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意識について 2024年版 上

はじめに

今回は上中下の構成です。

この記事における「記録」とは、物理事象を利用して「残して取り出せる(活かされる)こと」を指します。
一方で「記憶」とは、意識される何かを「残せて取り出せる(意識される)こと」を指します。
(意識もまた物理事象であるとするならば、記憶は記録の一部と言えるでしょう)

光子が量子として作用することを明示するため「光量子」と記します。

用語を調べられるようなるべく参考のリンクを近くに置くようにしました。

今回も提起している部分の正しさを示した証拠がありません。
思考中であり将来変更する可能性もあります。

全体(上中下)の要約

原子同士から生物に至るまでの、物質の結合について概観します。
物質の結合エネルギーと神経細胞が信号を流す時のエネルギーの違いを明らかにします。

意識される記憶がどのように神経細胞に蓄えられ、どのように引き出され、意識になるか考察します。
各種の受容器で起こる物質の変化と神経細胞へ渡される信号についても考察します。

神経細胞が経路を構築する(物理としての記録)と、意識される記憶について整理し、意識がどのように生じ得るか改めて考えます。
最後に前回の電気と磁気の話(意識について 2023年版)との関連について整理します。

話題ごとの要約

()の上中下は、記した記事を指しています。

物質が結合する仕組みの考察(上)

物質が結合する際、これから結合しようとしている原子との相性のみならず、すでに結合している他の原子からの影響も受け、次の結合を決めているかもしれません。
それをポテンシャルと紐づけるため「電磁エネルギー循環構造」という考え方を導入します。
電磁エネルギー循環構造は、化合物の中で運動し続けている正負の粒子の影響を受け、周期的に変化しているであろう動きを伴った電磁ポテンシャルです。

物質の結合による記録と記録を操作する仕組み(上)

物質が結合して成長する過程では、下記の様な指標が段階的に評価されて成長すると考えます。

 ① ある原子同士の結合や分離の可能性
 ② 結合した時の形
 ③ 結合した時の大きさ
 ④ 結合状態が変遷するサイクル(循環)の長さ

これらは「が電磁エネルギー循環構造を安定させる方向に変化する」と付け加えることを想定しています。
①から③のどの場合も、ある結合状態から次の結合状態に移行するまでには「許容されるエネルギーの幅」があり、この「許容範囲が大きい化合物」が、他と比べて残りやすくなるため「記録の役割を担う」と捉えます。(記憶ではなく記録と呼びます)
この記録が活かせる時間幅で(時間軸を加えて)安定する条件を探索するよう変分原理が拡張できると考えます。
④は、①、②、③について時間を跨いだ変遷を考慮し、電磁エネルギー循環構造が「例えば」最短時間で元の化合物に戻せるサイクルを見つけるように働くのではないかと考えます。

こうした結合の原理の変遷が生物を生み出したのかも知れない点について併せて、考察します。

物質の記録と意識される記憶の関係について考察(上)

以下を確認した上で「意識される内容」=「記憶」がどの様に神経細胞に残るのか考えます。

神経細胞も化合物(結晶や原子も含む)です。
神経細胞では部分的に構成を変えてしまう程のエネルギーがやり取りされ、代謝なども行われています。
そんな構造が変わる中でも記憶が残り呼び起こして意識できます。
神経細胞を壊さない程度のエネルギーで信号を伝播させるようであり、何らかの仕組みで神経細胞に記憶を残しているようです。

このことから、化合物の結合(神経細胞を維持するような活動の)エネルギーの流れと、意識で必要なエネルギーの流れは、ほとんど、あるいは完全に独立しているのではないかと考えられます。
物質結合はある光量子の単位でエネルギー交換されるのに対し、意識される記録は、その光量子単位未満の範囲の事象であると「推測」し、化合物のやり取りから独立が保たれていると「推測」します。
そのため、光量子を使って観測しようとしても、意識の内容は捉えられないかもしれません。

記憶と意識の組み立ての再考(中)

