100年前の御堂筋とゲームマーケット2024秋でシナリオ本を出す話②
昨日に続き、11月17日(日)【C62】ゲムマ2024秋で新作を出すため、本の内容を記事にしようと思う。
ゲームマーケットとは?
前回の記事ではシナリオ集の1作目『夢見る月の新世界』を簡単に紹介したが、今回は収録2作目『夢幻の闇へ誘うもの』の話を書く。
こちらのシナリオのテーマは、大正時代の大阪”御堂筋”拡張の歴史。
…マニアックすぎる、自分でも書いていて「マニアックすぎでは?」と思っている。ネタバレOKで気になる人は、試し読みを読んで欲しい。とある神話生物との兼ね合いもあり、このテーマになった。
大阪御堂筋って何?
私は大阪出身なので、当然のように御堂筋と言われると「ああ、あの辺ね」となる。大阪の中でも全国的に有名な地名だとは思うが、ざっくり説明すると梅田~難波を結ぶ大きい道路の総称だ。
現代だと夜は道路全体にイルミネーションが施され、イベントも開催されたり大阪のメインストリートだ。あのあたりの街並みは本当に華がある。
ただ、この御堂筋が今の形になったのはまさに大正末~昭和初期だ。
大大阪の時代と、御堂筋の歴史
1920年代から大阪市は世界6位、日本で1位の人口となり、”大大阪”と呼ばれていた。当時の日本で一番巨大な都市は東京では無く大阪だったのだ。
急激な人口増加に伴い、当時の市長である関一は大阪の都市計画を発表し、長い年月をかけて実践していった。
その一つが御堂筋の拡張だった。
なんと、当時の御堂筋は道幅6m、南北1.3kmのどこにでもある狭い道路だった。
もう一度、今の御堂筋プロフィールを見て欲しい。
今は道幅44mだ。
つまり、7倍以上に道路を広げ、難波と梅田まで結ぶ工事をしようと踏み切った。加えて、今の地下鉄御堂筋線も同時期に開通工事が始まった。
当然住民の立ち退きや、河川を塞き止めてトンネル工事が必要だ。10年以上をかけてすべての工事が終わり、今の御堂筋が誕生したのだった。
当時から地下鉄にエスカレーターもあるので、ほぼ今の地下鉄と変わらないのではないかと感じる。
シナリオについて
さて、テーマを御堂筋にしたものの、シナリオの舞台が工事中の御堂筋というくらいでしかシナリオ中に登場しない。流石にこの歴史だけでクトゥルフ神話に結びつけるのは無理だった。
シナリオとしては、”死者と対話できる霊媒師の秘密を探る”という導入で、一見大阪と何も関係ないが、ある程度その時代の御堂筋が舞台である理由は作れたと思う。
つい時代考証やその土地の必要性に拘ってしまいがちだが、最近は、場所や時代の必要性を気にし過ぎるのも良くないかなと感じている。
それよりも第一にクトゥルフ神話のシナリオとしてプレイヤーが楽しく遊べることだと思う。
シナリオ集のまとめ
最近のクトゥルフ神話TRPGの楽しみ方はざっくり2種類あると感じていて、
①シナリオ側に確固たる物語性があり、誰がやっても同じストーリー体験が楽しめる
②シナリオは舞台装置であり、探索者によってストーリーやエンディングすら作り変えることが出来、自分たちだけのセッションを楽しめる(所謂、公式やクラシック寄りと呼ばれるもの)
『夢見る月の新世界』は②
『夢幻の闇へ誘うもの』は①のように見えて②
というスタイルになっている。
つまり、②クラシック寄りのシナリオ集となっているため、気になる人はぜひ手に取ってみて欲しい。
歴史シナリオは、「KPも時代を知った上で回さないといけないのかな…」と思われている人がいるかもしれないが、全くそんな必要は無いと感じている。
単純に「シナリオの物語やギミックが気になって選んだら、たまたま大正時代だった」というケースもあるだろうし、歴史を意識しないで回しても全然OKだと思う。
私のシナリオに関しては、楽しかったなと言えるセッションになれば、改変含めて自由にやって欲しいと感じる。