運が巡る★「色彩展 キラメキイロ」(〜2022.4.3(sun)まで)出展原画のご紹介第3弾
ギャラリーMid ARTのグループ展「色彩展 キラメキイロ」(〜2022.4.3(sun)まで)に出展作品3点のご紹介です。
主に黄色を使用した作品が条件の展示。
私 おかしなせかい は、3点の原画をそれぞれ「癒し」「再会」「健康」をテーマに描いています。
こちらでは、3点目の「健康」をテーマに描いた作品解説をしております。
m(_ _)mおことわりm(_ _)m
こちらは、作品解説note版です。
作品解説をとことんお読みになりたい方向けの本解説版です。
この作品は、作家が健康状態のバロメーターに気づいたところから着想した作品です。
排泄物のお話が入ってくるので、苦手な方はご遠慮ください。
また、前々から興味のある題材だっただけに、思うところがあるため、解説が長く、本解説では、少々長い4,000文字強でお読みいただいております。
さっとお読みになりたい方は解説の省略版、下記アメブロの記事へご移行願います。
アメブロ版では、下記を省いております。
☆描画に入るまでのストーリー☆
★ラフ&アレンジ
★労力をかけたところ
では、作品解説note版 をお楽しみくださいませ。
☆タイトル
運巡(うんめぐる)
☆素材
水彩紙、鉛筆、消しゴム、顔料ペン、筆、爪楊枝、アクリル絵の具、額(70mmx70mm)、ジェッソ、紙やすり、定着スプレー
☆描画に入るまでのストーリー☆
まずは、水彩紙の説明から。
私は持ち運びやすい・(表紙がついているので)汚損防止・制作作業の中断がしやすいため、A4くらいの大きさで、ブロックタイプの紙を使っています。
もちろん水彩絵の具でなく、アクリル絵の具で塗りますが、大体薄く柔らかく色を重ねていきます。
今の傾向としては、ソフトな質感にしたいものはブロック水彩紙を、厚くしっかり塗っていきたいものはパネルを使用しています。
次に、絵ですが、大体クロッキー帳や裏紙にラフを描きつつ線を確定していき、濃くコピーして水彩紙に鉛筆で転写。
顔料ペンでなぞって消しゴムをかける。
そして、筆を使って着色。
細かい部分の表現や、余分な絵の具を爪楊枝で描き足したり、除去したりする。
描き上げた後は、定着スプレーで絵を保護します。
☆絵の着想から仕上げまでのストーリー★
★着想
最近、学習教材の「うんこドリル」を娘が気に入っているので、この機会にうんこってなんぞや?と調べてみることにしました。
そうしたら、うんこの状態で健康状態がわかるという説明を見ることが出来まして、大変学ぶことがあったのです。
それは「健康的なうんこは黄色から黄褐色で水に浮く」ということ。
私にあったのは、健康なうんこ=バナナみたいな形のうんこだということを幼い頃から知ってはいました。成長過程(もしかしたら成人してから)のどこかで「有形軟便」という、排泄直後は形があるけど、崩れていくのが理想的とかいう知識も増えました。
ただ、色に関しての健康な色は茶色だと思い込んでいたので、黄色だったとは。
私にとって、驚きの発見です。
改めて、健康のバロメーターに気付いた私がいました。
そして、健康的なうんこが黄色から黄褐色なら、黄色展に出さない手はないではないか!!
と思い立ち、作品にすることを決めました。
ちなみに、この作品は、カラフルにすることも隠しテーマにしています。
タイトルは、うんこ=食べたものが体をめぐる=循環=運が巡る=運巡(うんめぐる)と連想して考えました。
★ラフ&アレンジ
・まず、うんこをインターネットで検索してみました。
ラフを描く前に、ちょっと考えてみました。
モノがモノなので、ご覧になって不快になる人もいるかもしれない。
そこを、どうやって「標準的な販売可能なうんこ」の範囲に持ってくるか。
うんこグッズやイラストは今やたくさんあります。既存の作品から大きく離れた造形でなければ、おそらく受け入れてもらえる。そんな考えから、どんなイラストやグッズが販売されているかをインターネットで検索してみました。
・意外とたくさんあったグッズやイラスト。
意外とレジンらしきもので作った「かなりそっくりなもの」から、他の題材でも見かけるような「可愛らしいイラスト」までかなり色々ありました。かなり構えていたので、種類の多さにちょっと拍子抜けしつつ、私が「いつものように」描く分にはおそらく問題ないだろう、という結論を導くことが出来て、ほっとしました。
・そして、ラフ。
このうんこも、裏紙にざっと描きました。
一応額のサイズでざっくり枠を決め、その中に収まるようにしています。
今回は出展面積の問題で小さいサイズにしたくて、市販の額を意識して描いたはずだったのですが、詳細はまた労力をかけたところにて。
・アレンジと背景。
アクセントとして腸内細菌や、内容物を綺麗に大きいイメージで描きたい気持ちはあったので、めり込んでいるものや浮遊してそうなものを大小様々な大きで描いています。
