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9. ロング缶一本分の逢瀬。

外出自粛明けの土曜日。

元通りにはほど遠く、
今まで通りよりかは少しだけ柔らかい。

そんな土曜日の過ごし方の最適解をぼんやりと探しつつ、
気が付けば手癖でNetflixを開き、
昨日観たドラマの続きを再生していた。

この自粛期間で、
すっかりだらだらすることを覚えてしまった。

どちらかと言えば、アクティブに動き回るのが好きだったはずなのに。
休日なんかは、もりもり予定を入れるのが好きだったはずなのに。

部屋で過ごすことにも、予定がないことにも、
すっかり心身が順応してしまった。

おかげさまで部屋はとても綺麗で快適だし、
何なら小型のプロジェクターなんかも購入してみたりして、
おこもり満足度がうっかり急上昇している。

それでも外出自粛は解除されて、本日快晴。
早くこっちへおいでよ、と誘われているような、快晴。

綺麗で快適な私の部屋 VS 清々しい快晴の外の世界。

少し悩んで、ご近所の友人に連絡してみた。

「いい天気だし、私は河原でビールが飲みたい。ロング缶一本分、会わない?」

外出自粛が解除されたとは言え、この辺りの肌感覚はとても難しい。
この提案を良しとするひともいれば、悪しとするひともいると思う。

今日は会えなかったとしても、
会いたい気持ちだけでも届けばいいと思った。

なんて返ってくるかしらなんてドキドキしていたら、
1分と空けずに『最高すぎない?』と返信があった。

気持ちだけでも良いなんて格好つけたけど、嘘。
超超超会いたかった。
だから、超超超嬉しかった。

久しぶりの乾杯、久しぶりの他愛もない話。
少し距離を取りながら、
だけど画面越しじゃない生の表情が嬉しかった。

ロング缶1本分、時間にして2時間くらいの短い逢瀬だったけれど、
久しぶりに、
大変おいしくいただきました。

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