神経細胞を流れる信号は、電磁ポテンシャルの一過性の変化に相当すると考えられます。
受容器で受け取った内容(意識の要素となるもので記憶を担うもの)が、光量子未満の偏差という形で、この一過性の電磁ポテンシャルに刻まれ、一緒に流れていくと「推測」します。
この偏差としての影響は、神経細胞を構成する電磁エネルギー循環構造にも渡され、同じく偏差という形で残り続けます。
この受け渡しと時を同じくして、神経細胞の電磁エネルギー循環構造に溜まっている既存の偏差があれば、信号(一過性の電磁ポテンシャル)がそれを受け取ります。
この偏差を与えて受け取る相互作用は、常に電磁作用が発生している中で連続的または光量子で刻みより細かい粒度で行われます
これらは、量子エンタングルメントを一般化する過程で説明されるような現象かもしれません。

偏差は受容器により刻まれ方が異なっていると考えます。
各受容器でどのように偏差が刻まれ、どんな記憶になり得るのか整理します。

意識が生じる条件の探索(下)

意識が生じる主な場面として、目標達成で試行錯誤を伴う思考を取り上げます。
試行錯誤の経過を比較して評価するため、短期的に神経細胞に記録する必要が生じます。
この記録の形成で、神経回路の経路を集める特性が現れ、応じて流れる信号も集まり、少ない箇所に流れを集約するようなことが起こると考えられます。
また、目標と現状を穴埋めする手段を、受容器から下流へ流れる信号とは逆の、遡りながら探す流れを生み出しているとも考えられます。
この集約や時間の遡りが物理的に生じるとき、偏差を効率的に保持し、時間を遡って整理する必要性が、一過性の電磁ポテンシャルの中でも生じると「推測」します。
この時、変分原理により整理されるとするのですが、「質感に関わる偏差と、その質感を発した位置(=方角と長さ)に関する偏差」において、方角と長さは最短となる位置(方角と長さ)に換算され、質感はそこを占める最大確度の範囲を埋めるよう配置され、これが意識になると考えます。

前回と今回の話を整合させる(下)

前回の「意識は磁気側から電気側を推測している」について振り返り、修正点を述べます。

物質が結合する仕組みの考察

原子間の結合についておさらいします。

  • 補足
    この原子間の「結合」とは、電磁気相互作用による結合を指します。
    ここには液相から固相への転移も含まれます。(液相から気相への転移ではありません)
    「分離」についても述べますが、同様の条件です。(固相から液相への転移に相当します)

電子を介した代表的な化学結合に、共有結合、金属結合、イオン結合があります。

電子を介した代表的な化学結合

電子を介した結合とは異なり、他の力を介した化学結合もあります。

電子以外の力を介した化学結合

また、物理学では4つの基本的な相互作用が説明されています。
重力相互作用、弱い相互作用、電磁相互作用、強い相互作用です。
素粒子物理学の標準モデルでは、これら相互作用を介在する粒子があると説明しており、その粒子をゲージ粒子と呼びます。
化学結合は電磁相互作用に相当し、力を伝達すゲージ粒子は光量子(フォトン)に対応しています。

次に、複数の原子が規則的に結合していく「結晶」について見ていきます。

結晶構造は、基本構造と格子の組み合わせから説明されます。
基本構造が、格子にどう配置されるかで結晶の形が決まるとされています。
格子に並ぶ時の結合も、化学結合です。

結晶がどのように構造を成長させるかという意味では、予測の仕方が研究されています。
ある時点の結晶について、その後どのように大きくなるかという意味で、その時点の結晶を取り巻く状況を様々な視点で整理することによって、成長予測の精度を上げて行こうとする試みが続いています。

(参考:結晶構造予測) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcrsj/62/4/62_260/_pdf

重要そうな視点に、結晶内のエネルギーや、結晶を取り巻く周囲のエネルギーがあります。
ここでいうエネルギーは電気エネルギー(電気が流れれば磁気が働く)や熱エネルギー(電磁気で伝播)です。
これらのエネルギーは光量子(つまり光)とみなすことができ、電磁相互作用としての結合の力を生み出します。

物理学の相互作用と化学結合の関係を簡単に図にすると以下のようになります。
つまり化学結合は電磁作用の力のみのとなっています。

物理学の4つの相互作用と化学結合や結晶の関係

次に結合され方についてもう少し詳しくみていきます。

例えば氷晶の場合、単純な柱状ではなく、対称六方向に樹状に成長する結晶があります。
この独特な形は、空気中の水蒸気の量や気温(熱エネルギー=電磁気エネルギーであり光量子に換算できるエネルギー)が関係して現れるとされます。

