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#1 人口308人の町で、地域産品をブランド化し月商1000万を達成した方法

#1   人口308人の町で、地域産品をブランド化し月商1000万を達成した方法

このnoteでは、わずか人口308人の山奥の過疎地で、地域産品を活用したビジネスを展開し、月商1000万を達成した方法や、その裏側についてを詳細に公開します。

はじめに

はじめまして!
小値賀地域ブランド製作所株式会社 代表取締役 小値賀布美華(おじかふみか @FUMIKA422 )です。

拠点とするのは、長崎県平戸市津吉町。
人口308人、東京ドーム約40個分の広さに、世帯数わずか115世帯。
この、本当に本当に小さな町にスイーツアトリエを建て、地域女性のパートタイマー7名を雇用し、2022年の最高月商は1000万円となりました。

ちなみにこの数字は、「もうこれ以上注文を受けても生産できないので、受注停止させてください…!泣」という供給制限の中で出たものです。
(これを解決するため2023年3月末に設備を拡張し、スタッフも増員。今年は最高月商1500万の見込みです。)

スイーツブランドを経営してますが、私自身は製菓学校に通ったことも、製菓店で働いた経験もありません。起業時、私は31歳で、1歳と3歳の子育てをする専業主婦からのスタートでした。

現在はスイーツブランドに加え、ブランディング会社を経営しています。
講演などの登壇機会も多く、よく聞かれるのが
「とは言え、前職でマーケティングやブランディングの会社に勤めておられましたよね?」
なのですが、その経験もまったくありません。
どんな20代だったんですか、と聞かれますが、焼酎飲めればOK!という、どこにでもいる人だったと思います。

確かに現在からはイメージできないかも

『じゃあ、小値賀(おじか)さんはどうやって、地元の食材を使って、地元の人を雇用して、テレビ取材も取引先も多い現状まで、成長させたんですか?』
と質問も数多くいただいてきました。

私が特別な人間ではまったくないこと、マーケティングやブランディングノウハウを持つことがどれだけ、可能性を広げてくれるかが伝わってほしい。
わずか人口308人の町で、月商1000万達成までにやったことを振り返る意味で、そして同じ地域で未来のためにがんばる企業、人達のために、このnoteにできるだけ細かく、すべて記録したいと思います。

※こんな人に読んでもらいたい!
・ マーケティングに興味のある人
・ 地方で、D2Cブランドを始めたい人
・ ブランド力で事業を拡大していきたい人
・地方の素材や商材を活用して、事業を拡大したい人
・事業継承し、会社のこれからを本気で考える人

小値賀地域ブランド製作所のパーパスとミッション

小値賀地域ブランド製作所(株)
2023年に前身であるRIG.LCCから組織変更しました

私のミッションは、「地域資産の次世代継承」です。
そして、私のミッションがそのまま、会社のミッションであり、パーパスとなっています。

弊社スクール・研修資料から抜粋

地域には豊かな食や自然、歴史があり、独自の製法があり、そしてその資源を守り継いできた「人」という素晴らしい資産があります。
日々、地域の魅力ある資産にときめき、この魅力をどうお客様に伝え、愛され続ける事業に落とし込めるだろうかと考えながら仕事をしてます。
(なぜこの考えに至ったのかについては、また別の機会で描けたらいいなと思いつつ、今回は端折ります。)


このnoteアジェンダを出してみると、14のプロットに別れ、5万字は超えそうなため、5本ほどに分割してお届けすることにしました。

我ながら長いっ

というわけで、今週は、小値賀 note weeeek!
読んだ感想など、スキやリプ、DM、コメントいただけると嬉しいです!

↓全体アジェンダはこちらでお届けします↓
1. 地方でのビジネス展開における本質的な課題や壁について

2.人口308人の町で、反対されながらネット通販ビジネスへの参入を決めた理由
3.供給制限がかかる地域における売上最小化、利益最大化。
売上と利益を4象限に分解、
参入する市場と商品企画開発をルールに。
(今日はここまで↑)
4. D2C市場で勝つ、5つの成功の鍵
1.【求められる商品の開発】市場における相対的な好意度の高さを持つ商品を開発する
2.【利益の確保】高価格帯のニッチな特定市場を選択する
3.【集客の仕組み化】画力とワードでアクセスを取る
4【購買への転換】顧客が購入したくなる情報を揃える
5.【LTVの自然な向上】リピート構造が伴う販売を設計する
5.女性に訴求する商品が必須。コアターゲットの狙い
6.地方産品を安定した付加価値に変える、ブランド化戦略
7.唯一無二のブランドにする&応援を生む「ストーリー」設計
8.クオリティと顧客満足の追求
9.地方での効果的なマーケティング戦略
10.地域D2Cにおける物流障壁 5つの克服策

