ゼロ円からできるは信じるな

緊急事態宣言が改めて世に出てしまったので、1回目同様に世の中の動きが「家でできる副業」だったり、「家でできる昔やりたかったこと」にチャレンジする人が増えていくのだろう。ネット上でも「ゼロから主婦が始めるナレーター」とか、「ネット声優を副業に」とかある。これ、その業界にいる人たちからしたら情報商材ビジネスと何ら変わらないので、そんなに信用しない方がいい。

そこで、「本気でやってみたい」という一部の変わり者に向けてこちらも本気で提案をしてみる。今回はネットで結構な数を見かけたナレーター声優、あと似たような境遇が多いみたいなので歌ってみたをやりたい子供たちを対象にしてみる。

ゼロ円からできるはアホの発言(暴言)

大前提から考えて欲しいのが上に書いたような「ナレーター」、「声優」、「ネット歌手」なんてのは、腐るほどいる。物凄い数が既に存在しているのだ。副業でもできる、時間をそれほど使わなくても大丈夫って素人が入り込めるだけの新たな需要があるだろうか?
 ないのよ、マジで
すごく才能があるか、すごく強烈なコネがあるかじゃない限り、他人に埋もれて消えていく。だから「無料で始めたい」なのもわかるんだけどだったら時間の無駄なのよ。遊びにしてもチャレンジにしても、本気でぶち当たった感触がないと不完全燃焼で、買ったはいいけど諦めてしまった楽器みたいに何とも言えない後味の悪さだけが生涯残り続ける。チャレンジは日常生活と別だからこそ本気で向き合うべき。
となると、大前提の無料で始めたいってのを一度クリアにして考えるべきなのだ。結果として無料で始めたってのと、無料じゃないとやらない、では意識が根本的に違う。個人的に「無料でできる」ってのをビジネス的なフックにする人間は信用しない「その気になれば無料でもできなくはない」が正しいはずであり、先達であれば、ここは使っておいた方がいいよ、と道を示すはずだから。

そもそも、お金かけたくない人間の言う「本気」って言葉信じられる?

道具と知識金をかけておこう

では、どこにお金と時間をかければいいのか?
免許や資格がないこと全般がぶち当たる大きすぎる壁。
ここに関しては概念的には極めて簡単な答えがある。

 仕事道具に金をかけろ

これは大昔から言われている。
そして、道具というのはマテリアルだけではないことも覚えておこう。
喋る人間なら滑舌だったり、歌うならボイスの訓練度、役者なら演技。売り物が自分そのものであるなら、自分のスキルや知識も仕事道具と認識しないといけない。

 知識にお金かけてる?

録音するなら道具も必要だし、自分自身がその売り物の中身になるなら自分の能力も上げていかないといけない。毎日できることからコツコツとやるのはもちろん大事だけど、膨大な時間がかかる。サボってちゃ始まらないし、金も時間もそこそこかけないといけないってことはまず認識しておくべき

では、ある程度想像しやすいように道具と知識にお金をかけるとなぜいいのか、を説明していこう

道具は覚悟を見せるため

今回の3つの声関連で言えることは、自分で自宅で録音をする、がこのご時世もあって避けては通れない。つまり、宅録の道具が必要となる。

宅録の道具、昔に比べて頭おかしいぐらい安くなっているが、それでも学生や主婦のお小遣いではやや高く感じるかもしれない。だが、確実に金を使った方がいい。技術的な部分ももちろんあるのだが、それはあなたに対してアドバイスする人が増えるからだ。アドバイスする人は確実にあなたよりも知識と経験がある人。大事でしょ?

 A:スマホで録音してます

 B:まだ使いこなせてないけどマイクとインターフェイス買って苦労してます

どっちの人がアドバイスもらえると思う?
こんなの想像するまでもなくわかるでしょ?

スマホが悪いとかでは一切なく、人は本気の人の方が助けてあげたくなるのだ。
マイクを無理して購入した。使いこなせてないかもしれない。実際に触ってみて、わからない部分がある。そう言う人だからこそ助けてもらえる。どの道具を買えばいいですか、ってのは「ネット見ろ」で終わる。「○万円の予算でこんなことしたいです」ならいろんな意見が出る。最初から金額と言う覚悟を見せることが、他人の知識や善意を引き出すのは、世界中どこでも同じ人間としての社会的な性格。

道具は周囲の詳しい人のため

もう一つこの流れで言うと、詳しい人は基本的にオタクである、という大前提も大事だ。声の仕事をプロとしてやる人間ならわかると思うが、レコーディングエンジニアってのは、基本的に機材オタクだ。つまり、ソフトやハードの話をしたくてしたくてたまらない人種なのだ。そんなところに以下の二人がいたらどっちが話を聞き出せるだろうか?

