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「esports(eスポーツ) 市場規模」でググってみた。(約5,000文字)

ある人がお酒を飲みながら私にesportsの話をしてきました。とにかく、なんでもかんでも課題解決を考えるのが好きなその彼と語ったのが、
(1) 怪しいチームが多い
(2) esportsは「バブル」でありそのうち終わる
(3) 健全さ、公正さに欠ける
(4) 若い世代はみんな金欠
(5) 賞金よりYoutuberやゲーム実況の方が稼げる
こんな内容だったと思います。なんだか中身があるようでないような話だったのですが彼の話はいつも面白いので自身の記憶をたどりながら適当に書いていきます。

(1) 怪しいチームが多い

ゲームというカテゴリの中に内包されているためesportsそのものは依然としてニッチな分野ではあるのですが、少なくとも3年前、5年前に比べて「esports」という言葉自体を新聞やネットで多く見かけるようになってきていることは(当社比)間違いないと思います。それゆえに「ゲーミングチーム」というものも松竹梅で分けてみることが出来るようになりました。

固定給が出る、賞金も選手100%-50%(タイトルによる)、スポンサーもファン側である程度認知があるような会社が並んでいる・又はこれらの条件を自社での自給自足で出来ているチームが「松」。固定給はないがスポンサーは最低限おり、現物支給でのPCや周辺機器貸出しなどが行われていて運営実態がある程度外側に開けているチームが「竹」。そして、人は集めた、固定給はない、お金の出どころや流れが不透明且つ継続性に欠ける、運営実態もブラックボックス、オーナーや資金提供者などに正直「怪しい人」や怖そうな人がいる、これが「梅」。
この中でも厄介なのはこれから竹を目指す「梅」と、ただ怪しいだけ、ノリで作ってみただけの「梅」を多くの第三者が見極める術がないということなんですよね。これは「ゲームパブリッシャー」「チーム・プロプレイヤー」「一般プレイヤー・ファン」それぞれの間に起きている情報の非対称性ほどではないんだけれども、タイトルごと、各地のローカルなゲームコミュニティごとの過去まで遡った情報がないと判断ができないことが結構あるみたいです。もちろん「過去なんて気にしない」とか「出どころ問わず金は金だ」という考え方もあるでしょう。ただ、竹なり松なり、より市場を大きく、開けたものにしていこうという人たちにとっては明らかに影の部分になるよねっていう話をしていたんですね。

(2) esportsは「バブル」でありそのうち終わる

「esports 市場規模」でその場でスマホでググったんですね。お酒飲んでるその彼が。そしたら「2018年の市場規模は48.3億円と推定」っていう記事が検索で出てくるわけです。でその何段か下には全世界のesportsの市場規模は初の1,000億円台突破へ!という記事も出てきました。
その一方で私たちの友人が働く業界はどうだろうねって二人でググってみたんです。ついでに。そしたら、
・メガネ(2018):約3,200億円
・腕時計(2018):約8,000億円
・エステ(2017):約3,500億円
・ライブ/エンタメ(2018):約5,000億円
・スポーツ観戦(2018):約7,400億円
ざっくりなので誤差や記事によっては違いがあるかと思いますが、桁が変わることはないので先ずそこはご容赦ください。上記「対象が広い各業界」に比べてesportsは「世界で1,000億円突破」がニュースになるということは依然ニッチであり「CAGRが高いから一時的に投資マネーが集まっている(とりあえずお金はっとけ的な)」という見方をされるのも分かる気がします。さてここで思い出してください。バブルって「カネ余り」+「成長への強い期待感」が必要ですよね。チューリップバブルみたいにはならないでしょうけど、セカンドライフを経験されている世代の方もいる中「大丈夫!メガネ業界もつい数年前までは4,000億円あったし!」とか「音楽業界だってCD売れなくても潰れていないじゃん!」で流すのか、それとも冷静に「ゲームパブリッシャーは無くならないけど、商流の中間にいる企業と神輿のうえで踊っていたプレイヤーたちにとっては冬の時代が来る」と考えて、市場自体を単なる値下がりとみるか、バブル崩壊の予兆と判断して動くか。みんなそれぞれが考えて向き合っていく必要はありそうです。「国内esports市場は広告費(スポンサーなど)が占める割合が80%です!」って聞いてそれぞれどう思うか、捉えるかですよね。
その一方でやっぱり気になったので「ゲーム業界そのもの」もググったんです、二人で。そしたら「スマホゲーム(2018):1兆円以上」とか「家庭用ゲーム市場(2018):約4,300億円」とか国内だけで1兆5,000万円以上軽くいくわけですね、これなら一安心。単純に「ゲーム(業界)に関わる仕事がしたい+稼ぎたい」だけなら間違ってもesportsは(稼ぎたいという意味で)職種として志すべきではなく、良い子のみんなはゲームパブリッシャーやスマホゲームの会社で大きなお金の流れと市場の構造を勉強するのが合理的なのかな、という人がいるのもある程度は頷けますね。

