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問わず語り

「絶滅危惧職、講談師を生きる 神田松之丞」

2017年に刊行され、2019年に文庫化。 
インタビューをまとめたような作品で、改めて伯山さんの魅力を知ることができる。
松之丞時代で、まだ真打ち昇進前の様子も伺え、この2017年から2019年という飛躍と時間のながれでも楽しめる。

ラジオでのバカ話の間に挟まる、講談はもちろん芸事に対する真摯な姿勢とその思い。ただ自分の寄席にきてほしくてやってるとか、いわゆる売れたくてテレビでてるっていうところじゃない部分。
ひどい弟子っぷりもあるけど、改めてただもんじゃない。あの猫背に背負ってるものの大きさも考えさせられる。

巻末にしっかり伯山という名跡をたどる話も伯山さんらしい。

で、さらには師匠の神田松鯉の魅力たるや。
めちゃくちゃ泣かせるストーリーというわけではないが、何度か目頭が熱くなった。
先日、御披露目公演にも足を運ぶことができた。
はじめて師匠もみることができた。
そのせいもあるかもしれない。

御披露目公演の重みやあの場に師匠も姉弟子さんもいらしてともに頭をさげてくださるあの空気。

講談の入り口が、神田松之丞、伯山であったことが、実は正解というか、よかったのか悪かったのかはまだわからない。
でも少なくとも、芸事に対する向かい方だとかなんだかんだハードルが高い位置にもってかれたのは間違いない。
漫才であってもコントにしても落語にしても、それ以外のエンタメにしても、いやエンタメに限らないか。

全然、講談の魅力を語れるわけではないけれど、はじめて松之丞時代にみたときの、熱量に感動したのとか、はり扇の心地いい刻みはおすすめしたい。
音楽が好きな人、やってる人はこのリズム感みたいなのも楽しめるんじゃないかと思ってる。 

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