こうした結合のあり方から推測するに、(ここからは推測ですが)
結晶内(結合されている物質内)の電磁相互作用のエネルギーは、結合を発揮させる(光量子を使い倒すような)エネルギーの構造を持っていると「推測」します。
このエネルギーの構造は、結合する複数の原子間を跨いで広がっており、さらに、今の原子間の結合構造に対し、次にどのように拡張させるかを決める条件そのものになっていると考えます。
この条件は、結合した方がよりエネルギーの構造が安定するという、安定さを表すポテンシャルに対して変分原理が働き、生じるのではないかと考えます。

次の図はこの考えを模式的に表したものです。
三角がある結晶の基本構造を表しており、もし同じ三角の基本構造が近づいてきたならば、どこに結合し得るか、その配置を候補として示したものです。
図中の矢印(→)は、いずれか候補に結合した結果を表し、さらにその後、もし同じ三角の基本構造近づいてきたならば、どこに結合し得るかを、合わせて示した図にもなっています。

結晶の結合と結合先の予約(イメージ)

このように、結晶内の電磁作用のなんらかの構造が「次にどんな形にすると安定するか候補を提示し、実際に結合で拡張させていく仕組みを提供している」と考えます。

この構造を決めるような電磁相互作用の働きを、物質内の「電磁エネルギー循環構造」と呼ぶことにします。ここで「循環構造」としたのは、動き続けていながらも何らか形を保っており、循環しているからこそそれが実現できていると思われるためです。

ある2つの物体で、電磁エネルギー循環構造が全く同じであるとは、原子の組み合わせや結合の仕方が全く同じ場合であることに加え、そこに蓄積された結合エネルギーの総量が同じ場合としています。

こうした仕組みの一つに、電磁エネルギー循環構造が安定する方向性として、結晶が大きくなってもその形状が保たれるようなことも起こるのではないかと考えられます。
氷晶における樹状の成長や、いくつかの宝石で特定の形が維持されながら成長するといったことも、潜在的な電磁エネルギー循環構造の安定さから裏付けられないかと考えます。
(実際にそのような研究成果があれば知りたいところです)

  • 補足
     電磁エネルギーの循環構造の存在は、立証されていません。
     結合で電気や電磁のエネルギーが使われている点では疑いはないとは思います。
     電磁ポテンシャルの点で何らか振動現象を見出せると、この循環構造が見えてくるようになるかもしれません。

物質の結合と分離の一般化

結晶は、結合した原子が規則的に並んで構成させることからそのように呼ばれます。
並び方を気にしない場合、その構成物の割合などから、様々な呼び名をされますが、ここではそれらを「化合物」と呼ぶことにします。
この記事では、大まかな分類として、原子1つの場合は単に原子と呼び、いくつかの原子の集まりが格子状に並ぶ場合を結晶と呼び、それ以外は化合物と呼ぶことにします。

従来は化合物と呼ばない特殊な結合状態、例えばカルボキシル基と呼ぶこともありましょうし、アミノ酸と呼ぶこともあるでしょうし、タンパク質と呼ぶこともあるでしょうし、細胞と呼ぶこともあるでしょうし、ミジンコと呼ぶこともあるかもしれませんし、ヒトと呼ぶこともあるかもしれませんが、ここでは化合物と呼ぶことにします(厳密には、細胞、ミジンコ、人は化合物、結晶、原子から構成されています)

同じ原子の集合を考える際、それらの原子がバラバラになっている時よりも、それらの原子が結合している時の方が、より多くのエネルギーが利用されます。
結合するとき、エネルギーが結合した化合物に取り込まれます。
反対に、化合物から一部の化合物や原子を分離させる時、エネルギーが放出されます。
結合=光量子が吸収される、分離する=光量子が放出される、に対応します。

ちなみに、結合している原子核同士の相対的な位置は、止まっているわけではなく周期的に変化しています。つまり振動しています。
振動しながら全体的に安定しているような状態です。