11.地域で持続可能な採用と人材定義
12.D2CからBtoBへの進出のきっかけ

13.BtoB市場調査と戦略立案
14.月商1000万円達成と売上構成比
15.総括と教訓・これからの事業成長
#予告 月商1000万達成までにした10の『失敗』

1. 地方でのビジネス展開における本質的な課題や壁について

まず初めに地域課題についてをお話する必要があります。
いきなりD2Cノウハウを書いても、地域で月商1000万円達成を語る上では、辻褄が合わなくなるからです。
 

私たち地域で生きる人間にとって、ビジネスは自由に選択できるものではありません。
限られた条件の中で、針に糸を通すように、勝率が高い道筋を設計し、黒字にし、雇用を持続し、さらには未来にも繋ぐやり方を内包させなければならない、非常に困難な作業です。地方の中小企業経営者が1番、複合的に仕事をしているのではないか、と思うくらいです。


ただ、この難解なテーマだからこそ、面白さがあると考えてます。分かりきったことをするより、分からないことを解明していくことに楽しさがあるタイプです。(大変失礼ではありますが、よく変態と呼ばれます。そんなことないです。)

ぷんぷん

日本は島国で、地域の集合体です。
拠点をおく長崎県平戸市が置かれている状況は、過疎化する地域が抱える課題の、ある意味では先進地域。
私はそれが事業展開における創意工夫の源として、とても良かったと考えています。
これからの日本の未来に対して、先に対策を打ちながら迎えいれることができるためです。

星マークがアトリエの場所。
長崎市に行くのも博多に行くのもほぼ同じ距離。

地方でのビジネス展開における壁や課題の根幹にあるものはずばり、人口減少に伴う、生産力の低下です。
この課題発見にたどりついたプロセスから、振り返ります。


当時私は1歳と3歳を育てるママで、時間がありません。
資金も当然ないので、お金の使い方はより成功の打率が高いものでなければ、とも考えていました。
私に使えるのは知恵のみ、他はなし、という状況です。


まずは起業するにあたり、戦局がどうなっているかを捉え、持っているわずかな資産を上手く割り振らねば簡単に行き詰まるだろうと考え、仮説を立てました。
(これを後に、ランチェスター戦略と呼ばれる、弱者が勝ち上がるための経営・マーケティング理論だと知りましたし、早く教えてくれ!という気持ちになりました。)

学校教育にしたら良いのに

弊社は地方起業家向けスクール・企業研修サービスを持っているのですが、自身の事業立ち上げ経験から必要なノウハウをパッケージにしており、当然ランチェスター経営戦略も講義とワークに入っています。

話が横に逸れたので、本筋に戻します。
マーケティング、ブランディング、商品企画開発、プロモーション、組織作り、拡大フェーズ。
人口308人の町で月商1000万達成までのノウハウについては上記となるのですが、まずは私が最初に取り掛かった『マーケティング』について、触れていこうと思います。
みなさん、マーケティングってなんだと思いますか?

ちっちっちっ

さまざま表現があるのですが、製作所ではマーケティングを「売れ続ける仕組み」を作ること、と定義しています。
一度売れる、短期で売れることは難しくありません。
それより地域に求められるのは「売れ"続ける"こと」の方。

またマーケティングをアンケート調査などの一時的なもの、と認識する方も多い印象ですが、実際のマーケティングは3段階に分かれます。
①分析・戦略
②目標設定
③施策実行と改善
です。

2016年、起業準備として私がまず手をつけたのは、この①の情報源となる「徹底的な調査」でした。
平戸市にこの先起こるであろう内容を、人口と経済のマクロ視点で調べてみたのです。改めて今、まとめたのが下の図です。
2000年には41,586人だった市が、わずか45年で63%減少し、さらには残った37%のうちの半分が、65歳以上の高齢者となることが見込まれています。

国立社会保障・人口問題研究所(以下社人研)の人口推計方法を用いた推計によると、 平戸市の総人口は、2040 年には 20,000 人を割り込み、2060 年には 11,457 人まで 減少すると推計されています。 生産年齢人口・年少人口は、減少が続いています。

このデータを知ったとき、「こんな絶望的な状況にあるのか…」と正直驚きましたし、悲しさも感じました。

え、数字ひどすぎん

消滅指定可能性都市の中に名前が挙がっているのは知っていましたが、自分が調べてみるとその数字が示す未来に、数段上のリアリティーや緊迫感を覚えました。
また、もうすでに起業した先の選択肢が、相当絞り込まれた、と考えましたし
そしてこの事実は、決して平戸市だけの課題ではなく、地方が今後急速に同じ状況になっていくことも予想もされました。


