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【不思議な話】視線

私が中学生の時の話です。

私は当時、両親と共に離島に住んでいたのですが、ある時、沖縄で一人暮らしをしている姉から家に電話がありました。

「今部屋で1人なんだけど、なんかさっきから誰かに見られてる感じがするんだよね。嫌な感じではないんだけど、なんとなくそっちに電話した方がいい気がして電話した。」

姉はあまり細かいことは気にしない性格だったので、こんなことで電話してくるなんて珍しいなと思いながらも、少し雑談して電話を切りました。

その直後、再び家の電話が鳴り、今度は母が電話をとりました。

母はしばらく話した後電話を置き、泣きそうな声で私に言いました。

「今さっきね、東京のMが癌で亡くなったって。」

Mというのは、私の叔母にあたる人です。母がとった電話は、Mさんの旦那さんからの連絡でした。

末期癌で長らく闘病していたそうですが、私たち家族に心配をかけないよう、黙っていたそうです。

Mさんは、私が産まれた時にはもう東京に住んでいましたが、年に数回は私たちの住む島にやってきて、幼かった私と姉をよく遊びに連れて行ってくれました。

私の両親は少し、姉よりも末っ子の私を可愛がるところがあったので、Mさんはいつもそんな姉を気にかけてくれていました。

私は今でも、姉があの時感じた視線はきっと、亡くなってからも姉を心配して見に行ってくれたMさんだったんじゃないかなと思ってます。

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