こうした原子核の振動も電磁エネルギー循環構造に寄与しているものと考えられます。

感覚的な話ですが、結合する方が安定することについて考えます。
エネルギーを一様に広げたほうが(すべて光になって四散するほうが)より効率的に安定するように思われるのに、物質が結合する方が安定するというのはどういうことなのでしょう。
我々が見ている静物(物質が停止しているように見えている物)は、小さいスケールで見ると結構な勢いの振動現象を伴っており、それこそ暴れ回っているのかもしれません。
現に原子核も電子も動き回っているようで、言ってみればものすごくガタついています。
そのガタガタしている状態を、より安定させるため、別のガタガタをくっつけて、全体としてはガタガタの程度を小さくしようということなのかもしれません。
そしてこの「ガタつき」は陽子と電子のような電荷に偏りがある粒子同士が近づいても、よりガタつくようになっているのかも知れません。
だからこそ、陽子と電子は結局はくっつかないみたいなことになっているのではないかと考えます。
最初に安定する距離が少なくとも距離ゼロでないところにしかないみたいになっているのです。
このガタガタをシェアする=結合すると安定するため、結合という現象が成立しているのかもしれません。

最後の感覚的な話はさておき、電磁エネルギー循環構造の視点から、結合と分離を以下で整理します。

結合は、以下の場合に起こると考えられます。

・結合した方が電磁エネルギー循環構造として安定する場所がある
・結合条件を満たす化合物、結晶、原子に加え、光量子が結合するために必要な距離に近づく
 (相手の化合物、結晶、原子により安定の度合いは異なる)

電磁エネルギー循環構造に、結合する可能性があることを、結合ポテンシャルがある、と呼ぶことにします。

分離は、以下の場合に起こると考えられます。

・電磁エネルギー循環構造として分解しそうな不安定な場所がある
・結合していなくても誤魔化せるだけの十分な光量子で空間が満たされている、または、より安定した相手が近くに見つかる

電磁エネルギー循環構造上、周囲の光量子でも誤魔化しが効くようになる(それなりに温度が高い場合になる)と、結合しているのか光量子で誤魔化されているのか区別できなくなり、離れても見かけ上安定すると考えられます。
(すでに結合済みの部分も、多数の光量子の影響を受けてガタつきかたが変わっている可能性もあります)

電磁エネルギー循環構造に分離する可能性があることを、分離ポテンシャルがある、と呼ぶことにします。

結合ポテンシャルは、結合前に結合しやすさを測る指標、分離ポテンシャルは、結合中のものの離れやすさを測る指標です。

様々な化合物、結晶、原子が混在する環境では「電磁エネルギー循環構造の分離ポテンシャルの高い箇所から順番に分離が起こり、より安定な電磁エネルギー循環構造に移るよう、結合ポテンシャルの高いもの同士が結合する」と言った反応が、連鎖的に起こるとを予見させます。

詳細にこれらを議論し、物理式を用いて表すようにするには、量子物理の立場で、原子なり、結晶なり、化合物のエネルギー準位を調べ、関連するすべての化合物(結晶や原子を含む)間のエネルギーの差を示しながら、どれが、どんな条件で結合し、また分離するのかを説明する必要があります。

  • 注意
     結合と分離をこの様に整理することが正しいかは、議論が必要です。

以降は、電磁エネルギー循環構造の正しさと、電磁エネルギー循環構造による結合や分離の考え方の正しさが証明されてからでないと、本来語るべきではないでしょうが、続けます。

物質の結合による記録と記録を操作する仕組み

物質が結合して成長する過程では、下記の様な指標が段階的に評価されて成長すると考えます。

 ① ある原子同士の結合や分離の可能性
 ② 結合した時の形
 ③ 結合した時の大きさ

これらは「が電磁エネルギー循環構造を安定させる方向に変化する」と付け加えることを想定しています。
電磁エネルギー循環構造が安定に向かうための変分原理が働いた結果として、これらが顕著になると考えます。
顕著になる順番は①、②、③の順かと思いますが、①があって②や③が起こるので当然な気もします。
当然な気もしますが、満遍なく不安定な場所が散在しているなら、結合して拡大すると球に近づきそうなものですが、そうでは無いところが面白いところです。

これら①から③のどの場合も、ある結合状態から次の結合状態に移行するまでには「許容されるエネルギーの幅」があり、この「許容範囲が大きい化合物」が、他と比べて残りやすくなるため「記録の役割を担う」と捉えます。(記憶ではなく記録と呼びます)

