独身女の独り言

いわゆるワークライフバランスが整っていると言われる会社ほど独身子なしが割りを食わされる。
家族が…子供が…と言われればいつ何時も全てを無条件に許さなければならないし、
かと言って仕事は待ってくれない。
結局その家族や子供のいる人間がやるはずだった仕事が独身子なしに集約され、
独身子なしはそれから逃げられる術を持たない。
いくら休みを貰えたとしても、
独身子なしはいつも「仕事」を考えなければならないし、
忙しいと分かりきっている時に休むのは御法度だ。
そして何より独身子なしはいつも「笑顔で」いわば押し付けられた仕事を引き受けなければならない。
いつか自分も同じ立場になった時、同じように人に助けてもらうこともあるかもしれないと思ってみるものの、
そのくるか来ないか定かではないいつかのために
多種多様な大量の仕事を回されても当たり前のようにこなし、
裏に「家族のため、子供のためだから仕方ないですよね」という感情が透けて見える口先だけの感謝を受け入れながら
すぐに訪れるだろう次に押しつけられる仕事に備える。

それが嫌なら結婚すればと言われれば元も子もないが、
結婚がしたくてもできない人がいるなかで、
したいとも思っていない三十路の女がじゃあしますと結婚できるかと言われればそれは難しいだろう。
1人でも生きていける2人だから結婚しようというようなキャッチコピーを聞いたことがある気がするが、
1人でも生きていける2人が結婚することなんて稀で、
1人じゃ生きていけない人間の成れの果てが結婚だと感じている私にとって
結婚が100%いいものだとは到底思えない。
そして結婚した人間は往々にして独身子なしに哀れみの目を向けてくる。
三十路の独身子なし女なんて彼ら彼女らの格好の慰み者だろう。
そうした無遠慮な態度が気に食わず、それが転じて既婚者という概念に対する漠然とした不満がたまり、その不満の対象である既婚者になりたくない、というのも、
私が結婚をしたいと思えない要因の一つかもしれない。

独身子なしだって精一杯生きているんだから、私のことなんてほっといてほしい。

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