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069 桃香と仁菜、ルパと智、比較論

 私の以前のnoteでのメタ論でダイダスが東映アニメーション、東映動画ならbeni-shougaは虫プロと論じたことがありました。しかし先週の第九話で多少はかすっていたようですが、メタでなく劇中の要素で語った方がいいかなと思いまして。簡単に言えばルパさんと智ちゃんのbeni-shouga、新川崎(仮)に成長/発展できなかった「桃香さん」と「仁菜ちゃん」ではないかと思いついたのです。そう考えるとすばるちゃんを入れたトリオの時分の新川崎(仮)とbeni-shougaが合体したことの意味、合流する前の両者の明暗が解読できると思って。
 単純に言えば智ちゃんという努力と才能の塊のアーチストがいるんだから、ルパさんと言う強力なパートナーを得たbeni-shougaが一気に話題をかっさらい、プロのミュージシャンとして電撃的にデビューする物語もあり得た。それが出来なかったのは前回指摘した智ちゃんの焦りとともに、パートナーのルパさんがダブルであることも原因してると思う。
 桃香さんと仁菜ちゃんの場合、「同じ日本人」という共同幻想、認識から無防備なほど互いに激しく当たれたのだと思う。しかしルパさんと智ちゃんは劇中で観られる通り、智ちゃんの激しさをルパさんはかわしたり受け止めるだけで、本気の言い合いに発展することはない。それはルパさんが自分は生粋の日本人でないという負い目から、一歩引いた立場が習い性になったためと窺える。それはどう見てもルパさんにとって、日本社会にとって不幸なこと。
 それはbeni-shougaが結局、「安和すばる」を獲得できなかったことに繋がる。もし獲得できていればバランサーになり、桃香さんと仁菜ちゃんが出会う前にとっくにプロとして名声を得てたはず。しかし天才肌の日本人の女の子と落ち着き払ったダブルの女性を、取り持つことのできる人はついに現れなかった。差別感情が影響したこと、容易に想像できる。
 一方で桃香さんと仁菜ちゃんは安和すばるというバランサーを得て、正論モンスターの凶暴性をうまく成長させてカリスマのあるボーカルに成長させることが出来た。多分ルパさんと智ちゃん、「視界の隅 朽ちる音」での新川崎(仮)の演奏とステージングで、自分たちの叶わなかった/叶えていない未来を垣間見たのだと思う。それは直接、一緒にやってプロになりたいという野心に結び付くと思う。
 挫折を知ってる桃香さん、プロファイラーすばるちゃんは以上に記したルパさんと智ちゃんの鬱屈を推察、分析できたと思う。勘づかないのは仁菜ちゃんかもだけど、正論モンスターだから事情を知れば無償の愛情を注げるはず。何せ「私は間違ってない」と言い続けてるから。
 つまり待たれるのは本格的なルパさん回で。分析なので署名します。(大塩高志)

参考:


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