でんがんさんたちと数学した話(がち数学勝負参加記)【中編】

こんにちはこんばんはおじゃめしです。前回の記事では本番までのお話を一通り書きました。今回は本番周辺のお話を時系列にまとめたものです。前編を読んでいない方は、まずはそちらからお読みください。あと、ネタバレもあったり動画でカットされていることもしゃべりますが、ご了承ください。

前編はこちら↓

本番開始前

待ちに待った本番です。作問サークルの仕事をした後、指定された時刻に会場へ向かいました。高校時代の総体予選の試合前くらいには緊張していたので、音楽を聞いて落ち着こうとしました。この時は「ゲストの方々の引き立て役とはいえ、前に立って数学するからには問題を正解して勝ちたい!」と思っていました。ちなみに、本番周辺ではRADWIMPSの大団円という曲を何度も聞いていました。勝負事の前にオススメです。

ところで、ふと会場内の看板に目をやると、こんなことが書かれていました。

「でんがんさん, キムさん, ゆうゆうさん VS 慶應理工代表 がち数学勝負!」

……

代表の覚えはないんだが???

代表に相応しいくらい数学できる人たちなら、今作サーで仕事をしているが???

元はと言えば、でんがんさん達と数学したいという無邪気な心を暴走させて申し込んだわけなので、「所属団体を代表して…」なんて自覚は皆無でした。一気に身の毛がよだちましたが、もうどうしようもないので腹を括ることにしました。俺が代表だ(震え)。

というわけで会場内に入りしばらくしていると、でんがんさんとキムさんとゆうゆうさんがいらっしゃいました。本物や〜などと思いましたが、緊張しすぎてまともに反応することもできませんめした(もったいない)。あと、でんがんさんが三脚とカメラを準備されており、打ち合わせではそのような話がなかったけど、YouTuberだしやっぱり動画にされるのか〜という風にも思いました。どんな動画になっちゃうんだ〜

そんなこんなで本番前の軽い打ち合わせがありました。ここで順序変更が伝えられ、先鋒がdragoemonくん(組み合わせor整数)、中堅がぼく(図形)ということになりました。また問題としては

  • 難易度はじぇも予選級くらい

  • 目安の解答時間は先鋒5分、中堅8分、大将8〜10分(必要に応じて延長)

  • 思いつけば無理なく時間内に解ける

  • 図形が一番難しい

とのことでした。図形担当である私はひえぇ〜となりました。

軽い打ち合わせを終え、控え室みたいなものに通されました。ここで自分は緊張を爆発させ、チームメイトに迷惑に思われそうなほど、とにかく動きまくってしまいました(カス)。

控え室では問題の予想っぽい話になりました。Kenくんも「今週の積分」をやってきたようで、考えることは同じだな〜と思いました。また、dragoemonくんはじぇも予選7-10くらいの組み合わせが十八番なので、それが出て欲しいみたいな話をしていました。あと、図形は思いつかないとしんどいよね〜という話にもなりました。

ところでdragoemonくんは「先鋒の自己紹介に被せて自己紹介を行う予定だったので、どうしよう」と違った方向での心配事もしていたので、とりあえず、自分の実績を話しておけば大丈夫だよ〜と謎のアドバイスをして先輩風を吹かせておきました(カス)。

本番!

というわけでいよいよ本番が始まりました。多少緊張は収まっていましたが、出番を控えているということもあって、質問コーナーの内容は半分くらいしか覚えていません。とりあえず、御三方のワードセンスや返しが天才すぎると隣のKenくんと小声で話したこととチーバくんのぬいぐるみを持っていたクセ強お姉さん(超失礼)の「千葉大のことどう思ってますか」という質問は覚えています。後日談ですが、Twitter上でのでんがんさんへのリプライでその方を観測したので、好奇心でフォローしたらフォロバしていただけました。うれしい。

トークが面白かったことと緊張が相まっていて、質問コーナーの30分はあっという間に過ぎました。

司会の方「それでは、本日の目玉企画。『がち数学勝負』に移ります!」
でんがんさん「いや、ゆる数学勝負でいいよ笑」

ぼくもゆる数学勝負したいなぁと思いながら壇上に登りました。まずは自己紹介ということで、dragoemonくんは数オリ本戦出場経験を、ぼくは作サー創設のことを、Kenくんは駿台全国模試数学のことを、それぞれ切り札として語りました(※作サー創設は切り札なのか???)。自分のことについて少し述べると、一念発起して作サーを作ったきっかけの一つに、「はなでんさんや積分サークルさんが理系の話を切り口にして活躍されていることに憧れを覚えたから」というのがあるのですが、それを向こう側に上手く伝えられず、軽くあしらわれてしまいました。ざんねん。

