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11月23日 日記 「動き出した感」

オンラインで買い物をすると、そのことばっかり考えてしまって、「注文を確定する」のボタンを押してから、それが家に届くまでの間、ずっと時間が止まっているような気がする。

 朝10時ごろに起きて、本当は多分結構大切な就活の面談をなんてことない感じでこなし、昼ご飯を食べて一息ついた後、半分ふざけながらいい加減にesの「自分の短所について」の欄を埋め、電車に乗り込んでバイト先に向かう。通常優先席が配置されている、車両の端の、三人掛けの、でも一般のシートと同じ色の、席に座り本を読む。
「あのさあ、私のせいにしないでよ」と突然隣に座っていたおばさんが声を発してぎょっとするがイヤホンをしているのできっと誰かと電話しているのだろう。
「弱い人探して、責任押し付けて。私は弱くないよ、悪いけど。あんた、そうやって言い返せない人に愚痴愚痴言って、他にやることあるでしょう。」
と続けるのを、聞き耳を立てるつもりはないが、真隣にその人が居るものだから、しっかり一言一句聞き取れてしまう。一般的なモラルでもってこの状況を語れば、公共な場で長々とそれなりの声の大きさで電話をすることはおそらくノンであり、運悪く、モラル意識の強い自警団マインド、かつ見つけた人の汚点をつるし上げ、悪いことをしたのはお前なのだからどんな報いを受けても全てお前のせいだ的な、ネットギャング思想を持ち合わせた人がこの場に居合わせれば、きっとおばさんはツイッターやtictokに晒され、今後10年ネットミームとして飽きるまで弄ばれるだろうに、でも、どうやらこの人にはこの人なりの言い分がありそうで、しかもそれはこのタイミングを逃せば、きっと次いつその機が巡ってくるのか、もしかすれば、何カ月もずっとそれを待ち続けていたのやも知れず、恥を覚悟で周りに悪だと断罪されようともお構いなしに、ここで私は私の正しさを貫かなければ消滅してしまうという強い気持ちがおばさんの行為の背後にはあるかもしれず、それならば俺は決してここから離れず、何も起こっていないように本を読み続けると誓ったんだよ、おぼさん。
バイトから帰ると玄関に本が四冊置き配されていた。
また明日も頑張ります。

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