防衛費2%には、終わりの定義がない
防衛費をGDPの2%に倍増する、と岸田文雄首相が言ったのが昨年12月。蜜にたかるアリのように、欧米の防衛産業がアジアの本拠地を日本に移しはじめた。2023年度から5年間の防衛費を現行計画の1.5倍以上となる43兆円、その後2027年度からは2%になるスキムだ。
2%の根拠がよくわからない。
今は1%だから、倍増すれば2%だ。増やす目安は切りよく2倍だという見方。NATO(北大西洋条約機構)加盟の各国の軍事費の中央値が2%だったから(1991~2003年)という見方。根拠は定かではない。
NATO各国は軍事費を増やしている。ロシアのウクライナ侵攻で、緊張感が高まる。ドイツは第2次世界大戦の教訓から1%台前半に抑えていたのを、今年、国防費として1千億ユーロ(約14兆円)の特別資金を拠出する法案を下院が可決した。これでGDP比2%となる。
ドイツは軍事費を増やしてNATO各国に右へならへしたが、これは、「特別資金」なのだ。増額の項目をはっきりさせている。「特別」だから、ウクライナ情勢で増えもするし、減りもする。1%+αという意味合いだ。
過去、日本は戦争を始めた時、「満州事変」、「上海事変」と戦争を「事変」という言葉にかえ、常態化させ、終結を定義しなかった。太平洋戦争を始めたときも同じだった。
台湾有事なのか、朝鮮半島有事なのか。中国、ロシア、北朝鮮の侵攻懸念なのか。ことが起こってからでは遅い、それに備える「反撃能力」は「終わり」があるのか。
「終わり」を定義できない今回の防衛費。2%を常態化させるのか?
1%をベースにできないのか?