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対話の要件

対話が生まれる要件とはなんだろうか。ひとつには、パターン・ランゲージ「対話のことば」で記述されたような心的態度を参加者のそれぞれが意図的に実践することだろう。

ふたつめの要件は参加者の動機だろう。もちろん、その動機は参加する人ごとに異なる。明示的かもしれないし、曖昧かもしれない。必要性かもしれない、期待かもしれない。

いずれにせよ、その場にいるという事実は、参加者による関与・寄与の間接的な意思表明となる。対話という文脈でいえば、何かを話したいという気持ち、聴きたいと思っている気持ちが存在することを意味する。

3つ目の要件は、結論に対する暗黙の了解かもしれない。対話は議論とは異なる。対話によって生まれるものはかならずしも結論を意味しない。その了解こそが、対話を生むための要件のひとつとなる。

心的態度、動機、了解は、対話の分かりやすい必要条件といえる。では、これ以外に必要なものはないのか。難しい問いだ。人によってその答えは異なるだろう。

私は、第4の要件として【発見】をあげたい。【発見】を希求するからこそ、最初の3条件は満たされる。【発見】への期待があるからこそ、対話というプロセスが進行する。

【発見】とは情報の格差を埋めることではない。もちろん、情報の格差が埋められるときにも人は驚きを感じるし、そこに喜びも存在する。人はそのような情報の生き物だからだ。しかし、情報の格差を埋めるだけであれば、対話は必要ではない。一方向の情報の流れが存在すればそれでよいからだ。

参加者相互の情報のやり取りが集団の中での新たな意味の獲得につながるとき、対話は【発見】のプロセスとしての意味を持つ。すなわち、対話は【発見】によって、それ自体を成立させる。

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