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はっじっめての、骨折

クラブの練習に出かけた長男は、その日も朝から高テンションだった。

昼下がり、学校から連絡があったので「ん」と思えば長男が足首を痛めたという連絡だった。 めっぽう腫れているらしい。 監督の経験から察するに、どうやら骨折してるっぽいので病院に向かいます、との事だった。

私としては「あ、そうなんだ」という程度の感想しかその時抱かなかった。 なぜならば、我が家の骨はちょっとやそこらで折れてしまうほどヤワではないからだ。

食事も万全だし、遺伝的に考えてもそうである。

私は子供の頃から、ありとあらゆる怪我を経験してきたが、これまで骨折していた事は一度もない。

たとえば車のドアに指4本を挟まれて、脳内に「ミシッ」という音が響いて本人も「こりゃ折れた」と思いながら病院でレントゲンを撮ったら、一本も折れていなかった。

妻の運転する大型車を誘導中にタイヤで足を思い切り踏まれた時も、完全に甲が逝ったかと車イスに乗せられて病院へ行くと、骨にヒビすら入っていなかった。

そういえば先に書いた指の事件の時も、ドアを閉めたのは妻である。 ウチの家内は長年私を狙っているのだ。

バイク事故で肩から転倒し、尋常でない痛みを上腕に覚えながら病院に向かうと、レントゲン写真を観た医師は私にこう言った「とにかく見事な骨をしておる」と。

だから長男の足首も、軽くひねった程度のものだろうとタカをくくっていたのだった。

病院へ付き添った妻からメールが来た。 もう治療は済んだのだろうか。 「ちょっとヒネったみたい、一週間ぐらいは安静にだって」みたいな文面を思い浮かべながら読んでみると、あっさり「骨折」と記されていた。

添付の写真を見ればたしかにキッパリ折れておる。

「おかしいなあ、我が一族の骨は折れんのじゃが」と、無精ヒゲを撫でながらメールを読み進むと、驚くべき実体が明らかとなったのである。

まず折れた場所が足首であるから、手術が必要となる。 その施術により足首にボルトが埋め込まれる事になる。 その期間はなんと半年から一年。 時が来たらまた手術で摘出する事となる。

そのまま入れっぱなしで人生を送る人もたまにいるが、現役選手であるから取り出すのは必須であろうという事。

足首が動く事が厳禁であるから、入院が必要な事。 膝下までギブスで固定し腫れが引くまで手術を行わない事。

どうやら年越しは病院で送る可能性が高い事。

また師走の忙しい時期にヤっちゃったもんだ。 本人は割とケロっとしており友人たちがお見舞いに来てくれたり、出てくる食事が少なすぎて飢餓状態故差し入れをお願いしまくったりしている模様。

年明けには修学旅行でスキーをやるとか言ってなかったっけ。 だって全治三か月だぜ。 どうすんの、長男!

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