FREEK TALK #002 みねさんに聞く「生ハム」のはなし
文/構成:とんこ
とんこ 初めて話した時から、もう生ハム愛全開だったよね。
みね そうそう。SNSのアカウントから機械とか電子機器みたいな名前をつけられるものは全部「生ハム」にしてる。iPhoneも替えるたびに「プロシュート」とかマイナーチェンジはしてるけど、結局生ハムではあるなあ。
とんこ 生ハムを初めて食べたのっていつだった? 私はもしかしたら実家の食卓で出てきたかもしれないけど、一番古い記憶では中学生か高校生の頃サイゼリヤで食べた時かもしれない。
みね 実は私はサイゼリヤの生ハムは食べたことないんだよね。いつ初めて食べたかなあ。でも高校生の頃には確実に好きだった。日テレの「満天☆青空レストラン」でロッチがイタリアのパルマで”生ハムの王”と呼ばれてるクラテッロを食べる回を見て、おいしそうで思わず写真を撮って、そのままヘッダーにしたんだよね。何かに猛烈に惹かれたんだと思う。それから今までヘッダーの写真はずっと変えてない。(調べて)2014年の放送だ、10年前から好きなのか…。当時はスーパーとかで安くてしょっぱい生ハムを買ってた。もちろんいわゆるお店で出てくるような生ハムではなかったけど、クラテッロに憧れを抱きつつも食べては「うまー!」って思ってたな。
とんこ 味の好みはあるの?
みね 詳しくはないけど、スーパーで買うやつなら丸く切られてるものより細長いタイプの方が好き。確かもも肉だったような気がする。
とんこ そうか、意識したことなかったけど生ハムにも部位があるんだね。おすすめの食べ方とか、おいしい市販の生ハムがあれば教えてほしい!
みね そのままでワインと食べることが多いなあ。クリームチーズ巻いたり、たまにオリーブオイルもかけたりもするけど、正直生ハムだけでも十分おいしいからあんまりアレンジはしない。スーパーでは「北海道生ハム」をよく買うよ。
とんこ 生ハムってお酒とも合うよね。
みね そうだね。高校生の時に食べてたものからグレードアップして、憧れの生ハムを食べたことが赤ワインを飲み始めたきっかけかもしれない。冷たいものが好きだから冷やせる白ワインの方が元々は好きだったんだけど、生ハムとの組み合わせを考えるとやっぱり赤がおいしい。
とんこ 憧れのクラテッロ、食べる機会があったんだ!
みね 食べました! 2019年に前に働いてた会社を辞める時、私が生ハム好きなことを知ってる先輩が、食べさせてあげるよって築地の店に連れて行ってくれて。そうしたらその日に偶然あって、これだー!!って興奮した。でもあんなに焦がれていたのに肝心の味の記憶が全くなくて……。実はその日が生ハム専門店初訪問だったんだけど、こんなに種類があるんだっていう感動が勝ってしまった。お皿にのってたもの全てがおいしすぎたんだよね。今だにその店には通ってて、今年の3月に行ったし、8月にも行く予定。イタリアから毎日チーズを空輸してて、ブッラータがおいしいんだよ〜。高くないし、本当に最高。大人になってよかったなと思うのって、ちゃんとイタリア産の生ハムを、そしてずっとヘッダーにしてたクラテッロを食べられるようになったことだよ。
とんこ そういうお店には生ハムの他にどんなメニューがあるの?
みね イタリアンみたいな感じだからパスタとか、ラザニアとか、アンティパスト系はあるよ。こじんまりしてて料理もおいしくて大好き。一番種類の多い生ハム盛り合わせを2回頼んだり、1回頼んでから気に入ったのを追加で注文したり、その時々の気分で頼んでる!
とんこ 専門店で食べ比べ、楽しそう…。
みね 全種類の盛り合わせをテイクアウトしてホテルに持って帰って生ハムパーティーしたこともあるよ。神楽坂の「グスタヴォ」ってお店は中でも食べられるし、テイクアウトもできるんだ。あと近くにチーズ専門店もあるからそっちでも生ハムに合うものを買って。先月も行ってきた。
とんこ もう常連なんだね。一つ好きなものがあると、それを目的として出かけたりできていいな。久しくお店で食べないと市販の生ハムをそれだと思ってしまうけど、たまにお店で食べると全くの別物だってことにそこで気づいて、でもすぐ忘れちゃうんだよなあ。
みね 私の場合、いつでも生ハム食べたい一方でお店にしょっちゅうは行けないから、市販のものを食べつつ、頭ではいつもあの”口の中に入れた瞬間に香りが広がるおいしい生ハム”がイメージできるんだよね。もう少し奮発すればスーパーでもおいしい生ハムは買えるけど、それを一人で食べるのもまた悲しいというか。富豪だったら一人でも食べる!
とんこ みねちゃんはシェアハウス住みだよね。ルームメイトと食べることはある?