こうした記録を担う化合物を活かし、環境変化への適応も起こるのではないかと考えます。
記録が活かせる時間幅で(時間軸を加えて)安定する条件を探索するよう変分原理を拡張させるのです。
ここでは、①、②、③について時間を跨いだ変遷を考慮し、電磁エネルギー循環構造が「例えば」最短時間で元の化合物に戻せるサイクルを見つけるように働きます。
そのため、この指標は以下のように表現できるのかもしれません。

 ④ 変遷するサイクル(循環)の長さ(が電磁エネルギー循環構造を安定させる方向に変化する)

もし、①の結合や分離のポテンシャルが取り得る値に限りがあり、候補の結合相手も単純で限りがあれば、②の形も単純となり、③の大きさも小さい間で、循環を見つけられるかもしれません。
一方で、これらと反対の特徴となる場合、その分、循環は複雑になり、長くなるでしょう。

④が、①から③で得た結合条件を維持しつつ成立させるために、変遷が記録されている必要があるかもしれません。
この記録は、ある化合物から見たとき、より小さくて構造上安定した化合物により担うことを期待します。
そしてこれらが、④のサイクルのに現れている構造、つまり①から③の範囲で、実現されている可能性があります。

①から③のそれぞれの場合で、記録となり得る条件を、以下に模索します。

①の結合/分離のポテンシャルで安定性が左右される状況で、記録を担う化合物が生成されるためには、以下の条件を満たす必要があるのではないかと考えます。

・相対的に他の化合物から影響を受けにくい
 → 相対的に結合と分離のポテンシャルが低い化合物である
・種類の限られた同形の化合物であり、その連なりから成る
 → 記録として扱いやすい形や単純さがある
 → それらの連なりの「位置」も記録の一部となっている
・記録の化合物に対して書き込み(何らかの化合物を読み取り、記録の化合物を連なりとして生成)や読み込み(記録の化合物を連なりに沿って読み込み他の化合物を生成)できる化合物は、一部の限られた化合物である
・記録を作るための材料(化合物、結晶、原子)が周辺にあって事欠かない

②の形が安定性を左右するような状況で、記録を担う化合物が生成されるためには、以下の条件を満たす必要があると考えます。

・化合物の組み合わせからなり、形の違いが記録の種類を決める
・①も満たされる

③の大きさが安定性を左右するような状況で、記録を担う化合物が生成されるためには、以下の条件を満たす必要があると考えます。

・化合物からの集合体からなり、大きさの違いが記録の種類を決める
・②の条件も満たしている

生物に詳しい方はこれらから下記を思い浮かべる方がいるかもしれません。

記録の書き込み:RNAとRNA依存性DNAポリメラーゼ
記録の読み出し: 転写(DNAからRNA)、翻訳(RNAからタンパク質)

DNAもRNAもタンパク質も化合物にあたります。
(タンパク質からRNAが生成されることはなさそうですので、RNAを起点として記録(DNA)に倒れるか、タンパク質に翻訳され、大きくなって形を作る様になるのか、分かれているのかもしれません)

体は、RNAのコドンに対応するアミノ酸が連結され、それがさらにペプチド結合などで集まってタンパク質になることで作られていきます。
この時も化学結合で連結されていきます。
アミノ酸は似たような化学式で何十と種類がありますが、電磁エネルギー循環構造の安定性は、想像するに似通っており、基本的には自由な組み合わせが可能なのでしょう。
ただし、記録を担う化合物の影響、つまりDNAやRNAの影響を受けることで、決まった形が作られるように仕向けられます。
このように、対象の化合物や周囲のエネルギーの流れが比較的安定している時、記録の影響を受けやすくなる(文字通り記録として機能しやすくなる)のではないかと考えます。

アミノ酸の連なりは、折りたたまれてタンパク質が構成されるのですが、これは化合物として長くなった電磁エネルギー循環構造が、離れた場所をくっつけた方が(折りたたんだ方が)より電磁エネルギー循環構造として安定するから、という理由からこの折りたたみを説明できるのかもしれません。

いずれにしても、記録を担う化合物と、それを解釈して別の化合物に置き換える化合物の存在が、生物にとって重要になっています。

体の一部となる化合物が、DNAやRNAが(転写や翻訳される前の状態で)連結したり、連結しないせずとも細胞核に一緒に格納される様になるなどで、組み合わせが起こり、かなり長い時間をかけ(単細胞が成立するまでも5億年程度時間をかけているかもしれない)複雑な過程を経て統合されていったように思われます。

