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#124『眠っているうちに病気にならない体をつくる本』根来秀行

「眠っている内に病気にならないように」ではなく「病気にならない体を、眠っている間に作る」という意味です。このタイトル、誤解を招く。
 内容は、睡眠時の回復効率を高める方法について。

 当たり前のことだが、眠っている間に体は治る。また脳内は整理される。しかし時間を上手く調整すると、効果が倍増する。そこで成長ホルモンとメラトニンの分泌されるタイミングに注目する。

 まず成長ホルモンだが、これはいつも分泌されているが、その内の70%が睡眠時である。しかも最も出るのは最初か2回目のノンレム睡眠(夢も見ない完全放電状態)で、眠ってから1-2時間後。なお、レム睡眠の時は実は情報処理や夢などによって、覚醒時と同じくらいエネルギー消費しているとのこと。
 これ、パソコンに例えると、閉じているけど「フィーン…」と音を立てているのがレム睡眠で、完全無音がノンレム睡眠という所だろうか。
 子供はノンレム睡眠が多いので、起こしてもなかなか起きない。一方、年を取るとレム睡眠が多くなるので、ちょっとのことですぐ起きてしまう。というのも、成長ホルモン分泌量のピークは20歳。40歳で半減。60歳で1/4となっている。
 成長ホルモンは成長だけでなく、全ての再生活動を担っているので、「もう成長は止まったしな」なんて悠長なことを言ってはいけない。そして睡眠時の分泌量は減っているので、他で補うのが望ましい。
 成長ホルモン分泌が促される条件は睡眠以外にもある。それは
①血糖値低下(つまり空腹)
②ストレス(やりがいのある負荷みたいのが良い)
③運動

 とのことなので、要するにだらだらブクブクと生きるのではなく、気合を入れてメリハリのある暮らしをしている人は健康、とそういうことになる。

 睡眠時に分泌されるもう一つの大事なホルモンはメラトニンである。これは老化を進める「フリーラジカル(活性酸素を含む)」を無害化する。フリーラジカルは生きている限り必ず発生してしまうゴミのようなものなので、メラトニンに仕事してもらうしかない。
 成長ホルモンはスコンと眠りに落ちれば勝手に分泌を始めるが、メラトニンの分泌には外部的なスイッチが必要。それは光を浴びることなのである。しかも面白いことに、光を浴びてから15-16時間後に分泌が始まる。本当に、自然というものは面白いものである。
 著者は結論として「23時に寝て6時に起きろ」と言っているのだが、6時は23時から17時間前である。これで眠る頃にはメラトニンが程よく分泌されている状態を用意することができる。
 なお、光を受けて松果体が反応し、メラトニン生成準備を始めるのに必要な光度は3000ルクスで、昼間の窓際に相当する。なので朝日を浴びないといけない訳ではないらしい。明朝からはこれまで以上に有難い気持ちで窓の向こうの朝の空を拝むことにしよう。ちなみに曇りでも屋外なら1-2万ルクスというので、曇りの日は敢えて朝は外に出るのが良さそう。
 注意点は、夜、強い光を浴びるとメラトニン分泌のテンポが狂ってしまう。そういう訳でパソコン、スマホ、テレビの類はやめた方が良い。

 睡眠時間はどうしても7時間は取った方が良いそうだ。というのは成長ホルモンとメラトニンの分泌ピークは、上の条件を揃えた場合確かに23-2時くらいになるが、分泌された成長ホルモンが全身にいきわたって修復作業に勤しむには、その後の時間も確保しないといけないからである。「分泌完了!起床!」と早起きしても、三文の得はないらしい。

 その他、学んだこと。
・皮膚は4週間で総入れ替え。骨は5年で総入れ替え。
・フリーラジカルには抗酸化物質。これは言うまでもないが、ビタミンEは体で作れないので、大根、モロヘイヤなどから摂る。
・光を浴びる/暗くなるを松果体が判断し、セロトニンからメラトニンを作る。セロトニンを作るのは必須アミノ酸(外から取るしかない)トリプトファン。例えば、納豆、チーズ。
・睡眠前の食事が駄目なのは、胃の活動が交感神経を活発にしてしまうから。
・アルコールで得られる眠りはレム睡眠だけ。
・わずかな明かりでもメラトニン分泌を阻害するので、夜は真っ暗に。

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