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こんな会議はやってられない

ウエブ会議は苦手だし、好きじゃない。なぜなら、相手の表情が読めないから。マスクをしているとなおさらです。でも、ひとつ所に集まらなくてもよいし、自宅からでも参加できる。そう、服装なんてどうにでもなるし、背景も隠せる。便利なのはわかっているつもりでも、リアルがいい。そんななか、とんでもないビデオ機能が追加された。声で自分の表情をつくれるという。

EmbodyMe(エンボディーミー、東京)が開発した。自分が発した音声を、AIを活用して顔の合成画像に反映させる。つまり、声に合わせて表情や口元を動かせる。在宅で家事をしながらでも、画面上は正面を向いて他の人の話に呼応できる。

おまけに、ボタン操作でその顔が、にっこり微笑んだり、しかめたりもできるらしい。アバターまではいかないにしても、精巧な人形顔にはちがいない。

そんな「人」を相手に、会議できますか?

当の本人は、どこかちかくで「ながら会議」をしている。こちらが話をしても、聞いているふりをしている。そいつがしゃべる口元や顔を読んでも当てにならない。ニコニコマークやLINEスタンプが相手みたいなものだ。

どこも、ここも、ウエブ会議。常に顔や視線をカメラに向け、休憩できないから疲れる。他人からいつも監視されているように感じる。この負担を軽減できれば、というのが開発の意図だという。

それじゃあ、こちらも。

そんな「人」相手には、同じ「人」で対抗しようと思いますよね。自分がしゃべる時だけ前向きに、他人の話にはうわの空で、にっこり相づちをうつ。

こんな会議はやってられません。マスク顔のほうがまだましです。