RNA(厳密にはmRNAですが)を適当に繋げたとしても、その翻訳(タンパク質の合成)で形になるのかという点では、同じような電磁エネルギー循環構造のアミノ酸をつなげていくため「よろしく」繋がったものが翻訳されるのでしょう。
ただし、それに意味があるか否かは、環境が決めていくのです。
それぞれの形が、直近の周囲に対して適応的な機能を発現するか否かで、それらが残りやすいか壊れやすいかが線引きされていったと思われます。

こうして有機化合物が結合、融合(時に分離され、隔離され)され、環境によって評価され、環境に対して適応した形や大きさで、化合物としての記録と、この記録に対する結合と分離のサイクルを伴いながら、進化したとするのが、今の進化論であると、自分は解釈しています。
そして多細胞となり、大型化した生物は、この物質をサイクルさせる(環境から得て結合させるものと、分離して環境に返すものを含め)より効率的に設計できているか否かで、適応性が環境から評価されていったのでしょう。

以降は①から④について、変分原理を適用され得るポイントについて、説明を試みたものです。

変分原理は「ある指標で見たとき、最も負担のかからない手段や手順で次の状態を決定すること」と解釈します。

①と変分原理

物質は、結合と分離の可能性(ポテンシャル)があり、関連する原子間で最も安定する方向に向かって結合と分離を繰り返すと考えました。
変分原理からすると、エネルギーが移動する大きさを指標としたとき、エネルギーの移動が最小になる様に、次の状態が決められると考えられます。

また、物質が持つ結合と分離のポテンシャルを指標としたときは、物質間の距離に応じて重み付けし、そのポテンシャルの合計が最も小さくなる様に、次の状態が決められるとも考えられます。
物質は、結合を左右する電磁作用のスケールにおいて、光量子の密度に応じ、結合と分離が安定する条件が変わってくるとしました。
そのため先の話は、結合と分離のポテンシャルに光量子の密度に応じた補正分を加え、物質間の距離に応じて重み付けし、そのポテンシャルの合計が最も小さくなる様に次の状態を決めると考えるべきかもしれません。
(ある化合物において、結合と分離のポテンシャルの差が最小になるとき、その化合物から見たときに、エネルギーの移動も最小になると考えられ、電磁エネルギー循環構造もその時点で最も安定すると考えられます)

②と③の変分原理

基本的は①の考え方が踏襲されます。
加えて、化合物の構造上、特定の形をとった場合や、拡大した場合の方、が対環境に対し相対的に安定した、結合と分離のポテンシャルの差(電磁エネルギー循環構造の不安定さ)や、エネルギーの移動が小さくなる方向に、変化が進むと考えられます。

②であればより単純な形になるよう選択されるのでしょうし、③であればより小さい大きさで安定になることを選択するのでしょう。

ここまでは化合物の環境については触れてきませんでしたが、通常、環境は変化します。
そして一方で、常に変化するとはいえ、何らかの傾向を持つかもしれません。
記録を用い、記録に残った過去の状態も考慮し、変分原理を活用する手段が効いてきます。

変分原理はある指標で今の状態を観測したときに、次の状態がどうなるかを決めるために用います。
もし次の状態が「今の状態よりも前の状態も考慮されて決められている」=「記録が活かされる」場合、記録を跨いで指標を評価するようになるでしょう。
記録を加えることで、変分原理の「手段や手順の可能性の集合から次の状態を決定すること」に対し、過去に遡った履歴を加えて「手番を最小化する原理」が提供されると解釈します。

この原理は、同じ様な状況が何度も訪れる場合、有効に働きます。
常に追従するのではなく、ある程度時間の幅を見たうえで、無駄なやり取りを減らし、総合的に最善な手段や手順を実践します。

記録は、先にも述べた通り①から③のどの化合物の原理上存在し得ます。
①の場合は、光量子が交換されるスケールに相当します。
ここでの記録は、次のエネルギー準位に達しない限り状態が変わらない「許容範囲」や「閾値」に対応します。

②や③は、原子や化合物のスケールですが、結合と分離のポテンシャルが結合状態を変えない(反応しない)「許容範囲」を示しています。
これらの許容範囲で、エネルギーが作用しようとしている間は、その大きさや形状を変えず維持され、化合物は今の化合物のまま残ります。

