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備忘録:羅臼昆布の美味しさの秘密とランク・漁師的昆布の活用法

先日、羅臼昆布漁師の井田一昭さんのお話を伺う機会があり、昆布の素晴らしさを学んだので備忘録として残しておきたいと思います。

◆美味しさの秘密

羅臼昆布は昆布の中でも最高級とされる品質を誇り、生産量は国産昆布の1%程度であり、大変貴重なものです。旨みが強く、数ある昆布の中でも最も多くグルタミン酸を含んでいるそうです。他の昆布にはない2つの理由があるそうです。

1、美味しさの秘密:地形

羅臼昆布が収穫できる地域は北海道知床半島(北海道の右端の出っ張り)の南側の一部のみとなっており、他の地域では育ちません。羅臼昆布が育つ海には36本の川が流れ込み、土壌の様々な栄養素を運んでくれています。このような地形はここだけ、自然の恵です。

2、美味しさの秘密:出荷までの23工程

羅臼昆布の品質、美味しさの秘訣は出荷までの行程にあります。
普通の昆布は数日間日干しをしてサイズを整えて出荷となりますが、羅臼昆布のみ23もの工程をふみます。

羅臼昆布の生産工程で最も特徴的な工程とされるのが湿りという工程で、夜露にさらすことで適度な水分をもたせ、昆布のもつ旨み(表面の白いもの:マンニット)を引き出すとのことです。この工程は品質を大きく左右するため、寝ずに昆布の様子を確認して作業を行います。大変な手間暇ですが、ここが漁師さんたちの腕の見せ所、素材の良さを最大限に引き出すための工程です。

その後も1枚ずつ巻いて、伸ばして、乾かして、サイズ別に振り分け、たたみ、重石をして、、、沢山の行程を経て商品化されます。

◆昆布のランク

羅臼昆布には5つのランク分けがあるとのこと。1~3等級と4、5等級の間は差があり、4,5等級になると塩を持ちはじめ、胞子(昆布の胞子)がついたものが混ざるようになるそうです。胞子がついているものは出汁をひくと濁りが出てきてしまう。

胞子がついているところは少し盛り上がり、艶が出ているところ、とのことですが、素人目にはわかりません。

家庭用ではあまり考慮する必要はないかと思いますが、和食のお店で羅臼昆布を使用する際は3等級以上が良いそうです。

また、昆布表面の白いもの、旨みの指標となるものですが、これには2種類あり、昆布から自然に出てくるものと、行程をふむことで昆布から引き出すものがあるそうです。

前者を昆布の華といい、これはこすってもとれることはありませんが、後者はこするととれます。味にも違いがあり、前者は優しくじんわりと広がる旨み、後者ははっきりした旨みとのことでした。また、昆布の華は全ての昆布が持っているわけではないそうです。

◆昆布漁師的昆布の活用法

お味噌汁が仕上がる直前に切れ込みを入れた昆布をいれる。(手間がかからないのが一番!)
パスタのゆで汁に昆布を入れてゆでる。パスタに旨みを吸わせる
・昆布水(水出しの昆布出汁)を作り毎朝健康のために飲む。

・昆布は3年寝かしてから使用する。(酸臭が甘くなるとのこと)

・保存は新聞紙でくるみ、湿気のないところで保管する。

上2つは試してみたところ、お味噌汁は昆布の香りと旨みが広がり新しいと感じました。パスタは茹でた昆布(細かいものを使用)も一緒に茹で上げてチーズとオリーブオイルをかけただけのシンプルな食べ方で。昆布とグラナパダーノはフードペアリング的にも良い相性ということもあり美味しく頂けました。

因みに、昆布に茶色のカビが生えたらそれはもう使用することはできないそうです。

以上、羅臼昆布記録でした。

おいしいはしあわせ。 毎日のごはんをもっとおいしくもっと楽しく。