あわや事故?宇宙ステーションの軌道
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最近、中国の宇宙ステーション「天宮」について、yahooニュースで取り上げられました。もしかすると今回のニュースで初めて中国が宇宙ステーションを建設していることを知った方もいるのではないでしょうか。すでに宇宙飛行士も滞在しているなんて驚きですね。そこで今回は宇宙ステーションについて、ざっくりかんたんにまとめてみました。
軌道
中国の宇宙ステーション「天宮」は340-450 km (BBC、yahoo個人)ほどで運用されているとのことです。また、宇宙国際宇宙ステーション「ISS」は1998年から2008年のデータを見ると、高度はおよそ300-400 kmに保たれています。
人工衛星の軌道について調べると、一般的に楕円軌道とでてきます。あれ、円じゃないの?という声が聞こえてきそうですが、実はその感覚は正しいです。そもそも地球の半径はおよそ6400 kmもあります。それを考えると、仮に一周の間に高度が100 kmばらついたとしても、遠くから見たら円にしか見えないでしょう。
地球の半径と宇宙ステーションの高度を比べれば分かる通り、実は宇宙ステーションはほぼ地球の表面すれすれを飛んでいるのです。宇宙ステーションまで言った前澤さんですら、まだ地球を這っているに過ぎないのです……それでも宇宙には行きたいですが!!
速度
高度によってわずかに変動しますが、およそ秒速7.7 kmほどです。単位をよく見ましょう。1秒で7.7 kmです。東京ー名古屋間であればおよそ30秒で移動できます。およそ90分で地球を一周してしまいます!
いったいなぜこんなに速いのでしょうか?答えは重力にあります。人工衛星は上空でただ浮いているわけではありません。宇宙空間にいっても重力は消えませんし、宇宙ステーションの高度では、重力は地上とほぼかわりません。ではなぜ落ちてこないかというと、遠心力が働いているからです。遠心力は速度の上昇とともに強くなり、およそ秒速7.7 kmでちょうど重力と釣り合うのです。この速度は、国際宇宙ステーション(ISS)も、中国の宇宙ステーション「天宮」もほぼ同じです。
ちなみにこの速度を100 m走で考えると、0.013秒になります。もし走っていて足が浮いたように感じた人はぜひ教えてください。
また、別の考え方をすれば、宇宙ステーションは常に落ちており、地面に近づく前に地面が”落ち”ているとも言えます。こちらは「なぜ人工衛星は落ちないかー放物線運動はウソ?」で詳しく説明してあります。
さいごに
今回はかなりシンプルにまとめましたが、人工衛星には他にも静止軌道衛星があったり、あるいは高さによるメリット・デメリット、ヴァン・アレン帯、時間の流れる速度のずれ、といったトリビアがあります。そのうちまとめてみようと思いますが、気になる方はぜひ自分でも調べてみてください。
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