汝、星のごとく
本屋大賞とのことで、さわやかな本を読んでみたくて読んでみた。
要約:
瀬戸内の島で、複雑な家庭に育った高校生の櫂と暁海がお互いにやるせなさを共感する中で惹かれあって恋に落ちる。夢を見つけた櫂は上京したが、家族を放っておくことができないと暁海は島に残る。
主人公が交互に語っていくスタイル。
感想(ネタバレあり):
ヤングケアラーや過疎、LGBTQや、SNSなどいろいろ詰め込んでいた割に、残るものがなく、あまり楽しむことができなかった。
周りがなんと言おうと、それぞれの家族の形があり、自分が居心地が良ければそれが自分にとっての家族でいいんだよ、というメッセージはわかりやすい。
先生が色々な場面で背中を押してくれる唯一の理解者であったが、先生のバックグラウンドに関する描写が少なすぎたように思う。主人公の2人の家庭環境があまりよくないことや、教え子と恋愛していた過去があったため、サポートしてくれる理由は理解できるが、なぜ先生が子供の母親と別れることになり、最終的に復縁することになったのかが、釈然としなかった。
環境が変わって心が離れてしまい、心が荒んでお互いを必要としてヨリを戻す展開は、ありきたりなように感じてしまった。櫂は酒量がどんどん増えていたので病気になるように予測できたし、なってしまったら最終的に命を落とすことも想像できてしまったので、ガンが見つかったと読んだ時に、冷めてしまった。
瀬戸内の綺麗な情景描写はよかった。