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金沢地裁のイベントに参加してきた話

※本日掲載している各種写真は、記事掲載に際し主催者様の許可をいただいております。

本当に僕はTwitterのフォロワーさんに恵まれていると思います。
ある日、掲題のイベントについてのツイートが私の目の前に飛び込んできました。

裁判所HPの告知

裁判所内を探索?
法服を着て撮影?
模擬調停にパネルディスカッションだと?
い、行きたい…。

実は、令和4年10月に裁判所の調停制度が発足して100年ということで、いろいろなイベントや取り組みが行われているのです。今回のイベントは恐らくその一環。
調停制度って何よ?と気になる方は以下のリンクから。ご存じなくてもこれからの記事も読んでいただけますが、せっかくなので。

大阪在住の僕にとって、金沢への行き方は特急サンダーバードが一番主流なんですが、お金もないし時間を有効に使いたいということで夜行バスを選択。

ヨドバシカメラ梅田前を23時50分に出発
金沢駅西口に午前5時ごろに到着するという行程。

学生時代は運動部に所属してて、常にどこか痛めている状態だったので夜行バスなんてとんでもないと思っていたんだけど、意外とこの歳になってから普通の選択肢になっている。
慣れすぎて、爆音いびきを響かせていないかだけ気になるんだけど、とりあえず降り際の他の乗客とかに睨まれていないから大丈夫と信じたい。僕自身は、うるさい客がいると、降り際にどんな顔しとんねんと見ちゃう癖があるんで。

ほぼ予定通り、金沢駅西口に到着。深夜早朝で他に車がいないからというのはわかるんだけど、時間ぴったり具合にいつも感心する。

そして降り立って気付いたけど、金沢には何度か来ているけど、西口から出たことが多分初めてということ。全く見覚えがない。兼六園をはじめとした観光資源は主に東口や、そこから出るバスが主だ。

西口から行けるところを地図で見てみると、石川県庁が。あとはだいぶ離れたところに内灘砂丘というものがあります。
この内灘砂丘には私も行ったことがあり、日本で3位の面積を誇る砂丘なのです。
3位って微妙だな、2位がそもそもどこやねんとお思いになるかもしれませんが、日本2位の砂丘はかの有名な鳥取砂丘なのです。じゃあ1位はどこかというと、、、それは是非皆さんご自身で調べてみてください。

西口から東口へ移動。金沢駅といえば、この立派な駅舎などがやはり印象深い。連絡通路でトイレ行ったり、位置情報アプリでテケテケ遊んでいたら随分と明るくなりました。

ここから1時間強散歩をしました。
方角としては武家屋敷を抜けて野町駅の方まで。

さすがに朝5時台の観光地には人もほぼおらず、まったり歩きながら散歩を楽しむことができました。ホテルに泊まっていたら、とてもこの時間から行動する気が起きないので、そういう意味でも夜行バスというのは便利だなと感じます。

二級河川「犀川」を渡ります。
この「犀」の字って、室生犀星でしか使わないよなと思っていたら、

案の定、室生犀星は金沢が出身で、その記念館もあった。やはり犀川が由来らしい。
ちなみに「犀」だけど、動物の「サイ」を漢字で書くとこの字を使うらしい。知らなかった…。岐阜の「阜」の字みたいなもんだと思っちゃってごめんね。

その後、金沢の有名な観光地の一つ、近江町市場で朝食をいただいたのですが、まさかの写真忘れということで、ちょうど時間になったので目的地へ到着です。

交通機関だと「兼六園下・金沢城」バス停の目の前。その名の通り、兼六園の真ん前にあるんですが、景観的になんら違和感のない素敵な裁判所です。この庁舎は2013年に出来たようです。

さて、いざ入ろうかと思っていたところ、
裁判所の前で「本日、裁判所でイベントを行っております。お時間ありましたら是非ご覧になりませんか?」と熱心なお声がけをいただきました。
そのために来たと告げたときの嬉しそうな顔と、大阪から来たと聞いたときの「えっ、マジで…?」という戸惑いの顔が忘れられません。

裁判所前の掲示板に掲げられていたポスター

手作り感があってとても素敵なポスターです。なんかこういうのを見ると報われてほしいなと思っちゃいますよね。

通常の開廷日と同様、裁判所内の撮影はNGでした。まず午前中は、所内各所を巡るクイズラリーに挑戦。
裁判員の候補者の待合室、法廷、ラウンド法廷などに各種資料と問題が掲載されていて、渡されたシートに答えを記入していきます。