みね パーテイーするときとかにたまに、かなあ。毎日食べたいくらいだけど、おかずっぽいものではないし、特別感も無くしたくない。漬物感覚とかで食べ始めたらそれはちょっと違うなって思うし笑、生ハムに対するときめきは忘れたくない! 生ハムに飢えている時期を作った方が、「あと◯日であのお店のあの生ハムが食べられる」ってモチベーションにもなるしね。原木も欲しいと思ってたけど、湿度が高いとかびるって聞いて怖くて。シェアハウスにしか住んだことがないから、自分の部屋一つしかないとなると、原木とずっと同棲することになるのは衛生面から現実的ではないなと。すぐそばに削ぎ落とせる原木があるのは魅力的ですが…。
とんこ 生ハムって不思議な中毒性があるよね。今日生ハムが食べたい、と思ったらそれ以外では補えない唯一無二の要素が。プレミア感は失いたくないというのも、なんだかわかる。でも今年の初めにスペイン料理屋で前菜に出てきた生ハムは、塩味よりも熟成感というか旨味がぎゅっと詰まった感じがして、普段生ハム食べたい!と思った時に想像する味とは違ったなあ。市販のものとお店のものは別物だし、お店によっても違うよね。イメージでしかないんだけど、生ハムの産地ってヨーロッパかな?
みね 大体イタリアか、スペインかな。スペイン料理屋だと、出てきたのはハモンセラーノだと思う。どちらかというとサラミに近い口の中に匂いが広がるような、熟成されたトロッとしたやつとはまた異なる味わいじゃない?
とんこ 確かに、そんな感じだった!
みね それこそヨーロッパ旅行に行った時は手当たり次第に生ハム買ったよ。ドイツで食べた生ハム、厚切りでむちむちしてて不思議だった。一緒に行った友達のスペイン人の彼氏が持ってきてくれた現地の生ハムは色が真っ赤で、味がすごく濃かったのも印象的。初めて食べる味だったなあ。日本に輸入されている生ハムはあくまで一般受けするもので、本当はもっといろんな種類があるんだろうなと思った。お肉って飛行機では持って帰れないけど、イタリアで唯一お土産用にすることを許されている真空パックされた生ハム、四角くてしっとり感とかは全くないものだった。私は脂が多くて口の中に入れると香りが突き抜けるようなタイプが好きだから、例えば初めて行くお店ではどんな生ハムが出てくるかなって毎回ドキドキしちゃう。
とんこ 今調べてたんだけど、日本のハムはドイツのハムの作り方をベースにした上で、乾燥や熟成はほとんどされてないんだって。
みね だから日本のは現地のものより塩漬けっぽいんだね。今思い出したんだけど、ドイツの生ハムも食べ比べした時にあれは生ハムだったのか、本当に焼く前の”生”のハムだったのかわからないような、生肉のような風味のものがあって…。あまりにも分厚くて、豚の生肉を食べているような感じだった。ドイツ語で生ハムは「シンケン」っていうんだけど、それは「ローシンケン」って種類で、直訳すると「生のハム」なんだよね笑 そのまま食べてよかったのか今だにわからず。めちゃめちゃおいしかったが、疑問は残っている…。
とんこ 体調は大丈夫だった…?
みね 大丈夫ではあった! とりあえずショーケースの生ハムのラインを手当たり次第に買ったせいでレアの方のハムのゾーンにまで踏み込んでたのかもしれない笑
とんこ よ、よかった。そんなに生ハムが好きでいろんな国でも食べてると、どんなハムがおいしいの、とかよく聞かれるんじゃない? 実際に私も最初に聞いちゃったし。
みね 一番好きな産地とか熟成年月とか覚えられたらいいんだけど、その時お皿にのってた一番うまいやつがうまい、で終わってしまって後からは全然思い出せないんだよね。 最近だと14ヶ月熟成の生ハムが美味しかったってことだけ覚えてる…。1回だけ、本当にこれおいしい!!って思った生ハムがあったんだけど、それもイタリア語だったせいで思い出せない。店員さんの口頭での説明だけで名前の札もなかったから忘れちゃって。いつも行く店も毎回盛り合わせが変わるから、どんどん食べる種類が増えていく一方。こんなにずっと生ハムが好きだから、1個くらい推し生ハムが欲しいなあと自分でも思う。人に聞かれたら、フィーリングで食べてるって答えてる笑 細胞単位で生ハムのこと覚えてるけどえ細胞単位で覚えすぎてて頭が追いついてないんだよね。本能で食べてるからこそ、理性が働いていない…。
とんこ まさに”推し”だね。
みね それだけ食べてもおいしい、一緒にお酒を飲んでもおいしいで、生ハムにはいいことしかない! 味だけじゃなくてビジュアルも本当によくて、ものによるけどちょっとピンクっぽい肉の中に脂の白がところどころ入ってるのが可愛い。
とんこ ビジュアルに注目したことはなかった…! ステーキのサシが美しい、みたいな感覚なのかな。でもステーキと違って生ハムは焼かないから食べてる間はずっときれいなままだね。
みね 芸術点高いよねえ。何でここまで生ハム狂なのかもはや自分でもよくわからないけど、おいしいから仕方ないね。これから先も一生生ハムが好きだと思う。おばあちゃんになっても赤ワインをくゆらせながら超高い生ハムを食べていたいなあ。
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