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127 『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』、第12話「前を向いて」、感想

 最終回の今回はアバンはなく、OP明けはアーリャさんの終業式挨拶のリハーサル。見守る政近くん、その固さと真面目さを分かってるはずだけど、特に意見することなくOKを出す。これがアーリャさんの持ち味なのだから、限界が見えるまでは自信を持たせてやろうという判断なのでしょう。つくづく政近くん、メンターとして極めて優秀。しかしなおも真面目に悩むアーリャさんに対し、アーリャさんにしか出来ない、アーリャさんなら容易い秘策を伝授する。
 その直後に現れたのが有希と綾乃ペア。前回攻撃されたことで有希の本性を窺うことが出来たアーリャさん、相応に警戒して真面目に対決姿勢を示す。でも「本当に真っ直ぐで素敵な人ですね」と言い返されてきょどるところ、まだまだ甘さがあるアーリャさん。
 そして剣崎くんと更科さんが合流してアーリャさんと有希の挨拶の順番を決める場面に。そこで有希の心の声のだだ洩れになるんだけど、これが勝負の結果の伏線になってる。考えすぎるのは雑念であり、勝負に集中していない証拠と言う意味。
 そして直、終業式。校長先生、そして生徒会長以下の生徒会の挨拶。そしてトリの一つ前のペア、まずは有希の挨拶。自信満々で場慣れした語り口のその内容は投書箱の活用。とはいえ政近くんも感づいているように、自分は何をやりたい、やってみせるということがない演説。次に綾乃の応援演説が続き、物語の主人公らしくトリのペア、真打ちの二人が登壇。
 まずはアーリャさん、政近くんから伝授されたロシア語の挨拶、それをボケとして活用した後、自分が堂々と努力する人間と自賛。流暢な二か国語を披露したあとだから、それが全然嫌味に聞こえない。そしてアーリャさんの持ち味である生がつくほどの真面目な態度も、その努力が真剣で心からのものであることを裏打ちしてる。しかもその真面目さが欠点になることにも真面目に述懐。他にも話の内容でいいところを指摘し続けられるけど、凄さは上坂すみれさんの声の演技。台本の台詞に合致する声で表現する感情の揺れ、見事としか言いようがないです。
 次に演壇に立った政近くん、まずギャグを滑らせて道化を演じましたが、有希にもない無双さを私は感じました。有希の前回の「目的のためなら手段を選ばない」、有希の焦りの表現とも窺えるから。その後も道化の態度は変わらず、有希を正面切って否定せずにアーリャさんを持ち上げる。しかし「学生議会」の回でも指摘したけど、カリスマ性の点では有希やアーリャさんより断然上と思え、空恐ろしく。多分政近くん、自分のその性癖、人を魅了してしまう話術をわかってしまっているから、自分の役回りを道化にしているのでしょう。

 そして政近くんは勝利のための切り札を切り、その後でアーリャさんが再度顔を見せて全員で最後のお辞儀。有希・綾乃ペアの時と勝るとも劣らない拍手を獲得。それを舞台袖で見る有希、自分の負けと理解したのでした。
 アーリャさんと政近くんは講堂を後にし、校舎で成績上位表を見る。アーリャさんは堂々一位ですが政近くんは33位。それは当然と言えば当然で、ガンダムシリーズで例えればアーリャさんはアムロで政近くんはシャア。アムロはモビルスーツで活躍するだけだが、シャアは指導者としてネオジオンを導き、政治家として策を弄するなど一人の人間としてはやることが多すぎる。政近くんも勉学だけでなく有希の出方を探るとかアーリャさんのメンターなど、学生の身に余る役を半ば自分で引き受けてる。
 しかしその後下駄箱のところで政近くんが自分から名前を呼び合うのを提案するのですが、高校生らしい慌てや照れが充満した微笑ましい場面でした。

照れる二人

 そして校舎を出て、政近くんがアーリャさんに夏休み中もちょくちょく会うことを提案。それに対するアーリャさんの答え/応えはタイトル画像の満面の笑み。しかも日本語で「喜んで!」。爽やかに終わった第一期でした。

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