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頁2「今日はわざわざどうも」

なにかしら嬉しいメッセージが届くと、この人アカウント乗っ取られてる? とすぐに警戒できる私だ。

「今、忙しい?」なんて送ってきた子も、「アカウント乗っ取られました!! パスワード変えたのでもう大丈夫だと思いますが、また変なメッセージが来たら無視してください。お騒がせして申し訳ございません!!」と最大限よそよそしいエクスキューズをただちに寄越してきたけど、こちらからしたら、わかってた、わかってた! 安心してよ。だって誰もそんなコンタクト私に取ってきたりしないから、怪しすぎるから信じてないよー! って感じだ。

そんな私であるから、ある人から「今日はわざわざどうも」なんてメッセージが来たときも、「送り先、私で合ってますか?」と落ち着いたレスポンスを取れた。

すると、とある公演の当日スタッフにその日入っていた彼は、客席に私の姿を見つけたと思い、「今日はわざわざ(観に来てくれて)どうも」と連絡をくれたらしい。


ねぇ、こわい。
私の魂、劇場まで行っちゃったんだろうか?

確かに当時、私は彼のことを追いかけていた。(気持ち的によ?)

だから彼会いたさに、劇場を訪れていてもおかしくない。

けれどその日は、なんの理由だったか、私は行けていない。行きたかったと思うけど。

なので、私の魂だけ彼の元へ行っちゃった可能性は否定できない。

でもさ。客席に、私の姿を空目してしまった彼も、私に恋してなかったとは言えなくない?

……えっ、言えなく……言えな……言えない? 


わざわざ御礼の連絡をくれたこと自体も嬉しかったけれど、ある意味、いないはずの私を見てしまったことの方が、アカウントなんかじゃなく彼こそ魂乗っ取られてる? って感じで嬉しかったです。


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