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変化の予兆:いまなぜ福祉・介護の分野でZoomなのか。

認知症に関わるウェブメディア「なかまぁる」の記事の中で、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ(DFJI)が行っている「Zoom練習会」についてもご紹介いただいた。

各地の認知症カフェを取材してこられた コスガ 聡一 (Soichiro Kosuga)さんが、愛知県の田中恵一さんのカフェを取材されたのがきっかけ。そして田中さんはDFJIの「Zoom練習会」を応援してくれている。

DFJIでは、2017年の夏からすでに2年半以上、Facebookグループ「DFJI-Zoomカフェ」という名称でZoomの練習会を行ってきた。

「DFJI-Zoomカフェ」で行った練習会や関連する打合せは、2020年5月7日時点で439回になる。平均5人が参加してくれたとすれば、延べで2,000人を越える。練習会にはもっと多くの人が来てくれているので、DFJI関連だけで考えても、日本で延べにして3,000人以上の認知症に関連のする人たちが既にZoomを使ったことになる。そして最近のZoomの使われ方を考えれば、さらにその数は多くなるだろう。

新型コロナがオンラインミーティングの大きなきっかけになったのは間違いがない。しかし、忘れてはいけないこと、そして本当に大切なことは、オンラインツールという道具を認知症の分野に活用できるだけの下地を持った人たちが、すでに十分にいるということだ。

英国では、認知症の当事者グループの人たちがZoomを使ってそれぞれの地域を越えて意見交換を行っている。日本でも同じだ。英国だからということはない。多くの人が既存の考え方に囚われてしまって「できない」と思い込んでいるが、その人たちの目に触れていないだけで実際にはいろいろな取組み行われ、新しい関係が生まれている。

ドイツの詩人リルケは下記のような詩を書いている。

あなたが思い描くものに命をあたえなさい 
それは生まれることを待っている未来 
未知の感覚を恐れてはならない 
はるか前から未来はあなたの中にある 
ただそれが生まれるのを待ちなさい 
新たな明かりに満ちた時のために

認知症の当事者や家族や関わる人たちが、地域の枠組みを越え日本中でつながることができたらと想像してみたらどうだろう。

もちろん、世界はそんなに簡単には変わらないかもしれない。けれども、何かのきっかけで変化が起きることもある。2020年の3月から6月にかけておきたこと、そしてこれから起こるかもしれないことはそのポジティブな部分かもしれない。

2018年の12月に朝日新聞でZoomに関する記事を認知症というキーワードとともにDFJIの活動が掲載された。手前味噌になるが、大手新聞社の紙面でZoomという言葉が初めて取り上げられたのは、実は認知症に関してのことなのかもしれません。

変化は起きる。そして「変化を起こすために私たちはある」と考えることも可能ではないだろうか。少なくとも私はそれを信じている。

訪問していただきありがとうございます。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。