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ビール禁止となったW杯の2日前からの起死回生プラン「Bring Home The Bud」


Summary

1986年からサッカーW杯の公式スポンサーであるBudweiserは、カタールW杯でビール販売が禁止され、4年間かけて策定してきた世界的なマーケティング計画が実行できないという問題に直面した。

この問題の原因としては、「ビールは観戦中に飲めなければ、ブランド体験とは思えない」というW杯のファンの認識がある。

しかし、この認識の奥には、「特別な瞬間やコミュニティとのつながりをビールを通じて最大化したい」というインサイトがある。このインサイトに応えるため、Budweiserは「観戦を超える一番の特別な瞬間は、優勝である」という事実に着目。観戦をブランド体験にできない代わりに、優勝を祝う機会をブランド体験に変えることができるのではないかと考えた。

そこで、W杯で販売予定だったバドワイザーをすべて優勝国に無料でプレゼントすることを発表。試合会場で販売できなくても実施が可能な上に、優勝が決まるまでの期間もたくさんの注目を集めることができた。

このアプローチにより、「ビールは、観戦を楽しむための飲料ではなく、優勝の象徴である」という価値変容を通じて、優勝への渇望とバドワイザーへの渇望に連動した、世界的なファン運動に発展し、当初の目標以上に消費者との関係を深めることに成功した。


Deconstruction


Brand

Budweiser - 1986年からサッカーW杯の公式スポンサーである

Target
W杯のファン。

Objective
カタールW杯でビール販売が禁止され、4年間かけて策定してきた世界的なマーケティング計画が実行できない → W杯の機会を最大限に活かし、消費者との関係を深める。

Barrier
ビールは観戦中に飲めなければ、ブランド体験とは思えない。

Insight
特別な瞬間やコミュニティとのつながりをビールを通じて最大化したい。

Thought starter
「観戦を超える一番の特別な瞬間は、優勝である」という事実に着目。観戦をブランド体験にできない代わりに、優勝を祝う機会をブランド体験に変える。

Execution
"Bring Home The Bud"
W杯で販売予定だったバドワイザーをすべて優勝国に無料でプレゼントする施策。試合会場で販売できなくても実施できる上に、優勝が決まるまでの期間も注目を集めることができる。

Transformation
ビールへの価値変容
観戦を楽しむための飲料 → 優勝の象徴

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