また、別のデータ一部も公開。
一人当たりの所得を東京、長崎、平戸と比較したものがこちらです。

2020年度における東京都の住民1人当たり個人所得は前年度比1.9%増の258.1万円。
2020年度における長崎県の住民1人当たり個人所得は前年度比4.6%増の122.0万円。
2020年度における平戸市の住民1人当たり個人所得は前年度比4.1%増の96.1万円。
平戸市と東京の経済格差約2.7倍です。

この通り、地域人口の減少は、伴って経済の縮小にも結びつきます。
人が減れば流通するお金の量も減る上に、高齢化が進む平戸市では減退が加速するばかり、と結論を出すしかありません。
しかも上記は、当時調べた内容のごく一部。

私の起業は自治体の創業支援補助制度を活用したのですが、ここに中小企業診断士に無料相談できるというサポートがありました。担当してくださった先生に関連するデータを伝え、探していただきました。
・平戸市流入人口分布と性別、年齢
・平戸市観光動向
・平戸市経済状況調査
・平戸市内ヒートマップ

また、スイーツ×ネット通販事業の決定についても、地域外販路の獲得が条件として見えていたことと
地域の課題解決になる販路を取りたい、という想いが強かったこともあり、ネット通販市場についてを主に調査しました。
・洋菓子店の市場動向(実店舗廃業数含む)
・洋菓子の分類別売上
・ネット通販市場動向
・お土産市場動向
・価格帯別商品特性の洗い出し
・インバウンド市場動向

など、複数の視点から統計を見ていきました。
マーケティングは外部環境・内部環境調査から始まる、を現場で学んだ経験から、今も新サービスや新事業作り、コンサルティングの土台となっています。

マーケティングインハウス化のための企業研修資料

平戸市の人口減が、高齢化・生産年齢人口縮小と共に進む中で、どう事業を生み出すかの方法論も、この調査結果から見出しました。いわゆる、データドリブン経営です。

データドリブン経営とは、データを活用してビジネス上の意思決定を行う経営手法のことで、本も多く出ています。

データを多く取ったことから、相当量の施策の方向性が確信できました。
『生産力が落ち続けた先の地域に手立てを持たない、目先の策を打つことはやるべきでないな』
『人が減っても対応できる少数品目の商品を、高利益レベルに作って、平戸の外に出して届ける方法を取らなければ、拡がることも、持続することもないな』
『むしろ、ネット通販市場が伸びていて、逆に実店舗が衰退傾向にあるな』
『ネット通販市場の方が固定費削減できそう。体制と利益と投資観点で考えても、合理的かもしれない』
と、調査時点で、長期的に広がる手段を選ぶことを決めました。
もう既に、短期の売上を立てることだけをやらない、比重を長期視点におく必要がある状況にあったのです。

生産効率が高い状態で、利益を確保する『人がいなくなっても対応できる、ミニマム組織でも利益が増える体制』を最初から作らないといけない。
これによって、この平戸市の厳しい未来予測の中でも、生存率を上げられると考え、私の起業人生がスタートしました。

にこにこ。

2.人口308人の町で、反対されながらネット通販ビジネスへの参入を決めた理由

平戸市は遣唐使、遣隋使の時代から諸外国との交流が深い港町としての歴史があります。

東インド会社が設置した貿易拠点が平戸オランダ商館。
歴史の教科書に載るレベルの島です。

そのため、観光地としての認知はとても大きく、平戸城や教会、寺院などの集客に強い歴史的な資源が集まる平戸市北部地区に、市役所や銀行などのライフラインも集中してます。

仏教とキリスト教が織り合う街

しかし私がアトリエを建てたのは、集客に強い市街観光地から車で50分ほど南下する、市内在住でも用事がなければなかなか行かないような、山の中。

起業当時のアトリエ

はい、このnoteを読まれた方は、きっとこの画像にびっくりするでしょう。
よく言われます。ここまで田舎とは思ってませんでしたと。
それは地域のみなさんも当然同じで
「なんでわざわざそんな山の中に。」
「せめて観光地の方に出店しないと、絶対にお客さんは来ないよ」
「専業主婦で、子供いて…。しかもそんな場所で始めるなんて、自殺行為じゃない?」
など、周りがご厚意で言ってくださる、心配する声がたくさんありました。