(3) 健全さ、公正さに欠ける

これは「オリンピック」やら「スポーツかスポーツじゃないのかマインドスポーツには含まれるのかetc.」という類の話が1つと、あとは「ゲームばかりやるとバカになる」とか「ゲーム依存症云々」とか「ゲームばかりやっていないで勉強しなさい」的な、ネガティブなイメージとの向き合いがもう1つ。
日本の場合、認知度やTV露出で行くと一線で活動するプロゲーマーと呼ばれる人たちの中には30代の人も結構いると思います。その人たちの多くはまだまだ専業で生計を立てることが難しかった今よりも何年も前からこのネガティブな声と向き合ってきました(若しくは聞き流していた、耳に入っていなかったというケースも)。その一方でゲームパブリッシャーやハードを提供するメーカー側も「ゼロにできないのは分かっていても、せめてネガティブなイメージをプラスマイナスゼロに持っていけないか」とかあの手この手でプラスではなくいわゆる「プラマイゼロ」を目指し試行錯誤してきた経緯があります。ただ、この手の問題は比較対象が一般的な「スポーツ」である限り分が悪く、またそもそもゲームを作る側はそこを目指してやってきていないので無理がある話というか、それを期待しちゃうのもなかなか大変だなぁと思います。
ルールの話も同じで、大会ルールはどうしても一般的なスポーツのようにはいかず、いい意味でも悪い意味でもパブリッシャーの意向が反映された「ゲームの大会」の域を抜けません。中身(キャラ性能や競技性においての公平さの追求)についてもそうですね。「競技シーン」はたしかにそこにあって、ドラマも生まれるのですが、そこに公共的な何かや健全さ、公平さなどを求め始めると途端にハードルが上がっていき解決すべき課題も多くなってきてしまいます。「国内で48億円市場に」がニュースになるesportsにそこまで皆さん求めちゃいますかね。「みんなゲームセンター行ってたじゃん!プロ云々賞金云々じゃなくて単なるゲームの大会じゃだめなのかなぁ。」っていう声をネット上で目にするのもある意味、分かる気がします。

(4) 若い世代はみんな金欠

だよねぇっていう話をしたわけですね。金欠。でもこれからのファンやプロを目指す世代って10代の若者が多くを占めるはずですし、その人たちからお金をもらう前提なのだとしたら本当に何百億円の国内市場になっていくために市場の多くを占めるスポンサーからのお金以外に1人当たりの年間の単価ってどのくらい必要なんでしょうね。
それとも、やはりゲーミングPCや周辺機器は高いので親やお爺ちゃんお婆ちゃんに買ってもらうですとか、違う世代からのお金の流れを期待しているんでしょうか。でもそれだと家庭用のゲーム機の方が優勢な気もしますし、誰のお財布に幾らくらいのお金を期待しているかはそれぞれのポジションによって変わってくるのかもしれないですね。
それにしてもガチャって凄いですよね。メガネの市場規模の話じゃないですけど、いきなりゼロにはならなそうですし、音楽業界のCDの話のように緩やかに変化が起きていたとしても終わらないのかもしれませんね。そこは私にはわかりませんが。

