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キラキラネームが消滅!?2023年現在名前に使える文字全部【1/3】

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誰もにとって最も身近であろう言葉・文字、それは自分の名前なのではないでしょうか。筆者は文字を教える仕事をしていますが、「自分の名前くらいはキレイに書きたい!」という声をこれまで多々聞いてきました。

2023年2月の初めに、名前に関する一つのニュースがありました。

「キラキラネーム」が法的に付けられなくなるかも、ということと、国民の戸籍の名前に読みがなを付けよう、というかなり大掛かりな法改正案です。

▼キラキラネームとは

キラキラネームあるいはDQNネーム(ドキュンネーム)は、伝統的でない当て字、外国人名、創作物の登場人物名などを用いた奇抜な名前の総称。
1990年代半ば以降から増加。
命名は親の責任であるため、親の自己満足・教養の無さが露呈する名付けと言われ、2000年代にはインターネットスラングとしてDQNネームと呼れてきたが、2010年代以降にマスメディアでは批判的な意味を薄めた「キラキラネーム」が新たに造語され、以降のマスメディアではほぼ統一利用されている。

Wikipedia:キラキラネームより一部抜粋

第1回(全3回)は、キラキラネームを発端に、現状の名づけルールについてまとめます。

この話のYouTube動画はこちら↓↓


現状の名づけのルール


そもそもの現状の名づけのルールを見ておきましょう。
法律に記載されている文言は、実は以下の二つだけ。

戸籍法第50条第1項 
1.子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。
2.常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。

法令検索e-gov

現状、戸籍の登録は漢字(ひらがな・カタカナの場合もあるけど)登録のみで、国側は読みがなを管理していないということです。

実は、出生届には自治体にもよりますが読みがなを記入するところがあります。しかし戸籍に登録される際は、読みがなは登録されません。

「太郎」と戸籍の書類提出したとして、「タロウ」と読むか「ジロウ」と読むか「マイケル」と読むか、それは自由というわけです。そういうわけで難解すぎる、あるいはもう全く読めない”キラキラネーム”は、制度上生まれるべくして生まれています。


人名に使える漢字は2999字。+ひらがな・カタカナ


先の戸籍法第50条第1項の2の「常用平易な文字」の具体的内容は、以下の通り。つまりこれが子どもの命名に使える文字全部です。(法務省のサイトで、読みや部首などを入れて人名用漢字を検索できます

  1. 常用漢字表の漢字(2,136字。リンク先PDFの11ページ本表以降。括弧書きが添えられている場合括弧内の漢字はNG。2023年時点2010年が最後の更新)

  2. 人名用漢字863文字。常用漢字以外の漢字や、常用漢字の異体字が含まれる。2023年時点2017年が最後の更新)

  3. カタカナ、ひらがな(変体仮名は1948年の改正によりNG)

※以下、子どもの命名に使える文字全部一覧

ヰ、ヱ、ヲ、ゐ、ゑ、を、ー、ゝ、ゞ、々も使用可


ちなみに、「ヰ」「ヱ」「ゐ」「ゑ」は歴史的仮名遣いですが、現在でも命名に用いることができます。もちろん「ヲ」「を」も。
また、長音記号「ー」も繰り返し記号の「ゝ」「ゞ」「々」もOK。ただし、それらが第一字目に来ることがないなどの制約はあり。

例えば、「ゐと」「アヰ」「澄ゑ(スミヱ)」「まを」「すゞ」「ルイージ」「奈々を」「ゆーた」「パー子」などといった名前も、現状登録が可能です。

「ヴ」については、徳島市のHPのみにおいて使えると書かれていましたが、法務省その他では書かれておらず真偽不明。実例がないからと思いますが、「あ゛」「か゜」などの使用可否も不明。

その他、濁音、半濁音、撥音(「ん」)、促音(「っ」)、拗音(「ゃ」「ゅ」「ょ」)、小書き(「ぁ」「ぃ」など)の使用も可。ただしこちらも、それらが第一字目に来ることがないなどの制約はあり。

※「りりぃ」「じぇい」などの小書きについては個別に検討されるケースもあるようです。
「まさょ」などはどうなんだろう。今気づいたけれど、「は」などは小書きが変換されないけれど、「ゎ」は小書きが変換される…。「こんにちゎ」みたいなののおかげ・・・?


文字の大海原。次回予告


以前動画で「異体字の世界」(全三回)をやりましたが、漢字や文字のことを探り始めると本当に沼にハマります。ハマったまま溺れます。それは沼であり、大海原であり、うごめく生き物です。

明治以降、主に文化庁の国語審議会を中心として日本語は多くの変容を遂げてきました。それは、より分かりやすい社会を目指すだけでなく、文化的な在り方や多様性をもできるだけ汲んだ人間の試行錯誤の軌跡です。

今回筆者が人名漢字等について調べているだけでも、無論読み切れない膨大な量の調査結果や審議内容を見つけました。本当に細かいところまで各専門家が話し合って、それでも例外が出てきてまた都度対応する・・・そんなことの繰り返しです。

そして今、その名前という影響力の凄まじいものに対する変革が起ころうとしています。

第2回は、命名における裁判騒動や、キラキラネームは実は伝統文化!?明治・大正時代から存在していた実例などを見ていきたいと思います。

それでは!


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