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崖っぷちスタートアップが資金調達で壁にぶつかりまくった話

スカイディスクはこの度シリーズCエクステンションラウンドとしてエクイティ/デット合わせて8億円の資金調達を発表しました。
夏頃までにトータル10億程度の調達となる予定です。

正直金額的には特段目を引くような規模ではないのですが、かなり難しいファイナンスになったので、どなたかの参考になるかもと思い赤裸々に残します。

今回の資金調達のポイント

今回、エクイティでの調達については、4年前のシリーズCラウンドと同じバリュエーション、同じ条件で調達を行っています。4年ごしのエクステンションラウンドという位置づけです。
投資家としては、既存投資家のDG Daiwa Venturesに3度目のフォローで入ってもらったのに加え、新規で金融機関系のVCなどに入ってもらう座組みになりました。

加えてベンチャーデットという形で日本政策金融公庫、あおぞら企業投資にも入っていただきました。

全国の製造業のお客様に対する接点を増やしていく狙いもあり、全体として金融機関に多く入っていただいたシリーズです。

資金調達直後のターンアラウンド

前回ラウンド時点でスカイディスクはAIの受託開発をメインにしている会社だったのですが、競争が激しくなる中で資金調達から半年経過したタイミングで方針転換が必要な状況に陥りました。

代表の書いた4年間の軌跡はこちら↓

ゼロからSaaSプロダクトを立ち上げてリソースをそちらに大きく寄せて今に至るわけですが、ターンアラウンド決断時にはバリュエーションが大きく落ちていたのは間違いありません。

フルラチェットのシガラミ

という状況で、SaaS開発に明け暮れていた2022年に入る頃にはランウェイもかなり短くなっていましたので、普通に考えれば「腹を括ってダウンラウンド」となるのが最善の策となりそうですが、壁が存在しました。
それが「フルラチェット方式」条項の存在です。

~フルラチェット方式とは~
希薄化防止条項における株数算定の方式の一つです。
後のラウンドでより低い価格での調達(ダウンラウンド)を行った場合に、先に入った投資家が不利になりすぎないよう、既存投資家の株数を調整するのが希薄化防止の概要です。その中でもフルラチェット方式というのは最も既存投資家に有利(経営株主に不利)な方式とされています。
具体例を挙げると、シリーズAを1株10,000円で発行したのち、シリーズBで1株5,000円となった場合、シリーズAの株主も5,000円で買ったように調整し、株数が2倍になります(!?)

スカイディスクは過去のラウンドでフルラチェット方式での調達を行っていました。
フルラチェットの適用となると、資本政策上も厳しかったですし、そもそもフルラチェット方式じゃないラウンドで参画している株主との調整が現実的ではありませんでした。

というわけで、絶対フラットラウンド宣言が発令されたのです。

キャッシュが尽きる前にターンアラウンドの前のバリュエーションまで事業価値を高められるか。
お金もない、事業もない、でもバリュエーションだけある、という状況は、スカイディスクにとっても投資家にとってもムリゲーでした。

SaaSローンチ前の時点では「半分のバリュエーションでも高すぎる」と言われていたそうです。
事業価値が追い付くまでの間は補助金でキャッシュを作ったり、徹底的なコスト削減をしたりと本当にあの手この手だったと聞いています。

地方発スタートアップだから?

私がジョインしたのは2022年12月です。
なんとか事業が立ち上がり、むしろ爆速で伸び、という反撃フェーズでした。ドライパウダーの状況や、累積投資金額・回数の問題などで既存投資家主体で座組みを作るのも難しい状況でしたが、DGDVや複数の新規の投資家が手を挙げてくれたおかげでラウンドのベースは見えてきていたタイミングです。
株式公開前のラストファイナンスにできるよう、事業に集中できるだけの資金確保とそれを後押ししてくれるプレイヤーとの座組みを作ることが当座のミッションでした。

とはいえラウンドをまとめる前にキャッシュの不安が先にくる状況でしたので、まずは日本政策金融公庫やあおぞら企業投資といったベンチャーデットの出し手と話を進めて足元のランウェイを伸ばし、エクイティ/デットの比率は都度調整しながら出来上がりを考えていきました。

最適ワークスの成長もあって多くのVCさんと前向きにお話しはできたのですが、そこからも辛い戦いは続きました。

単純にARRとバリュエーションがあっていないというフィードバックは多かったです。〇億円だったら、など。そのたびにダウンラウンドでの調達を何とかできないかと考えました。。。

他にも、いくつかのVCさんからなぜ福岡なのかということを入念に聞かれたのですが、ダイレクトに「福岡にあるというだけでバリュエーションをディスカウントせざるを得ない。東京に移れないのか?」と言われたこともあります。
これを言われたときは本当に衝撃的でしたし、経営メンバーとして納得いきませんが、だからこそ燃えたという側面もありました。

超変則フラットラウンドというスカイディスクの状況も理解頂き、成長確率を上げるために出資をきめてくれた投資家のみなさんには感謝しています。


ちなみに今回の調達、シリーズCとして規模が大きいファイナンスではないのですが、実は九州のソフトウェア系スタートアップの調達としては割と大きく、地元のメディアからの注目度は高かったです。
(そういう意味では東京と地方とのギャップというのは存在している部分もあるんだろうなと思ってしまいました。悲喜こもごも。)


約8億調達時点でリリースへ

今回の資金調達では、
・足元のランウェイの確保
・ついでに株式公開までのランウェイの確保
・最適ワークスの事業を加速させるプレイヤーとのパートナーシップ
という3つの目的がありました。
結果的にはそれを全て達成できるいいラウンドになったと思っています。

足元の事業加速には資金調達PRが必要だと判断し、プレクローズの状態でリリースを行いました。足元ではまだいくつかの投資家さんと話を進めていて、夏頃にはトータル10億程度の金額でクローズする予定です。

資金調達後の展望 
~SaaSの黒字化にどれだけのキャッシュが必要か~

調達資金は成長投資、すなわち組織拡大とマーケティングに投下していきます。ただし、かなりバランスを意識した計画にしています。

SaaSバブル崩壊以降、「投資の資金効率」やら「収益性と成長の両輪」やらといったキーワードが重視されるようになりました。
これは本当にその通りで、そもそも、資金が無限にある前提で黒字化するまで永遠に投資するというスタイルは、調達市場に左右されるという点で不確定な要素がありました(資源が有限な状況でのマーチンゲール法みたいな)

その点、スカイディスクは、PMF直後から黒字化にこだわっていきます。

赤字化における拡大再投資のサイクルは本当に突き抜けた規模にならないとユニットエコノミクスを成立させることができません。
そのステージに合わせたコスト構成で黒字化しながら成長投資をしていくというシナリオをバーティカルSaaSでチャレンジしていきます。


というわけで、スカイディスクでは全職種積極採用中です。
スカイディスクのストーリーや今後の目指す戦略に少しでもご興味ある方はぜひ一度カジュアルにお話ししましょう!

YOUTRUSTでカジュアル面談も実施しています。少しでもご興味を持たれた方はぜひお話ししましょう!
(コンサル云々書いてますが、それ以外の方でもカジュアルな情報交換大歓迎です!)
https://youtrust.jp/recruitment_posts/b2d8038c9ba0abddf6746148b2fc8d4a

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