ただ、私自身は調査によってこの先の平戸市の経済圏で事業を進めるのは頭打ちで、進むべき道が
「付加価値を持たせた、高価格戦略」
「生産制約の中の事業推進」
「参入市場を地域の外に出す、販路のシフト」
を調査結果から確信として持っていたので、ご心配いただく声をありがたく頂戴し
「ほんとにどうしましょうね〜あはは!」くらいで返してました。


なぜなら、当時私は1歳と3歳の子供を育てながらの起業準備で、説明する時間がなかったことと
長期視点やデータドリブンな選択のため、話して理解してもらうには、やや難解だったのです。

ママは忙しい。子供はかわいい。

あとは「せめて観光地にお店を出したら?」という声も多かったのですが、それもしませんでした。
なぜなら、平戸市における市場規模の縮小は前述した通りで、出来上がった、且つ縮小する市場に新しく参入する、をカンタンに言い換えると
『地域の限られたパイを奪い合う、地域内戦で傷つけ合う未来』が、私の中ではイメージとしてありました。
地域での数少ない若手である私が、やるべき起業スタイルではないな、と考えていました。

ケンカせずとも、
周りから勝たせてもらえる場所を選べばよいのです。
平和が1番。

それより、成長するWEB市場に販路を取る。そしてノウハウを平戸に持ち帰る方が、よっぽど地域のためになり、且つ私にしかできない挑戦だと理解していました。だからこそ、地域市場への参入はありえないことでした。

令和3年度 電子商取引に関する市場調査 経済産業省
衰退する地方市場と対照的な流れがありました。

ここまでが、起業を決めて1〜2ヶ月間だったと思います。

起業すぐの市広報誌

挑戦を反対された時、小値賀が考えていたこと

もちろん、心配とは毛色が違う、否定的な意見もいただきまいた。失敗するに決まってる、そう決めつけてかかる方もいましたし、実際に私に期待する人はほぼゼロ。注目をされたい訳でもなかったので、静かなスタートでした。

驚いたエピソードがあって、当時開業までのプロセスをSNSで発信していた私にアンチ行為をしたのは、同じママだったことです。
そんなことしていいと思ってるの?というメッセージの裏には「自分はやらないのに、あなただけ」というような感情が見えて、やるせない気持ちがいまだに残ったままです。

ただ、メディアに取り上げていただいたり、成果が表面的になると、真逆なことを言っていただけますし
冷静に見ても、それはそういう反応をして当たり前だな、とも思っていたので、周りの声を気にしたか、と言われると全く、が正直なところです。
根拠を持って選択しているので、感情的になる理由がなく、落ち着いてにこにことしていられました。
徹底したデータドリブンである。
これは想いを持って経営する上で、またコンサルティングの支援とても、大切な視点だと考えています。

めざましテレビ、ZIP、台湾の有名な観光メディアなど
数多くご紹介いただきました

地域で新しい取り組みをする際、ネガティブなことを言われて気にしてしまう方が、このnoteを見てくださっていたら
「それは何も気にしないで。すぐにひっくり返るから。」
と伝えたいなと思います。

一見すると過酷な挑戦のように見えますが、備える調査を徹底していたのは前述の通りです。その上で反対されても、「あなたの持ってる情報から生まれる判断は無理でも、私が持っている情報から生まれる判断としては行ける」という”準備から生まれる自信”がありました。
地域は感情論や短期の話ではなく、もっと俯瞰で全体を見て、今後予測されることから逆算する長期の話が必要です。
その上で、参入する市場や顧客、セービスを選定する方が、未来に対して重要度も緊急度も高いのです。


でも、もうひとつ言いたいのは、私にひとつも不安がなかったかと言われると、そうではなかった、ということです。
専業主婦で、お金も経験も知識もない。学んで改善していくしか方法がない。怖い。どうしよう。
そんな思考に持っていかれることも、もちろんありました。それでも最終私が考えていたのは「私の人生を創るのは、私」「例えうまくいかなくても、うまくいくまでやるだけだ」というある意味、開き直りでした。

やってないことをできないと言うのは
事実ではない

地域は保守的な傾向が高いと思いますし、私自身も非常に保守的です。保守的が回り回ってスピードを上げた結果、オフェンシブに見えるだけ、が裏側だったりします。

また、やったことがないこと、聞いたことがないものに対して、人はかならず拒否反応を示します。

スクール資料から抜粋
挑戦プロセスで起こる心理変容です
やったことがないものに挑戦する時
恐怖心を抱えるフィアゾーンがまず先にやってきます

でも、だからこそ、それは選ぶべきです。みんながやっていることの先は、ただの飽和です。挑戦するからこそ得られる先行者メリットを、手堅く取りにいく知性を育てることが、私自身を強くしてくれました。

