見出し画像

あわや事故?宇宙ステーションの軌道

所要時間:2分

最近、中国の宇宙ステーション「天宮」について、yahooニュースで取り上げられました。もしかすると今回のニュースで初めて中国が宇宙ステーションを建設していることを知った方もいるのではないでしょうか。すでに宇宙飛行士も滞在しているなんて驚きですね。そこで今回は宇宙ステーションについて、ざっくりかんたんにまとめてみました。

なんとなくネットで”騒動”になっているように見えなくもないですが、実際はかなりのハイレベルでの事務処理といったところでしょうか。特に宇宙ステーションは直接的に人命に関わるので、外交問題にも発展しやすいと思われます。宇宙開発が進むにつれて、当然ながら国際的な法整備がますます必要になってきますね。

軌道

中国の宇宙ステーション「天宮」は340-450 km (BBCyahoo個人)ほどで運用されているとのことです。また、宇宙国際宇宙ステーション「ISS」は1998年から2008年のデータを見ると、高度はおよそ300-400 kmに保たれています。

人工衛星の軌道について調べると、一般的に楕円軌道とでてきます。あれ、円じゃないの?という声が聞こえてきそうですが、実はその感覚は正しいです。そもそも地球の半径はおよそ6400 kmもあります。それを考えると、仮に一周の間に高度が100 kmばらついたとしても、遠くから見たら円にしか見えないでしょう。

地球の半径と宇宙ステーションの高度を比べれば分かる通り、実は宇宙ステーションはほぼ地球の表面すれすれを飛んでいるのです。宇宙ステーションまで言った前澤さんですら、まだ地球を這っているに過ぎないのです……それでも宇宙には行きたいですが!!

NASAのホームページを見ると、高度が上がったり下がったりしていることがわかります。なぜかというと、高度300-400 kmあたりにも、ごくわずかながら空気が存在しているからです。
あまり知られてないですが、実はISSはサッカーコート1面ほどもある巨大な構造物です。そこに非常に希薄な空気が秒速8 kmほどで衝突することで、速度とともに高度が落ちます。なのでISSでは定期的に加速して高度を上昇させます。

速度

高度によってわずかに変動しますが、およそ秒速7.7 kmほどです。単位をよく見ましょう。1秒で7.7 kmです。東京ー名古屋間であればおよそ30秒で移動できます。およそ90分で地球を一周してしまいます!

いったいなぜこんなに速いのでしょうか?答えは重力にあります。人工衛星は上空でただ浮いているわけではありません。宇宙空間にいっても重力は消えませんし、宇宙ステーションの高度では、重力は地上とほぼかわりません。ではなぜ落ちてこないかというと、遠心力が働いているからです。遠心力は速度の上昇とともに強くなり、およそ秒速7.7 kmでちょうど重力と釣り合うのです。この速度は、国際宇宙ステーション(ISS)も、中国の宇宙ステーション「天宮」もほぼ同じです。
ちなみにこの速度を100 m走で考えると、0.013秒になります。もし走っていて足が浮いたように感じた人はぜひ教えてください。

また、別の考え方をすれば、宇宙ステーションは常に落ちており、地面に近づく前に地面が”落ち”ているとも言えます。こちらは「なぜ人工衛星は落ちないかー放物線運動はウソ?」で詳しく説明してあります。

ひろゆき氏が宇宙空間では重力が消えると言って少しだけ話題になりましたが、これは勘違いと思われます。こちらの件については「位置エネルギーは”ある”のか?」にて自分なりに考えをまとめました。

さいごに

今回はかなりシンプルにまとめましたが、人工衛星には他にも静止軌道衛星があったり、あるいは高さによるメリット・デメリット、ヴァン・アレン帯、時間の流れる速度のずれ、といったトリビアがあります。そのうちまとめてみようと思いますが、気になる方はぜひ自分でも調べてみてください。

最後に:
 本記事を気に入っていただけたら、下のハートマーク「スキ」をお願いします。
 気になるマガジンがありましたら、そちらだけでもフォローしていただけます。本記事は物理・科学(基本やさしく)に該当します。

マガジン一覧:
コラム
上海現地採用ライフ
物理・科学(基本やさしく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?