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研修成果は、減損評価される

はるか前の話だけれど、会社に入ってから、研修にはよく「行かされ」た。新入社員研修は仕方ないにしても、「マーケティング」「会社の数字の見方」「マネジメント」「異業種交流」「人事評価」などがあったように思う。覚えてないものもある、だろう。

人事部は、それが仕事だから、社員をピックアップして定期的に研修させる。順番が回ってきたら、頑張って行ってこいと上司が言う。

研修に「行って」いる間は、一応は、頑張ってやっているつもりだ。でも、帰って仕事に復帰すると、ほぼ忘れ去る。数字の見方など実務的なものを除いて、身についたものは、ほとんどなかった。仲間うちに聞いても、似たようなものだった。

「期待した利益が得られないと判断したとき、その評価額を下げる」というのが「減損処理」だ。工場に設備投資をしても、その商品が売れなかったときは減損して会計処理をする。

「人」にもそうせよ、という(日経新聞「人的資本も減損評価せよ」社労保険労務士:武内幹和氏)。

会社が社員(人)に投資した金額は、それに見合う利益が得られているのか。会社の金でMBAをとらせたはよいが、結果がでているのか。転職してしまった人もいるのじゃないか。厳しいけれど、そうだよなあ。

研修に「行った」「行かされた」者としては、大変耳が痛い。研修が成果に結びついたとは、とても言い難い。減損対象といわれても、文句は言えないかもしれない。

1週間連続の缶詰め研修があった。最初のころは仕事が気になって、掲示板に張り出される「電話メモ」や「FAX」が気になった。そう、当時はケータイもメールもなく、会社からの伝言は、とりつぎだった。ところが、そのうち電話がかかってこなくなって、ちょっと寂しい思いをした覚えがある。

その時に思ったのは、「会社は個人で仕事をしているのではない」「自分がいなくても、会社は回る」ということだった。

肝に命じ、その後も仕事を続けてきた。研修への目に見える投資回収はなかったけれど、これに気がついたことが収穫だったと、自分では思っている。

「行かされた」研修にも、減損評価対象にはならないものもある。