勝負に先立ち、観客の皆さんはどちらを応援しているかという話になりました。やはりでんがんさん&積サーさんチームの方はかなり手が挙がっており、そりゃゲスト側に勝ってほしいよなぁと、少し寂しい気分になりました。その気分を払拭したかったこともあり、咄嗟の機転(?)で「『対戦者がゲストチームを応援している』というボケをかましてツッコんでもらおう」と思い挙手してみましたが、「ゲストチームを応援する意味不明な対戦者」として変な目で見られることになりました。後悔はしていません。
しかし、我々を応援してくれるという手もそれなりに挙がっており、少し安堵したと同時に勝ちたいという気持ちが強くなりました。

では、ここからは感想戦をしていこうと思います。ネタバレも多く含んでいますので、そこらへんはご注意ください。

第1問(dragoemonくん VS ゆうゆうさん)

初っ端の問題なので、自分もどんな問題が来るかとドキドキしていました。問題の内容は組み合わせでした。覚えている範囲で設定を書いておきます。

正八角形上の頂点に1から8までの数字を一つずつ書き込む。正八角形の辺で結ばれた2つの頂点の組すべてについて、それらに書かれた2つの数が互いに素であるような書き込み方は何通りか?ただし、回転や裏返しによって一致する書き込み方も異なる書き込み方として考えるものとする。

昔のオリ予選(らしい)

司会者の方曰く、出典は昔のJMO(かJJMO)の予選らしいです。とはいえ、マス目や多角形の頂点に数字を入れていくC問題は、OMCでも何度か目にしたことがあります。偶数を決めて3の倍数を決めればうまくいきそうです。
今回の場合、偶数は一つ飛ばしに並べるしかありません。円順列っぽいのでとりあえず2を固定して見ると、残りの偶数の入れ方は6通りです。次に、3が6と隣り合ってはいけないので2通り、1,5,7はどう入れてもいいので6通りなので72通りです。という感じでKenくんも解いており、dragoemonくんもそれっぽいことを書いていたので一安心していました。しかし、dragoemonくんが修正を願い出たので、ぼくとKenくんも意見交換をしました。

ぼく「ん、なんか見落としてるかな」
Ken「あっ、裏返し考えるから、2で割るんじゃ…」
ぼく「??でも裏返しで一致するやつも異なる扱いだから、これでいいんじゃ?」
Ken「違う、回転だ!固定して考えていたから8倍するんだよ!」
あっ「ぼく」

初歩的なミスすぎる。その通りで576通りです。普段自分はOMCに出ているのですが、OMCでは10回まで誤答を送信することが許されているので「ひとまず答えが出たら送ろう、間違えていたら考え直そう」という立ち回りをしがちなんですよね。あまり一発で合わせる意識をしていなかったことが、壇上に来て反省点となって浮き彫りになりました。

という感じで制限時間を迎えました。ゆうゆうさんは「サル=エル論法」なる高等術式(?)を召喚しましたが数値が合わず、dragoemonくんも基本的な方針は私たちと一緒でしたが、最後に問題文を誤読して÷2をしてしまい、結果が合わずという感じでした。dragoemonくんはかなり悔しそうでした。自分ももしあの場に1人で立っていたら、方針はいいもの最後の処理に気付かず誤答していたので、それを想像するとdragoemonくんの悔しさは痛いくらいよく分かりました。会場内で解けた人はちらほらいました。えらいです。

第2問(ぼく VS でんがんさん)

いよいよ本記事のタイトル回収です。個人的には一本取りたかったので、めちゃめちゃ気合いが入っていました。でんがんさんと目があったのでとりあえず会釈をしたところ、「アイツ、インターハイの対戦相手並みに怖い目してた」と茶化されてしまいました。変なところで体育会系を出しちゃうんだよなぁ、マジで。
とはいえ、やることはシンプルでいつも通り数学をするだけだと理性では思っていました。「いつも通り頑張るだけ頑張って、ダメだったらしょうがない」というお気持ちです(OMCもそんな感じで挑んでいて、ダメな時の方が多いのですが)。ただ、いつもOMCは1人で自室にこもってやっているのですが、今回は約200人のお客さんが目の前で、とても圧倒されたことを覚えています(全然関係ないけど、これを目の前にして授業する大学教授ってすげぇなとも思った)。今思えば、全然いつも通りではないあの雰囲気に完全に気圧されていたのかもしれません。

