映画『マノン』感想

この記事はネタバレを含みます。敬称略

1981年 幻燈社 東陽一、田中晶子:脚本

あらすじ。劇団の研修生みつこ(烏丸せつこ)は講師の吉野(荒木一郎)と同棲中だが、バイト先のナイトクラブの常連・滝沢(津川雅彦)と関係を持つようになる。そこに金の匂いを嗅ぎとって二人につきまとうみつこの兄しのぶ(ビートたけし)。滝沢は友人の葬式に出るためみつこを連れて松本へ向かうが、そこでみつこは至という青年(佐藤浩市)と出会い一夜を過ごす。

豊かな肢体と童顔のアンバランスな魅力、アンニュイな雰囲気で男を夢中にさせ、また苦しめもする「マノン・レスコー」みつこ役に烏丸せつこ。「ふしだら」なんだろうけど、不思議とイヤじゃない、生を肯定するような明るさと逞しさを感じた(烏丸によるとクドカン曰く「こういうのが一番エロい」らしい(『現在地はいづくなりや 映画監督 東陽一』より))。男はみんな身体目当てで近づくんだと思っていて、そして受け入れちゃう。公衆電話をかける時に小銭をくれた男がそのまま立ち去ってしまうので、意外そうな顔をするのが面白かった。至によってはじめて「愛」を知るわけだけど、当時21歳くらいの佐藤浩市、脚が長くてジーパンが似合う。そして津川雅彦のTシャツの似合わなさも凄い。だいたい葬式の間ホテルに愛人を待機させとくとか、しっかりヤッてから別れ話するとか、ゲスだねぇ……80、90年代の津川はこういう役多かったな、濡れ場の神とか言われて。で、東京までみつこを追いかけてきた至をフルボッコにするんだけど、そのあと妙にウマが合って、至が盗んできたパイナップル缶を二人で食べたりと…ここは和むシーンだったな。

結局みつこと至は同棲するんだけど、あの後どうなるのかな。二人の前に再びしのぶが現れるかもしれないね。みつことしのぶの兄弟は、分かち難い、コインの裏表みたいな関係のようにも見える。それにしてもたけし、ずっと「コノヤロー!バカヤロー!」って言ってて、芸風ブレないねぇ。

(9/12 シネ・ヌーヴォの東陽一監督特集で鑑賞)

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