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イラスト構図の考え方
イラストの構図をメインに生成して感じた部分をまとめました。
参考になれば嬉しいです。
初めに
■イラストは「見る」ための創作
イラスト作成には必ず「作品を見る人」が存在します。一人のためだけでなく、多くの人々に作品を鑑賞してほしい、という前提が大切です。
構図を考える際も、見る人を引き付けるビジュアルか、表現の主眼が明確に伝わるか、ストーリー性が感じられるか、等の点を常に意識しながら描き進める必要があります。
見てくださる人を想定し、作品の訴求力や伝わりやすさを第一に考えて描く習慣がなによりも大切なのです。
■SNSでの作品公開に向けた意識
以前と違い、SNSの普及によって誰もが簡単に作品発表ができる世の中です。
投稿された作品の中から、注目を集めるビジュアルかどうかが選別されます。原画力や画力だけでなく、パブリックに「見てほしい!」と訴求できる構成力が問われていると言えます。
積極的に作品を出すことで多くの人からフィードバックをもらい、制作意識の向上につなげることが可能です。SNS時代の今こそ、発信力が問われているのです。
良いイラストとは何か
キャラクター、背景、シチュエーションのバランスのとれた配置がポイントだと考えます。
まずキャラクターはイラストの主役ですから、適度な比重と印象的なビジュアルで描写することが大切です。ただし描き込み過ぎても背景などとの調和が損なわれます。
次に背景ですが、単なる空間のような扱いでなく、作品の雰囲気や世界観を描写する重要な要素です。メインキャラとマッチした背景演出が必要です。
そしてシチュエーションですが、物語性を感じさせる具体的な場面設定が構図の生き生きとした雰囲気を生むポイント。キャラと背景の構図やトーンを決めるうえで大切な視点です。
以上から、キャラ、背景、シチュエーションの3要素のバランスと調和が、効果的で魅力的なイラストを生み出す条件です。
生成していて感じたポイント
■動きのないイラストの印象の薄さ
イラストにおいて、人物や物が動いている様子を描くことはとても大切です。なぜなら、動きを描写することでリアリティや生命感がより感じられるからです。
特に物語仕立てのイラストでは、ある瞬間の動作や表情を捉えることで、その場の緊張感や空気感を伝えることができます。しかし動きのない静止画のようなイラストでは、そうした躍動感が伝わらず印象が薄れがちです。
少しでも人物の手の動きや衣服のなびき、空を飛ぶ髪の毛などを描き込むことを意識しましょう。それだけでイラスト全体の生き生きとした雰囲気がグンと変わるはずです。
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■バランスを欠く人物配置の難しさ
人物や要素を配置する際、イラスト全体としてのバランスをいかに取るかも構図を左右する重要ポイントです。
特に人物の配置で失敗しがちなパターンとして、一方的に偏っているケースがあります。右か左か上下かに人物が寄り過ぎるレイアウトは非常に安定感に欠けます。
また、人物と背景要素の配置比率を誤ることでも印象が損なわれます。人物が小さく描かれる一方で背景の描写に過剰に描きこむようなケースでは、メインの人物が埋もれてしまいがちです。
人物と背景のバランス、空間の使い方を意識することが大事です。
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■世界観を乱す設定との不一致
特に物語性のあるイラストを描く際には、作品の持つ世界観との一貫性が求められます。
例えばファンタジー作品にて、その世界観にそぐわない現代的な小物が描かれたりすると違和感が生じてしまいます。必要以上に作者の執着したモチーフを絡めるあまりに主眼がずれてしまうこともあるでしょう。
こうした点から、作品の持つ世界観や設定との不一致は極力避けるべきポイントだと言えます。統一されたトーンで描きこむことを心がけましょう。
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■メインが分からず記憶に残らない構図の欠点
構図を持って成功させるには、イラストの主眼となるポイントが明確になることが大切です。
しかし要素が多すぎたりすることでメインのモチーフが分からなくなってしまうことも少なくありません。記憶に残るインパクトあるイラストとするには、メインのモチーフを適度な比重で描き込む必要があります。
構図の基本線となる流れを意識しつつ、メインポイントを引き立てる具体策を検討していきましょう。
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■インパクトに欠ける描写の弱点
イラストにおいて見る者の印象に残るインパクトを生み出すことも、構図を良くするためのポイントです。
インパクトある描写とはなにか。それは見開きページでの迫力あるビジュアルや、意表をつく展開の激しいシーン描写などが該当します。
こうした見る者の心を打つ表現が含まれないイラストは、作品全体の印象が薄く感じられがちです。クライマックスに相応しい印象的な構図が求められます。
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■物語として成立しにくい浮遊感
最後に、ストーリー性を感じさせない構図の欠点について。
一コマの切り取りを連ねたような短編的なイラストは、見応えがありつつも物語性としてはやや不足感が残ることがあります。コマ割りの流れやグラフィック的テイストはアーティスティックですが、読み手として大きな共感を得るまでには至らないのです。
