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借金発覚 第25話「2度目の父との対決 後半・儲け話編」

0〜24話までのあらすじ

五十二歳で大手生保を早期退職した父は、退職金を元手に怪しい投資ビジネスを開始するが、一年も経たないうちに退職金は蒸発。一家は貧乏暮らしに転落。それから十八年後のある日、父の隠していた借金が発覚し、兄弟たちで大騒ぎになるが、「もうすぐ大金が入るから」と父は自己破産を拒否。そんな中、十四年間失踪していた三男が見つかり、三男は母との再会を果たす。その折、次男は実家で父の怪しい投資ビジネスの書類を押収し、詐欺色の強い書類の山に呆れ返る。そして2回目の父との話し合いの日がやってきた・・

主な登場人物

父・・・大手生保の営業マンだったが、五十二歳で早期退職。
母・・・農家出身で看護師。メンタルが弱い。
長男・・・五人兄弟の長子。既婚。地方都市に住む。
次男・・・五人兄弟の二番目。既婚。本書の主人公。
長女・・・五人兄弟の三番目。既婚。
三男・・・五人兄弟の四番目。独身の一人暮らし。
次女・・・五人兄弟の五番目。独身。父母と唯一同居。

後半の話し合いは投資ビジネスについて

「じゃあ、後半の話に移っていいかな」
僕が手元の資料を見てくれるよう促した。
「後半は父ちゃんが今までやってきた、そして今やっている投資ビジネスについて話し合いたい。知りたいのは、次のページにある質問」

次のページには、僕が用意した以下の質問が書かれていた。
・今までどんなビジネスに携わってきたのか?
・何に、いくら使ったのか?
・誰に、いくら使わせたのか?
・結果、いくら入ったのか?
・それぞれ違法性はないのか?
・今後どうするのか?

磁化水

「で、父ちゃんから今まで聞いた投資やビジネスの一覧がその次のページにあるんだけど、僕が実家に住んでた時に聞いたのが主に四つ。まず磁化水。僕の記憶が正しければ、確か六百万か七百万円を投資して、会社の役員になったと聞いていた。これはどうなったの?
役員じゃなくて、社長をやってたんだけど、ちょっと場所が遠くて会社ごと昔譲った
父の返答に三男が訪ねた。
「いくらで譲ったんですか? 会社を譲渡したんですよね?」
「いや、もうそのまま。無料で譲った。お金なんて取れるような状況じゃなかったし」
磁化水はやはり思った通りだ。場所が遠いから会社を譲ったなど、嘘に決まっている。どうせ、怪しいU字磁石を持ってきたビジネスパートナーに騙されたのだろう

***

インドネシアの黄金

「次に書いてある旧日本軍の裏資金っていうのは記憶にない。これはなんだ」
「え? 父ちゃんが昔僕に説明してたじゃん、GHQが隠した裏資金を表に出す助けをしてるって」
「いや、全然覚えてない」
なぜ父が覚えていないのかは不明だったが、恐らくはそれほど深くは関わらなかったのだろう。
「・・・じゃあ、それでもいいや。次のインドネシア王族の黄金はどうなの? これは父ちゃんが頻繁にインドネシアに行っていたからよく覚えてるんだけど」
「うん、また来年インドネシアに行くよ
「はあ? 来年また行くの?」
インドネシア王族の黄金を日本に持ち込むとかいう怪しすぎるビジネスはまだ現在進行形だッたようだ。

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