この記録と記録を活かす構造(記録を構成する要素より大きい要素)が階層構造を成し、化合物全体の形を維持しながらも、先の①のポテンシャル最小化、②の形の単純さと安定さ、③の大きさの極小化と安定さが働き、それぞれが優位になるスケールで、記録の役割をになう化合物に過去の状態を反映し、絶えず変わる外部に対して④の極力短いサイクルで安定するよう変化することで、全体としてはエネルギーの移動が最も安定する循環の組み合わせへ進行すると考えます。
もちろん、記録が正しく形成されていなければこの試みは失敗します。

生物には、様々な「機能」が発現しています。
例えば神経細胞を見ると、軸索上の信号を高速にするため髄鞘化という構造を持ってしまったり、次の神経細胞に伝えるためにシナプス小胞を設けてそこから神経伝達物質を飛ばす様に成ってしまったり、神経伝達物質を受け取らないとチャネルが開かない様になってしまったりと、数えあれげばきりがないくらいどうしてそうなったのか説明のつかない機能が組み合わさってできています。

先の①から④の原理を丁寧に組み合わせたら色々と説明できるかもしれませんが、物質が取り得る構成の組み合わせと、①から④の組み合わせを順列組み合わせで検証していく必要があり、とてもすぐにはできないため、これ以上は詳しくは控えます。

ただ、物理的に離れた場所間を繋ぐ記録(変わりにくい原子、結晶、化合物で例えば、酸素、ホルモン、伝達物質)が、離れた場所同士で連動する仕組みが循環により実現されることにより(循環器系、呼吸器系、神経系、消化器系、免疫系→それぞれには循環させる記録に対応する原子、結晶、化合物があり、それらを受け取ったり流したりする受容体、チャネルが存在する)がより大きな構成(つまり体)を支えていると想像できます。

そして、何億年というスケールで、様々な記録(ここの記録はDNAやRNA)と化合物(体を構成する様々な化合物、結晶、原子)が残る様になった中で、それらが組み合わさっては破棄され、トライアル&エラーやスクラップ&ビルドが繰り返され、より残りやすい循環を獲得した組み合わせ=適応的な組み合わせを持った生物が、残るようになったのだろうとは想像します。

物質の記録と意識される記憶の関係について考察

神経細胞もたくさんの原子の結合からなります。
生物の場合、細胞内外で様々な物質の関係性が動的平衡状態であり、結合と分離が繰り返されています。
その中には、結合ポテンシャルが高いまま、結合していない状態のままのものもたくさんあります。
細胞に関わる結合と分離には、生物が活動を維持するための代謝も含まれており、化学反応が継続しています。
こうした生物としての動的平衡では、先に述べた①から④に相当する原理が、環境との関わりの中で、なるべく安定させる方向に動き、全体を維持させようとしていると捉えます。

神経細胞に信号が流れたからといって、細胞がバラバラになってしまうことはありません。
神経細胞間を接合して信号を連絡するシナプス前後の部分は、特定の条件で太くなったり、消失したりするようですし、歳を取れば神経細胞は徐々に数を減らしていくようですが、利用されている神経細胞は長らく維持されるようです。

神経細胞を流れる信号は、金属に流れる自由電子とは異なる電磁作用で実現されています。
それは、神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、GABAなどと呼ばれるもの)であったり、プラス電荷のイオン(カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)の移動だったりします。

これらの物質やイオンの移動で電磁作用が伴います。
それなりの流量になると、その影響が脳外にも染み出します。

これらの神経伝達物質やイオンは、流れに加担した後、回収されたり、元の場所に戻されるなどして、再び次の信号の流れに備えます。
この繰り返し利用可能にしている仕組みで、化合物の変化が起こっています。
例えば、神経伝達物質を仕舞った小胞から伝達物質を放出する時や、細胞外から伝達物質回収して小胞に収める時です。
また、細胞膜内外の電位差から駆動するチャネルが神経細胞では多いですが、化学反応をきっかけに駆動するチャネル(リガンド依存性イオンチャネル受容体と連動するチャネル)もあります。
いずれにしても、細胞自体を変えるまでのことは起こっていません。

(参考:シナプス可塑性)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsoft/18/3/18_362/_pdf