こうした作例から学ぶ点はありますが、より高次なイラスト力を身につけるためには、一連のストーリー展開が描ける構図力が求められるのです。
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■動的な表現で視線を誘導する
静的な構図の欠点を踏まえ、動的な表現を取り入れることでイラストの視線誘導を良くすることができます。
例えば、物体の飛散や衣服のたなびきなどの動的な表現を背景に配置することで、メインの人物へと注意が集まりやすくなります。適度に動線を作ることで視線の流れをコントロールできるのです。
また、人物の動きの流れも利用できます。作品内での目線の動きを計算した上で、次の視点へと導くことが可能です。
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■トリミングで新たな演出効果
構図の工夫として、トリミングの技法も効果的です。
イラストの端を切り取る、あるいは枠外を意識したレイアウトは、視線を框内で完結させずにはみ出す表現ができます。これにより、新たな展開への期待感や空間の大きさを演出することができるのです。
過度なトリミングは逆効果ですが、作品の演出意図に応じた活用は大いにオススメしたいところです。
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■背景との調和で主題の描写効果UP
イラストにおいて背景は単なる空間の補完ではなく、作品の主題を描写するうえで欠かせない要素です。
例えば悲壮感を演出したい場合、荒涼とした大地や崩壊した建造物などを背景に配置します。喜びのシーンであれば開花する自然物があふれる空間がふさわしいでしょう。
このように背景を主題に適したモチーフで統一することで、イラスト全体の一貫性が高まり演出効果が上がります。背景を作品の主眼と調和する構図を目指しましょう。
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■型にとらわれず斬新さを
最後に、構図における固定観念からの脱却について触れておきたいと思います。
イラストを描くうえで、漠然として学ぶべき定石というものがあると考えがちです。でもそんな硬直的思考を持つ必要はまったくありません。むしろ斬新で意表をつく構図こそが目立つという点です。
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構図による見方の違い
・日の丸構図
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中心のモチーフをまん中に配置し、その周りを円形の輪郭で囲むように要素を配する構図です。中心のモチーフがクリアに引き立ち、視点が定まる効果があります。
たくさんのキャラを描ける。またバランスも良い。
・二分割構図
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画面を直線で左右あるいは上下に2分割することで、対比的な演出ができる構図です。分割することでそれぞれの領域に異なる要素を配分でき、効果的なビジュアルバランスが生み出せます。
バランス型。
・三分割構図
![](https://assets.st-note.com/img/1705533245778-EV25g0OLtk.png?width=800)
画面を垂直2本の平行線で3つの領域に分割し、主要な要素をバランスよく配置する構図です。画面の横幅を3等分に分けることで、視覚的な安定感が得られます。
バランス型。
・シンメトリー構図
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画面の左右(または上下)が対称の形で構成される点が特徴です。対象を正面から捉えたイメージなので、視覚的な安定感があります。
バランス型。
・螺旋構図
流線型の曲線を描き、その線に沿って要素を配置していく構図です。特に動きやスピード感を表現したい場合に向いています。視線が曲線に引き込まれる効果が生み出せます。
視線誘導型。
・額縁構図
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イラストの画面端や枠組みを意識して構成する手法です。要素を画面端で切り取ったり、框からあふれさせたりすることで開放的な表現ができます。新たな空間への期待感も演出できるでしょう。
キャラの印象UP。
・黄金比構図
イラストの長辺と短辺の比率を黄金比にすることがポイント。 side の比率がこの黄金比になると、視覚的な安定感と調和を保つことができるので好まれる構図です。漫画やイラスト制作によく利用されています。
全体のバランスを強調。
・三角構図
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画面に三角形の形を想定し、その3つの頂点に要素を配置する構図です。3つの要素のバランスや緊張感が表現しやすいのが特徴です。視線の動きが明確になります。
バランス型。
・逆三角構図
三角構図の構成要素を上下逆に配置したもの。画面下部が広がりを見せるので、安定感や重厚感を表し易いです。
バランス型にもなるし不安定にもしやすい。
・菱形構図
四角形のなかでも最も動的な形状である菱形レイアウトを用います。2つの対角線の交わる点に要素を配置することが多い構図です。
バランス型。
・S字構図
Sの字のカーブを描いて要素を配置していく構図技法。左上から右下へ下降後上昇する流れは視線誘導効果抜群です。動きを生み出しやすいと言えます。