また、3作品の中で一番着色に悩むことなく、黄色以外の様々な色を使用して楽しめたところです。
この段階では、背景は薄黄色か白でいこうと想っていたので、あまり拘らずに制作に入りました。
★制作手順
・まずは下描き。
ブロックタイプの水彩紙に、ラフのコピーを転写。
今回は、絵が小さいので、今後の使用を考え、角に合わせて描きました。
描画に入るまでのストーリーにあったように、顔料ペンでなぞって消しゴムをかけ。
筆を使って着色しました。
・着色はカラフルに。
右からの光を意識しつつ、主に影を表現する様に、薄い黄色を乗せてから、濃い黄色を重ねています。
背景は濃い黄色を中心に、浮遊物のイメージを着色。
隠しテーマも、カラフルに実現できました。
ここまで進めて、背景の白が気になりだしました。薄く黄色を塗ってみたのですが、どうもしっくりこない。
そこで、一番薄い黄色を調子を見ながら重ねていきました。
そしてどうにか完成できました。
・完成後は、水彩紙を切り離します。
ブロックタイプの紙は、4方向がノリづけされ、長編の一編に3cmくらいの隙間があるので、描いた後にそこからカッターナイフを入れ、切り離せるようになっています。
慎重にカッターナイフで切り込みを入れていきます。角に描いているので、わりと簡単にノリから離れてくれました。あとは、絵の下にカッターマットを入れ、これまた慎重に水彩紙から切り離します。
・絵の後は、額の着色。
絵ができたので、次は額の処理です。今回は、黄色展ということもあって、額も素材のままより、着色した方が見栄えがするので、手を加えることにしました。
これには、市販の額を使用。ニスが塗ってあったので、乾燥後の剥離を防ぐためにまず、紙やすりをかけました。何番のやすりを使ったかは失念しましたが、仕上げ用の細かいものだったと記憶しています。
私は工作が苦手なので、紙やすりに関しても少し敬遠していたのですが、いざかけてみると、意外とすんなり滑らかな手触りになってくれました。そして、ジェッソを塗って乾かす作業を3回繰り返し、絵でも使った一番薄い黄色で着色。こちらも3度塗りしたような。
そして、乾いてから、定着スプレーをかけて作品制作を終了しました。
★労力をかけたところ
・一番力を入れたのは、まさかのタイトル。
まず、単純に「うんこ」では芸がないし、普段興味ない方にも見てもらいたい!という気持ちもあってつけたタイトルです。
うんこ(というか、トイレ)掃除は「運がつく」とも言うらしいので、今回は「運」を中心に考えてみました。
候補は「運幸(うんこう・幸せを運んでくる)」「幸運(こううん・幸せを運ぶ)」など、いろいろ考えてはみたものの、なんか違う、、、と思えてしまい。
もっと大きなスケールで考えられないかな、とイメージした時に「運巡(うんめぐる・運が巡ってくる)」を思いつきました。そもそもうんこは、口から食べ物を食べた後、体内を巡って排出されます。排出されたものが、また自然に還って再び食事として口に入る。巡る。
そんなイメージで連想して「運巡(うんめぐる・運が巡ってくる)」がこの作品にぴったりだと思えました。
・実は背景もかなり悩みました。
あまりにも簡単に考えすぎていて、まさか多少なりとも黄色を塗り重ねるとは想っていませんでした。
小さい絵とはいえ、背景範囲は少なくない。そして、色の判断を間違えると、印象が大きく変わってしまいます。制作手順ではさらっと書きましたが、色を乗せるまでかなり悩みました。
そして、少しずつ様子を見ながら進めていきました。結果的に、メインが映える絵に仕上がってくれてありがたいです。
・気を遣ったのが、うんこの造形。
今回はトグロを巻いたうんこを描きました。ただ、うんこって、大腸の中にガスと共にいるイメージがあるので、必ずしも搾り袋を使ったような綺麗な形はしていなさそうだと想っていて。
ガスによる凹みや、その凹みに押し出された膨らみがありそうだなー、と考えながら描いています。
歪ながらも綺麗な造形になったと感じています。
・額の着色にも少し苦戦。
水彩紙に描くときは、額に手は加えないので、ちょっとドキドキしながらの作業になりました。
まず、額の留め金を全て外して、ジェッソが乾いた上から筆を運びます。結構塗りムラができてしまって、ムラをなくすためにムラの部分を潰したいのですが、そうするとムラになっていない部分がムダに厚塗りになってしまいます。そうならないために、できるだけ部分的に塗ることを心がけました。
写真には写っていませんが、裏板もこだわって黄色に塗って完成させました。
以上です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます★
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