それでは、意識に関係する記録、つまり記憶は結局どこに、どの様な形で残り得るのでしょう。
次にそれを考えます。

物質が素粒子の集まりからなり、化合物となり、生物となり、その中で記録を担う構造が各スケールで現れたことを踏まえ、意識される記憶もそれらを踏まえて存在する点、あるいは、それらと影響しない形で存在できる点の、双方から説明すべきかもしれないと思っています。
今回はそうした視点も踏まえつつ、記憶の場所について探ります。

われわれは、外部と接点のある受容器(目や耳など、五感に代表される様な器官)からその刺激を受け取っていなくても、睡眠中に全く新しい内容の視覚的意識を夢という形で持つことがあります。
これらは、夢の中で意識される内容が神経細胞に残っており、何らかの形で呼び出され、組み合わさって作られると考えられるのですが、それがどこでどの様な形で残っているのかわかっていません。

形や動き(色は除く)はその内容に応じて違う脳経路を経ること(形は背後から側面にかけて、動きは背後から頭頂にかけて)が知られており、どの経路を辿ったかから説明されることがあります。
そのため、それらの細胞のどこかには、その内容が残っているということになるのでしょう。

また、脳は常に先読みするための予測、推測が前頭葉中心に行われており、それらが注意や意識の内容に影響します。

(参考:デフォルトモードネットワークの機能的異質性)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjppp/31/1/31_1304si/_pdf/-char/ja

例えば、暑い日の就寝時、その暑さを(屁理屈として)説明するため、なんらか焦っているとするような夢を見ることなんてことはないでしょうか。
これは、夢の影響のみを受けて汗をかいているわけではなく、「焦っているため汗をかく」と、「暑くて汗をかく理由を探す」が、双方影響し合っていると思われます。

ここからは、こうした脳の成り立ちを加味し、記憶について推測していきます。

まず、光量子をやり取りする単位よりも大きい単位(光量子以上のエネルギー量で交換されるエネルギーは全て)で、記憶は残らないとすべきかもしれません。
神経細胞の大きさや形は、光量子の助けを借りて構成された化合物、結晶、原子の集合体である一方で、そこを流れる信号は、これらを変える勢いのある信号ではありません。
それでも信号の内容が何らか神経細胞に残るわけですから、そのような作用があると考えてみる必要があります。

加えて、化合物には常に、次にどの様な形に結合すべきか方針を決めており、それは電磁エネルギー循環構造により決められており、その結合までに許容範囲(ある程度エネルギーを受け取る大きさがないと結合しない)が存在していると「推測」しました。
この許容範囲を超えない範囲でエネルギーを与えたとしても、作用や影響が何らかの形で残ることを説明できれば、この意識される記憶について、その可能性を証明できるかもしれません。

電磁エネルギー循環構造自体は、化合物を構成する原子の組み合わせから様々なエネルギー準位を持ち、少なくともその分内部状態の違いを刻むことができるでしょうが、ここでは、そのエネルギー準位の粒度に留まらない、さらに細かい粒度も、この循環構造に刻めるのと考える点が、今一歩踏み込んだところです

  • 補足
    ひょっとしたら、次に結合する相手がいくつも重ね合わさった状態が今の化合物であり、結合によってその可能性が削られていくという解釈が、あるのかもしれません。

物質の形状を変える時、量子(光量子の単位)の移動が少なくとも求められています。
そこでのやり取りは、連続的な値を取らずある単位毎の、飛びとびの値を取ります。
しかしこうなっているからこそ、この量子より小さい単位の出来事は「壊されずに残り続ける」のではないかと考えます。
もし、化合物の構成を決める、電磁エネルギー循環構造のエネルギーの刻み方が、無限の粒度で交換可能となっている場合、物質の構成調整のためだけに全てのエネルギーの状態が利用され、それ以外の状態は保たれない=意識される記憶として何も残らないと考えられます。

こうような考察から、意識されるべき記録は、光量子の単位未満に刻まれるエネルギー状態の違いではないかと「推測」します。

こうして考えてくると、その記憶として最も溜まりやすい場所は、構造を変えづらい場所であることから、神経細胞の中でも代謝を通じて変わりにくい部分が全て候補になり得ます。

以上 意識について 2024年版 上
2024年6月9日 ベータ版
2024年6月16日 初版

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