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綾瀬はるかのパン屋

パン職人に扮した綾瀬はるかがパンを焼き上げる食パンのCMを見ていたら、画面下に小さく「※CM上の演出です。本製品は自動化されたクリーンな工場にて、衛生管理に配慮し製造しております。」という文言が表示されていて目を疑った。なんて失礼な!それではまるで綾瀬はるかのパン屋が不衛生みたいではないか!なんでそんな言い方をするんだ!

映像を見るに、お店はかなり綺麗に保たれているようだったし、開業にあたっては保健所の検査を通っているはずである。それに、あの努力家の綾瀬はるかが日々の掃除を怠るとも思えない。普通に考えて、パンを作る環境として何ら問題はないはずだ。むしろ、綾瀬はるかのパン屋は、個人経営のパン屋の平均よりもずっと清潔であると見て間違いないだろう。

にもかかわらずあの文言である。もちろんCM制作においていろいろと事情があるのは察する。わかりきった断りを入れておかなければならない理由もきっとあるのだろう。だとしてももう少し言い方はなかったのか。あまりにも表現が乱暴である。綾瀬はるかのパン屋に対する配慮がもっとあって然るべきではないのか。

トラブルや炎上を恐れるあまり、先回りした但し書きばかりが増えていく昨今。ありもしない苦情を抑えるために発した言葉が大切な何かを蔑ろにしているのだとしたら、こんなに悲しいことはない。これでは本末転倒もいいところだ。本来CM制作というのは人々に驚きや楽しさを与えることができる仕事である。製作サイドの人間だって、見た人に悲しい思いをさせるのは本意ではないはずだ。

だからこそ、こんな事態にならないように内部の人間が踏ん張ってほしかった。やむを得ない事情はあるにせよ、その中で少しでももがいてほしかった。現場の人間にしかわからないことがある、という意見もあるだろう。だが、だからといって綾瀬はるかのパン屋のお客さんを傷つけていいなどということは決してないはずだ。そして、そのことは彼らが一番よくわかっているはずなのである。

CMを見てそんなことを思った。あと、綾瀬はるかのパン屋などないし、仮にあったら多少汚くても絶対行くなあ、とも思った。

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