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経営者向けの労働保険・社会保険猶予制度について。

社会保険労務士のこうぶちです。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国側で支払うべきお金の猶予制度を設けています。今回は「支払いを待ってもらえるお金」として、労働保険料・社会保険料について取り上げていきます。

1.労働保険料(労災保険料および雇用保険料)

・例年6月1日から7月10日までの労働保険の年度更新について、本年度は8月31日まで延長されます。

・この延長でも資金繰りが厳しい場合、労働保険料の納付猶予制度を活用することができます。猶予制度のメリットは、

a)猶予期間中の延滞金が免除されます。
b)財産の差し押さえや換価(売却)が猶予されます。

以前の記事でも書きましたが、労働保険料を延滞した場合は助成金の支給対象から外れてしまいますので、今後助成金を活用していきたい場合は重要なポイントとなります。

猶予期間は1年の範囲内。猶予制度を利用したい場合は、都道府県労働局に「労働保険料納付猶予申請書」などを提出する必要があります。

2.厚生年金保険料(社会保険料)

令和2年2月以降、任意の期間(1か月以上)で事業等収入が前年比でおおむね20%以上減少していて、厚生年金保険料を一時に納付することが困難な場合、厚生年金保険料等の納付を1年間猶予することができます。

・対象となる保険料:令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する保険料(つまり、令和2年1月分~12月分の保険料となります)

※既に納期限が過ぎている保険料も、さかのぼって適用を受けることができます。

会社の所在地を管轄する年金事務所に「納付の猶予(特例)申請書」を提出することで申請できます。申請書類などはこちらから確認できます。郵送でも手続きすることが可能です。

3.国民年金保険料

厚生年金保険ではなく、国民年金に加入されている経営者の方もおられるのではないかと思います。

令和2年5月1日から、新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の特例免除申請の受付手続きが開始されました。以下の2点を満たす場合、特例免除の対象となります。

※この条件を満たす学生も対象となります。

1)令和2年2月以降に、新型コロナウイルスの感染症の影響により収入が減少したこと
2)令和2年2月以降の所得等の状況から見て、本年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること

※上記の「免除等に該当する水準」ですが、現在国民年金保険料が全額免除となる基準は単身世帯57万円、夫婦2人の世帯で92万円です。

全額免除以外にも、4分の3免除、2分の1免除、4分の1免除がありますので、自分が該当するかどうかはお住まいの市町村もしくは年金事務所に問い合わせてみてください。全額ではなかったとしても、一部免除が受けられる可能性があります。

・対象となる保険料:令和2年2月以降の国民年金保険料

・申請先:お住まいの市町村または年金事務所

申請書類はこのページからダウンロード可能です。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/0430.html

4.国民健康保険料

収入が減少した場合、国民健康保険料の減免又は免除が受けられる可能性があります。詳しくはお住まいの市町村にお問合せ下さい。



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