Q1に関しては、「C 100周年」が答えですね。100周年を記念したイベントですから。

Q2が難しい。しかもこれは他のと違ってまさかのノーヒント。ナビゲーターの職員さんも、ノーヒントなことに申し訳なさそうにしています。
先ほど100周年という問題を解いたばかりなのに、「前田利家!」と戦国武将の名前を叫んだ付添人を無視して、先ほどお散歩中に「犀川」を渡ったことを思い出す。職員さんもそこで唸ったので、
「A 室生犀星」と答えたところ、見事正解。映画「スラムドッグミリオネア」ばりの展開に歓喜。ちなみに泉鏡花も徳田秋声も金沢出身とのことで、普通に何問でした。

Q3は「B 18歳」が正解。民法改正による成人年齢が引き下げられたことにより、裁判員も18歳以上から選ばれることになりました。

Q4は「D 珠洲市」ですね。金沢家裁珠洲出張所があります。
県民に対して、それなりに人口のいる他3市で迷わせて「実は珠洲なんです!」と職員さんがドヤりたかったんでしょうが、私が完全ノータイムで答えたので、職員さんが軽く引いていましたね。知識があり過ぎるのも困ったものです、やれやれ。

Q5も結構難しいですね。全部、裁判関連のキャラとしていますので。
正解は「D」のお猿ちゃんですね。
Aは裁判所のナビゲーターの「さいたん」、Bは家庭裁判所の「かーくん」、Cは裁判員制度の「さいにゃん」、Dが調停制度100周年キャラの「アイアイアイ」です。ちょっとキャラ多すぎですね…。

Q6は「D 少額訴訟」ですね。それ以外は裁判用語としてありません。


全てを巡ったからといって何か景品が出るわけでもないので、ちょっと残念ではありますが、このクイズラリー中にとても貴重な経験ができます。
それが法廷での法服を着ての記念撮影

自分のスマホでは撮影不可なので、職員さんに撮ってもらいました。
なんと裁判官などが着る法服を着て、実際の法廷の裁判官の席に座らせてもらえるのです!

これは興奮しましたね。なんだかんだ、こういった裁判所のイベントが初めてだったのと、もちろん裁判を受けた経験もないので、傍聴席から中に入るのも初めて。

裁判官の席から見える法廷は、やはり傍聴席から見える景色と全然違う。例えは違うかもですが、初めて甲子園球場で野球観戦をしたような興奮に包まれました。
付き添い人に証言台に立たせて、人定質問も実施。
最初は「あはは、お詳しいですね」といった表情の職員さんも、そのまま止まらない質問責めに徐々にガチもんのヤバい奴が来ちゃったという表情にはそそるものがありました。
ちなみに、僕が「本籍は?」と質問したところ、付添人が「本籍?日本です!」とマジで答えたので、ヤバい奴という視線が僕から彼に移ったのには助けられました。


午後の模擬調停やグループディスカッションも見て、本当に勉強になったのですが、前日の夜行バスの疲れと、日差しを取り入れる庁舎の作りで非常にポカポカ陽気の会場が相まって、ところどころ記憶喪失になってしまったのでここでは割愛!
午後の部は30人くらいの方がいらっしゃって必死に聞いたり、質問したりしてとてもいい回であったと思います。

普段、刑事裁判しか傍聴しないので、調停というものの知識がなく単純に勉強になりました。
グループディスカッション内では、時間が取られるという課題が提起され、裁判所側も課題として重く見ているという話がありました。調停制度をもっと知ってもらいたい!という趣旨でのイベントではありますが、仮に利用者が増えたときに、それを満足に捌けるほどの人員が割けるのかなど、認知度向上と併せてクリアにしないといけない課題なんだろうなと感じました。

いきなり裁判傍聴したり、裁判所の手続きをしたりということにハードルを感じる人も多いと思います。
裁判所は定期的にこのようなイベントを実施しています。自分は関係ないと思っていても、悲しいかな巻き込まれて関わらざるを得ないこともありうる事象です。
このnoteが少しでも、皆さんのハードルを下げるきっかけになればいいなと思いますので、是非、これからもお付き合いくださいね。

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