(5)賞金よりYoutuberやゲーム実況の方が稼げる

プロゲーマーの収入は固定給がある人もいれば、賞金をはじめイベント出演やゲーム実況、プラットフォーマーからの広告収益など人によってさまざまですよね。ただ1つあのときの話題に出たのが「専業で食べているプロゲーマーの数よりも専業で食べているYoutuberの数の方が多いのでは」という話と「兼業プロゲーマーよりも兼業Youtuberや兼業実況者の方が平均すると所得が高いのではないか」という話。
そもそも「プロゲーマー」って?みたいな定義の話はみなさんで個別にしていただければよいので割愛しますが、例えばTwitterのプロフィール欄に「プロゲーマー」と記載されている人たちの認知と、もともとニコニコ出身であったり、Youtuberとして活動していた「実況者」の認知(チャンネル登録者なり平均の再生回数なりフォロワー数なり)ってなんとなく「実況者の方が上回っていない?」みたいな話をしました。
私の向かいでお酒を飲んでいた彼は「強さと栄誉を求めてたたかうのがプロゲーマー、楽しさやエンタメ要素がそれらを上回ったうえで稼ぎ偏重になったのがストリーマー」みたいな分け方をしていたのですがそれと同時に、
・強い、上手いのに人気がない人に足りないもの=動画・配信で稼げない、ファンが少ない
・出身(プラットフォーム・コミュニティ)によるフォロワー属性や規模・影響力の差
・取り組むタイトルによって変わる認知の獲得のしやすさ
・プロゲーマーは結果的になるもの、Youtuberは目指すものとした方が合理的では
・世界一の栄誉はコミュニティに歓迎され、高い影響力はパブリッシャーにより歓迎される
こういう部分に存在する課題も解決したいみたいな話もしていました。
これからは「個人の時代」が来ると最近よく言われていますが、その考えで行くと「ゲームで食べていきたい」人にとっておそらくは「個人の認知度や影響力を上げること」のほうが「賞金で稼ぐ」ですとか「ゲーミングチームに入ってプロゲーマーを名乗る」ことよりも優先度が高いはずですし、より合理的な気はします(少なくとも日本で活動をする限りはね)。esportsという言葉がいつか廃れたとしても、仮にこれがバブルだったとしても、ゲームそのものも、ゲームパブリッシャーもいきなりバブルのようにはじけたりはしませんからね。

結果的に今現在プロゲーマーになっている人は、今までの歩みと自身の選択のうえでそうなっている人であったり、向き合っている対象もコミュニティであったり、身近な仲間やお世話になってきた人たちであったり、それぞれだと思います。ですがその一方で、ゲームで何かしたい、なりたい、目指したい、といった「これから選択する人たち」にとっては、現状を今一度冷静に見極める必要があるかもしれません。

まぁ、若いうちはお祭りでバカ騒ぎして、そのままお祭りが終わっても、別の楽しいことを見つけられるでしょうし、大切な何かとも出会える可能性はまだまだあるし。だからesportsも同じで、これがバブルであっても、そうでなくても、みんなが大好きな、大好きだったゲームそのものも、思い出もなくなるわけじゃないからね。肩肘張らずに、必要以上に大袈裟にもせずに、楽しくやりたいようにやったらいいと思うんですよ。私とその彼が何時間こういう話をしていたか、あまり正確には覚えていないけど、彼には彼なりの答えがあって私はあえてそれをここには書いていません。これってきっと「考える人の数だけ答えがある」的な話だと思うので。

というわけで、最後まで読んでくれたみなさんに感謝。また気が向いたら何か書きます。
そんじゃーね!

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