3問の中で1番難しいけどわかると気持ちいいと言われていたのですが、どんな問題が出るのでしょうか。身体は理性の言うことを聞いていなかったので、かなり浮ついた感じで問題を聞きました。

(図で記されていたのをすべて文章にしているため、煩雑になっています)
直角三角形ABCがあり、角Bが直角である。ここで、(1)の条件を満たすように正方形PQRSを、(2)の条件を満たすように正方形XYZWを入れた。

(1) 辺PQは線分AB上、辺QRは線分BC上、点Sは辺CA上
(2) 点Xは線分AB上、点Yは線分BC上、辺ZWは辺CA上
 
(1)を満たすような正方形PQRSの面積が441、(2)を満たすような正方形XYZWの面積が440のとき、AB+BCの値を求めよ。

多分JMO予選

おそらくこれもJMO予選が出典です。パッと見た感じ、方針があまり明確に見えませんでした。とりあえず、言われるがまま図を描いてみると、相似が大量発生していることはわかります。また、(1)の状態だと正方形の一辺は21ということはわかるのですが、(2)の状態とどう紐づけるべきで悩んでしまいました。問題を解くつもりでいたのに開始2,3分があっという間に経過し、思わずペンを置いて「やべぇ」と呟いてしまいました。
あらかじめ強調はされていたし、JMO予選であることは知っていたので、何かいいやり方があるんだろうなとは考えていました。でんがんさんの状況はわかりませんでしたが、うまく閃ければ勝負で優勢になるのではないかと賭け、いくつか案を考えてみました。組み替えしてみる?直角三角形を4つ並べて正方形 in 正方形を作る?あるいは(1),(2)の三角形の一辺を合わせて形を探してみる?などと思いましたが、全然いけそうにありません。ここで、でんがんさん側から「方程式が立った!」「あとはWolfram にぶち込めば!」というガヤが上がり、さすがに劣勢でまずいので、綺麗に解く方法を諦めてゴリ押してみることにしました。一部分を文字でおけば三平方と相似で辺を無理矢理文字で表して等式を立てることができるので、あとは式がうまく変形できることをお祈りしながら頑張るだけです。ただ、先程のガヤの通り、今回の問題も無理やり式を立てたところで手計算じゃ限界がありそうな気がしたので、ここから逆転してでんがんさんより速く解くことはできないだろうなと悟りました。とりあえず式を立てて根号を外そうとしたところで時間切れになりました。再び問題を見て「聞かれているのは "AB+BC" だったが、完全にそれを忘れたままそれぞれの辺の長さを求めようとしていた」ことに気付き、それに気付けば良い解法が思い浮かんだのかもなぁと思いました。

でんがんさんも完全に方程式を解けていなかったようでしたが、自分はABの長さについて方程式を立てたのに対し、でんがんさんは二つの面積の差が1になることに注目して方程式を立てたらしく、ほぇ〜そんなこともできるのかとなりました。自分も流れを説明し、解説を待ちました。解説では三角比を用いた計算を行っており、「考え方は近い気がするけど、相似な三角形の少なくとも1つの辺の長さが21であったり√440だったりしたから、三角比を使うより別の辺を文字でおく方に行ってしまったな」と反省しました(キムさんは三角比の匂いを嗅ぎつけていたようで、経験の差が出てしまったな〜と思いました)。また、これは結果論ですが、解説を聞いた感じ、綺麗な解法を思いつくのをはじめから捨てて愚直解に走るという戦略を取る方が良かったのかもしれません(体育会系数学部さん……)。いずれにせよ、勝つことはできなかったし、計算ミスによるロスもあって制限時間内に値を出すことさえもできませんでした。何のためにこの場に上がったんだろうという悔しさを噛み締めたまま、大将戦を眺めることになりました。

第3問(Kenくん VS キムさん)

キムさんが暗算でチャレンジするらしく、動画としても盛り上がりそうな感じだなぁと思いました。第3問はこんな感じでした。

1^2+2^2+…+l^2 を多項式の積分の形で表せ。
ただし、解答の過程でΣ記号を用いてはならない。

あとで書く

見た瞬間

共テ追試の誘導抜きやん!!!!!!

