悪くないんだけどな…」

そこには「お互いを気遣う」
そんな、優しい時間が流れていました。

お読みいただき、ありがとうございました。
【エッセイ　32】