A:無料ソフトのaudacityで宅録してます

B:使いこなせてないけど有料ソフトのOOとマイクはXXを使って頑張ってます

もう答えわかるでしょ。
圧倒的にBの人に対して、過剰な情報の雨を降らせにくる。もちろん、キャリアと知識がある人間のダダ漏れ情報なので、それだけでも十分に意味がある。詳しい人からの情報を得る道具としても、何かしらの必要な道具ってのは意味を持っているということなのだ。

これはネット上でも同じ。
同じソフトを使っている人は助けたくなるものだし、助けたいって思う人は大体あなたが欲しいと思ってる知識を持っている。

追加課金なしのソシャゲより、ちょっと課金した方が楽にイベント乗り越えられそうでしょ?

自分への投資は効率よく

知識や訓練への投資に関しては、まぁどう考えても必須。
読み、演技、歌、どれも素人のままで何者かになれると思ったら大間違いであり、そんな才能があったら今の人生を絶対に選んでいないはずなのだから。

この中で比較的にわかりやすいのが歌ってみたい人たち
シンプルにボイトレ教室があるので、何を学んで何を訓練するのかがわかりやすい。ある意味羨ましいチャレンジ。

問題はナレーションや演技がしたい人たち。
この人たち向けの習い事ってのは多くない。ほとんどの場合がワークショップなどを利用することになる。お金を払って多分役に立つと思われる内容を習うのだ。プロ経験者からしたら当たり前なんだけど、未経験者からしたらワークショップって怖いと思う。カリキュラムなんてざっくりだし、どの層に向けてなのかわからないし、などなど。とはいえ、ワークショップって基本的にプロが受けるものなので、そこに紛れ込む程度の気持ちで最初は受けてみればいい

これをいうと怒られるかもしれない本音なのだが、ワークショップというのは講師から習うってのは本来の目的の半分以下なのだ、実は。ワークショップは人脈を作るのが実は大きい。参加者は大体がプロなので、プロの知り合いを作るってのはそこそこ仕事にすることを考えると大きいし、今はTwitterなどで感想を言い合うので、そのコミュニティの一員になることもできる。そして、そのプロたちにつながっている製作陣にも名前を見せる可能性を一気に広げることになる。もちろん、シンプルに講師から素敵な教育を受けられるってのも死ぬほど大事なことなんだけど、それ以外も大事って覚えておくといい。そもそも教える側の人ってそこそこ以上に実績も仕事もコネもある人がほとんど。そこにつながり持つってのは、普通金払ってもできやしないのに。

つまり、金を払ってでも自分のフィールドを広げたい、可能性を広げたい、って人にはものすごくおすすめなのだ。独学で家でコツコツやることを否定はしないけど、お金を払ってしまった方が明らかに効率がいいでしょ?

優先順位は本来逆

本来は自分の成長にこそ一番お金をかけるのが正しい。自分の身についた技術や知識は誰も引き剥がせないから。道具は時代遅れになることが多いが、技術はずっと残る。なので、本来は技術ありきなんだけど、副業ややってみたいチャレンジで考えると、どっちが先でもいいかもしれない

上述のとおり、誰かに助けてもらう、が必要な時期に助けてもらいやすい状況を作ることはものすごく大事だし、そこが落ち着いてから自分の技術の甘さを実感して後にワークショップなどを使うのも一つのルートなのだから。

ただ、ここまで読んだ人。まだ「無料でできる!」って人を信じてその背中追いかける?

誰に相談するのが正しいか?

これ、永遠の課題。これに関しては相手を選べが正しいんだけど、優先順位をつけるならこんな感じ。

1 既に活躍している人に教えた人
2 既に成功している人
3 既に成功している人のおすすめ

この辺りが本来は一番狙いたいところ。
物を教えるのに向いている人って実は世の中あまりいない。知識や実績があっても教えるのが恐ろしく下手な人ってのも世の中には存在するし、知らない名前でも名伯楽って人はいたりする。ただ、間違いなく言えるのは、「あなたにもできますって伝える人」じゃなくて、すでに「活動してる人」を追いかけるのが正しいと思いますぞ。

今回の内容は極めてシンプルに教える側の論理でもあり、業界をみてきたある種の暴露的な内容。お金払うから教えてくださいって人たちを相手にしてきているので、お金にならない素人さんは別に教えることはない、ってのも本音ではあるんだけど、チャレンジしたい人たちがいるなら情報商材ビジネス紛いに食い潰されるのもあまり好ましくないということで書いてみましたよ、と。

続きはこちら

というわけで、「無料で……」の続き
https://note.com/oichan_d/n/nb9d0cbcee672

教える立場なのでできる限りはワークショップなどで教えた内容を説明していこうかなと。地方の人やワークショップに事情があって参加できない人たちへのサポートが今後もやっていければと思っています。