3.供給制限がかかる地域における売上最小化、利益最大化。
売上と利益を4象限に分解、
参入する市場と商品企画開発をルールに。

次に私が考えたのは、売上と利益を分類し、どの市場に参入するかや
どのプライシング構造で持って市場に参入するかについての、ルール化です。
ここまでは起業準備段階の話でしたが、これ以降はより事業推進の具体の話になります。

『売上最小・利益最大』は、生産量を追えない地域ビジネスにとって、基礎となる考え方です。
利益と売上を4象限に分けた時、まずは売上が小さくても利益が大きいAのセグメントから始め、付加価値を持たせたブランド設計・顧客満足度が高い、少数品目の商品を作り上げる。
その後にプロモーションや営業によって市場配荷率を上げ、市場Bに定着させれば、少数品目販売で生産効率が上がります。ひとつの販促プロモーションも複数市場に展開でき、レバレッジが効くのではないか。
少ない人員でも経常利益を確保して売上を伸ばすことができるのではないか、という仮説を立てました。


商品のプライシング構造を作るかを考えた時に、地域でよくあるのは、原価+販促費+利益の単純加算方式です。
これでは、利益創造が生まれません。

そうではなく、地域素材や歴史、ストーリーやコンセプト、体験価値を加算した、マーケティングやブランディングによるプレミアムプライシングを持ち込むことと

日本企業にありがちな、機能がたくさんあるけど、ユーザーはほぼ使いこなせない系の不要な付加価値を乗せない、利益の無駄を内包しないという考えを持って商品企画開発に取り組みました。


バルミューダのトースターは
なんと¥35,200(税込)

iPhoneやバルミューダが良い例です。
顧客を圧倒的に感動させる機能だけに削ぎ落とすことで、専門性がわかりやすく伝わっています。ユーザーがプロダクトから得られる特別な体験やステイタス、ブランドストーリーの付加価値を中心に置き、唯一無二のポジションによって利益を生み出すブランド設計です。

毎日食べるトーストだからこそ、
上質な幸せを得られるなら高い買い物ではない、という
感情を沸き立たせるような見せ方です。
今買いたいものNo.1。笑

このストーリーテリングを含めたブランド設計が、利益として積み上がります。まずはAの市場で、付加価値を持って戦う基礎を備えるのが先です。ここを焦るとこの後、Bの市場に引き上げるために配荷率を拡大した際に、躓いてしまうのが予測できました。

1万個売るより、1000個販売するだけで成り立つ
サービス設計が地域には必要

例え初期売上の伸びが緩やかであっても、基礎ができれば後から伸ばすのは難しくありません。
A市場でブランディングされた状態を作ることができれば、B市場に拡大してもプライスダウンをする必要がなくなります。
市場選定と、商品企画開発に関するプライシング、ブランド設計の方向性がここで生まれました。

上記は、さらに詳細に、地方企業が新規事業を立てる場合、意思決定の重要度と緊急度を短期視点、長期視点を加えて分類した資料です。

持続可能な事業を生み出すためには
・地域外の顧客にリーチを取る(▶︎地域の人口減、経済縮小による影響を避ける)
・高品質、高付加価値の商品を小品目で展開する(▶︎生産年齢人口減少の供給制限の中でも、利益を伸ばす体制ができる)
・オンライン、オフラインのどちらも使う(▶️商圏拡大について、現代はネット市場の売上が右肩上がり。A市場からB市場への展開にどちらも取れるように設計する)


これらの実行により、事業展開速度は上がり、利益体質な最小限の組織体制は、自然と、そして着実に構築されました。
下記が、実際の月商の伸びです。

D2C市場を選択したのは、思いつきでも無謀な挑戦でもなく、それが進むべき道だっただけのこと、が事実でした。
ここまでが、起業準備段階で見通した全体像です。

マーケティングはこのように、確度が高い仮説を導くことができます。
起業すると決めたものの、不安で、しかもお金も時間も限られた私ができることは、動くレベルを上げる、しかありません。
やるべきことを見定め、動くだけで済むように準備する。動いた結果の分析をさらに進め、より進むべき道に対して、近いであろう道をまた選ぶ。この繰り返しです。


すでに1万字近いのですが笑
明日はD2C市場で勝ち抜くために実施した、5つの成功の鍵をすべて公開します!
↓予告

初めてこんなふうに詳細に記録したので、伝わっているかどうか不安です。
ぜひRT、シェア、感想で、教えていただけると嬉しいです…!


ではまた明日、お会いしましょう!