となりました(いま調べてみたら今年の共テ追試のようです)。Twitter上で「誘導付きでなかなかいい問題出すじゃん」みたいな評価を受けて話題になっていた記憶があったんですよね(あまりツイ廃の記憶力を舐めるなよ)。しかし、誘導までちゃんと覚えているわけではなく、「どうやってたっけ〜。確か、積分区間をn~n+1にして、任意の正整数で積分結果がn^2になるような上手い被積分関数を考えればいいんだよね。でもそれって、実質Σ使う計算じゃない?」と迷走していたところでコメントを振られたので、解けなかったことがトラウマになったなどと半分冗談(半分本当)の訳のわからない感想を言いました。このコメントは下手でしたね。

答えだけを出すなら「神のお告げより総和はl(l+1)(2l+1)/6なので(ラマヌジャン並感)、それを微分して答え」という風にやればΣを使わずに(笑)できますが自分の中では釈然とせず、「そもそも『Σを使わずに』って何だ???」という本筋から逸れた方面に思考をめぐらせていました。そうこうしているうちにキムさんが暗算で解ききり、Kenくんも無事解答を書き切り制限時間を迎えることになります。

解答は両者とも一致しており、会場内はおおお〜となりました。その後、積分区間が1ズレた模範解答が表示され、会場内はえええ〜となりました。その後色々あって両者正解ということになり、会場内はあああ〜となりました(関数を平行移動させればよいので、まぁ)。結果としては暗算でスピーディーに解いたキムさんの方に分があるとなり、総合的にもゲストチームの勝利となりました。とはいえ、宣言通りケアレスミスなく問題に正解したKenくんはカッコよかったですし、暗算で正答に辿り着いたキムさんはやはり強かったです。

エンディングトーク

勝負が終わりエンディングに入りました。でんがんさん達が喋っている間にマイクを渡され「次振るんで、準備しててください」と言われたので、大将じゃなくて俺なのか〜() と思いつつコメントを考えることにしました。最後のコメントでは、それっぽいことを言って耐えれた気がします。めでたしめでたし。

その後

控え室に戻りましたが、各々対戦内容に悔しさが残っており、かなり重い雰囲気になっていました。dragoemonくんが「第3問はベルヌーイ多項式が絡んでいる」ことを教えてくれ、ほえぇ〜となりました。また、dragoemonくんは「矢上杯(作問サークルで開催していたコンテスト)のE問題、不備あるらしいっすよ」と教えてくれました。E問題はぼくが作った問題だったので、生きた心地がしなくなりました。この懸念は、自分が作サー垢で謝罪文を投稿するまでずっと頭から離れませんでした。

ある程度時間が経ったところで写真撮影になりました。が、先ほどの懸念が脳裏にこびりついていたため、うまく笑えていたかはわかりません。ちなみに、後で写真を見たところ、単純に写真写りが悪くて悲しい気持ちになりました(元が悪いとか言うなよ!!!)。その後はサインタイムとなりました。本当は船旅にサインしてもらうつもりだったのですが。持ち物を会場内に置いたまま退場してしまったため、その願いは叶いませんでした。しかしdragoemonくんがTシャツにサインしてほしいと頼み込んだため、それに便乗してぼくもサインしてもらいました。その際、OMCTシャツが話題になり、でんがんさんが「DMで問題送ってくれたら、マジで動画に取り上げるよ」と言ってくださいました。すみません、ぼく、訳あって貴方にDM送れないんですよ…(これについては後編で書きます)
また、矢上祭実行委員の方のバイトを当てるという大喜利大会が開催されましたが、先ほども言う通り懸念が頭を付きまとっていたため「大喜利大会を楽しみたい!」という気持ちと「早くサークルに戻って謝罪文を書かなければ…」という気持ちが入り乱れてゴチャゴチャになっていました。
その後はお見送りをする予定だったのですが、荷物を取りに行くよう促されてそうしている間に実行委員の方を見失ってしまいました。5分待っても何もなかったのでサークルに戻りました。おしまい。

その後2

家で謝罪文を完成させようとしてパソコンを開いたら、電源がつかなくなってしまいました。今日は厄日か???????????

次回予告

本当は間髪入れずに「がち数学勝負」に関する感想をまとめていく予定だったのですが、さすがにここまでの分量が多すぎて、皆さんも読むのに気力を要したと思います。そこで、感想は【後編】として新たな記事でまとめることとします。興味のある方は、もう少しお付き合い願えればと思います。

では、ひとまず、ここまで読んでくださりありがとうございました!

後編はこちら↓


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