９月２７日㈮　おじさんが話しかけられるの待ちなんかすると永遠に誰とも話せない

・ホテルの部屋に人間がいた痕跡を消す仕事。

朝、準備していたらギャル同僚が隣で準備を始める。

ゴミ袋に自分の名前と日付をマジックで書く決まりになっているのだが、ギャル同僚に「すいません、今日って何日でしたっけ？」と聞く。
ギャル同僚は「えっと、」とわざわざスマホを出して確認してくれて「２７日です」と教えてくれる。

私は雑談が壊滅的に下手なので、同僚にどうやって話しかければいいか全く思いつかないため、毎日ゴミ袋に日付書く時に同僚が近くにいたら「すいません、今日って何日でしたっけ？」と話しかける作戦をとっている。
たぶん周りからおそろしく日付を覚えるのが苦手な人だと思われてる可能性がある。

昨日、プリン事件というものが発生した。
それが何かを説明すると長くなるのだが、寅さんのメロン事件と大差ない感じの事件である。

で、このまま終わるのは悔しいので、ただじゃ起き上がらないぞ、このマイナスをなんとかしてプラスに持っていってみせる、

ということで、ちょうど私は同僚の人に話しかけたいけど何を言えばいいかわからないことで困っていたので、今日は同僚と２人きりになる度にプリンの味の感想を尋ねることにした。

女子大生同僚はブドウ味を食べたらしく、「カスタードとブドウって合うんですか？』と聞いてみたら、「あ、私プリン部分とブドウ部分別々に食べたんで」と返ってくる。
こっちが状況を理解できずにいると、
「例えば、私、お寿司食べられないんですよ。でも、刺身は好きなんです。」
と、なぞなぞみたいな問いかけが返ってくる。
「じゃあカレーライスも食べられないんですか？」と聞いたら、「カレーは食べれるんです」とさらに謎が深まる。
４時間後くらいに廊下でばったり会った際にもう一度よく話を聞いてみたら、「生ものと、火を通したものを、一緒に食べられないんです」と言われ、「はーなるほどー、納得しました。」と犯人の言い分を一旦受け入れたフリをするときの古畑と同じリアクションをした。

たぶん還暦近いけど言動や仕草がかわいらしくて女子高生に見えるときすらある熟女同僚は昨日シフト入ってなかったので、「飲み会行ってない人は高級プリンが貰えるらしいですよ」と教えると、「わーい、今日の楽しみができました」と可愛い反応が返ってくる。
「あ、でも今日もあるのかな、もしなかったらすみません」と一応謝っておくと、「なかったら往生際さんに買ってもらうんで。ってひどい事言っちゃった、」とかわいく反省してくれる。向こうが既婚者でなければプロポーズしていたと思う。

さっき日付を教えてくれたギャル同僚とエレベーターで２人きりになる。
ギャル同僚とは２年近く一緒に働いているが、お互いに人見知りが酷いので２年間で「おはようございます」「お疲れ様です」「お先に失礼します」「２７日です」以外の言葉を交わしたことがない。
ここ半年ほど、私が人見知り克服強化月間として同僚の人にこちらから話しかけるチャレンジを行い、その結果として女子大生同僚や女子高生熟女同僚と仲良くなれたのだが、ギャル同僚に関しては２年近く同じ職場にいて、２人で他店舗にヘルプに行ったこともあるけどその時すら挨拶以外の言葉を交わさず無言で通していたのもあり、今さら急に話しかけられたら怖いかなとか考えすぎてしまい、結局話しかけることができずにいた。
しかし、今日は勇気を出そう、こっちにはプリンという話題がある、しかもついさっき日付教えてくれてちょっと打ち解けてるし、ということで思い切って
「あの、プリン、食べましたか？」
と聞いてみたところ、
「はい食べました」
「美味しかったですか？」
「美味しかったです。食べました？」
「いえ、僕もらえなかったんです」
「えっ？」
「あれ飲み会行った人はもらえないらしくて」
「あー、（ギャルの目的階に着く）」
「羨ましいです」
「（降りながら）はあー、」

と、めちゃくちゃ会話できた。
今日だけでこの２年間のトータルの会話量の５０倍くらい話せた。
嬉しい。