大学への不満

「大学の授業料、分割払いにならへんかな」

『なんやいきなり。なんでやねん』

「いやなぁ、授業料高いわりに払ってる実感ないなーと思って」

『まぁ確かに授業料はアホみたいに高いけどな』

「やからさ、”この講義を○○円払って受けている” ってのが実感できるシステムにして欲しいねん」

『例えばどんなや』

「たとえば講義の最初に教授に渡しに行くとかどや? 茶封筒にお札いれて ”今日もお願いしますぅ~” ゆーて持ってくねん。」

『めんどくさw ほんでセキュリティ がばがば やん。200人の講義とかやったら100万とか余裕で集まるやろ』

「そやな。それ考えてなかったわ」

『おい。』

「でもさ、さすがに大学に払ってる金高すぎん? 俺なんか月12万持ってかれてんねんで?」

『しゃーないやろ。私大に進んだ俺らの責任でもあんねん』

「まぁそーか…… いや、そーなん? 私大やって一民間企業やんか。ほんだらお金払ってる人にそれ相応のサービスするんが普通ちゃう? 俺、月12万円分のサービスなんか受けてへんと思うで。使ってもない施設の利用料取られんのも癪やし」

『それは大学ではなくコロナのせいやろ。誰の責任でもない出来事もあるって。』

「なんか納得いかへんな… サブスクで考えればわかりやすいんちゃう?
Netflixは豊富な映画が見放題で月1980円や。
AmazonPrimeは映画に加えて配達のお急ぎ便が使い放題で月500円や。
大学はあのアホみたいに退屈な授業に月12万や。
おかしいと思わんか?」

『少しは思う』

「せやろ? でも簡単に解約もできひんねん。このサブスク契約しとかんと就職が厳しいのよ」

『めんどくさい奴やなぁ…。大学に払ってる金を分割して計算しだすからそんなめんどくさい考え方になってんねん。就職を遅らせる4年の猶予期間と大卒の証明書を600万で買ったと思えばええやん。』

「そらそーや。他の学生は知らんけど俺はその2つのために受験勉強して高い学費払ってんねん」

『ほんならなんで ”払った分のサービスしてもらわな” とかゆーて授業に価値を見出そうとしてんのよ』

「いやな、最初は普通に割り切れててん。授業なんて付属品みたいなもんやから単位落とさない程度に適当に受けとこ、って。でもな、実際に大学生してると思ってたより授業も課題も多いねん。俺の自由な時間にこれでもかっちゅーぐらい介入してくんねん。ほんだらなんかイラついてくんねん。俺はおまいらに金払ってるとちゃうんや、って。でも逃げることもできん。逃げてしもうたら卒業できなくて本末転倒やし。」

『甘ったれんな』

「なんかな、簡単に言えばあの死ぬほど退屈な授業を受けてると、若者でいられる貴重な時間をせっせとゴミ箱に放り込んでる気がしてくんねん。いたたまれなくなってくんねん」

『それはたまに俺も思うわ』

「せやろ? 煙草は一本吸うと寿命5分縮まるとか言うけどな、あれで縮まんのは老後の時間や。授業は一本受けるだけで若者の今を90分も奪っていくねん。あー恐ろしや」

『耳の穴かっぽじってよく聞け。若者は若い時間を無駄にするからこそ若者たりえるねん。若さの刹那に気付いて時間を効率的に使おうとし出したらそれはもう”若者”ではない。若さから逃げんな』

「いやなんなんその理屈」

『ちなみに、さっきから授業うけるの時間の無駄やゆーとるけどや、お前は自由な時間ができたら何に使うん?』

「………… ユーチューブ」

『いや時間の無駄やんw』

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