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頁11「作れますよ」

とあるイベントで、たしかノートパソコンからプロジェクターで映像&音を出さなきゃってことになって、おい! このノートパソコン、マイク端子ねぇじゃねーかぁ! と焦り、つらつらと音響ミキサー周りの後ろ髪長めスタッフさんへ窮状を伝えると、

「よくわかんないスけど、(配線)作れますよ」

と、ぼそり。

ツクレマスヨ!!!!!

私の説明伝わんなかったか……と軽く落ち込みつつ、肝心の「作れますよ」に、やっぱりこの人大好きだよ!! と心を掴まれ深く心酔した。

やっぱりというのは、最初に対面したときから、その不思議な髪型で私の好みセンサーの針は振れていたからだ。
不思議な髪型というか、あれはただ、短髪からそのまま半年以上伸ばしっぱなしなだけだったのかもしれないけど、それはそれでアメイジングでイイ。

その下地あってからの、「作れますよ」。
なに? なにが作れるっての? いや、あれでしょう? 既製のケーブルにとらわれない、線とか端子とか繋げて配線作れちゃいますよ、ってことでしょう?(違うかもしれない。)

なんかさ。そういう“じぶんにはとても創造できないもの”を、軽々と作れちゃうのって、本当に惚れぼれする。

プログラミング作れる人とか。
ビル建てられちゃう人たちとか。
餅であんこ包める人とか。

でも結局、HDMIケーブル挿せば映像も音も出せるんだったじゃん!(その差し口はあった) と状況理解が追いついて、彼にオリジナル配線を作ってもらわなくてよくなり、それ以上は絡めず残念だった。

でも! 開場までの空き時間に、彼がこちらへやって来て、なにやらものものしく話し掛けてきたと思ったら──「喫煙所ってありますか?」。

好意を伝える代わりに、どうか無事にそこへたどり着いてくれというヒューマニティーな思いを胸に、それはそれは手厚く喫煙所へのルートを伝えた。

けれど今思うと、そこは「案内できますよ」だったかもしれない。「作れますよ」のアンサー“ワード”として。なんだそりゃ(笑)。


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