視線誘導型。
制作前に大事な事
■漠然としたイメージでの描写のリスク
イラストを描こうと思った時、最初はどんなイラストにしたいか、なんとなくイメージが浮かぶものです。しかしそのままぼんやりとしたイメージのまま描き始めると、作品のコンセプトが曖昧なものになりがちです。
![](https://assets.st-note.com/img/1705647369685-qjC6Ck5bEF.png)
具体性に欠けるとデッサンや構図を進める段階で方向性を見失い、迷走して形にならないリスクがあります。そもそものイメージの甘さが原因といえます。
■具体的なイメージを言語化する
以上から、最初のイメージをある程度言語化して具体性を出す必要があります。
例えば「ファンタジーな世界観の中で、傷ついた獣をかわいがる姫君」など、イラストのコンセプトを文章で表現することが重要なステップになります。
言語左右の整理で漠然としたイメージが固まり、具体的なモチーフや構図を検討しやすくなります。
■詳細な設定を決める
さらに、より詳細な設定を決めていくことも大切なプロセスです。
キャラクターの性格や身なり、背景となる場所の特徴、小道具の種類や配置等を検討していきます。これによりイメージの精緻化がなされ、描きやすさが向上します。
■参考にする他作品の活用
アイデアを具現化するにあたり、参考にする他者のイラスト作品も役立ちます。自分と似た画風・テイストの作品や、志向する分野の画集などを参照するのです。
実際に完成されたイラストを範例としてイメージの方向性を固めたり、構図や画風の着想を得たりできます。あくまで参考に留める点は大切ですが、多くを学ぶことができる手段です。
実は今回はこの本を参考にしています。
活用術
■ラフスケッチでの検討
最後に、ラフスケッチを重ねることでもアイデアはブラッシュアップされていきます。
浮かんだイメージをすぐに下書きで表現してみる。手を動かすことでより明確なイメージが湧いてきます。
構想下書き修正のサイクルを繰り返していけば、自ずと具体性が増していくはずです。実際にメモ帳や落書きアプリで試してみましょう。
ストーリー展開の文章化
イラストを描くうえで大切な前段階のプロセスがあります。それは「文章でストーリーを展開させること」。実はこの行為が、後のイラスト制作を随分とスムーズにしてくれます。
どのような効果があるかと言うと、まず第一に、作品の世界観が明確になります。登場人物の設定や場の雰囲気が具体化されるため、頭の中でその状況を垣間見ることができる。主人公の置かれた立場や場の緊迫感が想像しやすくなります。
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二つ目のメリットは、イラストの核となる場面が自ずと選択しやすくなること。ストーリー展開の山場や作品のクライマックスをテキスト化することで、そこから劇的な一コマを選び出しやすくなります。
アイレベル(視点)を決める
イラストの視点・アイレベルによって作品の雰囲気は大きく変わってきます。代表的な3つの視点について、それぞれの特徴を解説していきましょう。
【俯瞰】
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画面上部から下を見下ろす視点。人物が下から見上げられるので、かわいらしさや弱々しさを演出しやすいのが特徴です。巨大な自然物や建造物との対比も表現しやすいポイント。
【水平】
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人物と同じ高さの視点。目線が合う安定感があるのが特長です。正面から人物を捉えることができるので、端正で力強い印象を与えられる視点といえます。
【仰角】
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下方から人物をうかがう視点。上を見上げることによる圧倒感や威厳さを出しやすいのが魅力です。逆に人物の弱みや狼狽ぶりも浮き彫りにできます。
キャラクターの目線
イラスト制作で大切なポイントの一つが「キャラクターの目線」です。目の向きや視線の描き方を変えるだけで、作品全体の印象がガラリと変わるのです。
特に効果的なのが、「カメラの視点=観る側の視点」を意識して目線を制作するやり方です。見ている人とキャラクターの視線がリンクすることで、引き込まれる体験が得られるのです。
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こうした手法は「目線の誘導」という演出効果にも活かすことができます。キャラクターがある方向を見ることによって、見る人の視線を意図的に誘導できるわけです。
逆に視線を外した場合はどうでしょう。
キャラクターの視線が画面の外を向くことによって、以下のような効果が生まれます。
・キャラ以外の空間への好奇心や関心が表される
・キャラが画面の外で出来事に気づいたことが強調される
・見る側も外を見ようとして視線が画面端へ誘導される
この「外への視線」を上手く利用することで、画面外で何かが起こっていることを示唆できます。また視線の先がどうなっているのかと引き込む好奇心も掻き立てられるでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1705646742724-dgCLLvIkHs.png?width=800)
空間への期待感を高める表現が求められるシーンでの活用がオススメです。
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