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ITパスポート試験勉強ノート No.5 経営・組織論(4)社会における IT 利活用の動向 | 大人の学び

ITパスポート という国家試験の勉強を始めました。

「試験勉強ノート」を作るつもりで、自分が新たに知ったことを書き留めていきます。

この試験、内容は大きく分けて次の3つです。
①ストラテジ(経営戦略)系
②マネジメント(管理)系
③テクノロジ(IT技術)系

シラバスの順に従って、今回は、
①「ストラテジ(経営戦略)系」の中の「経営・組織論 (4)社会における IT 利活用の動向」
の勉強ノートです。

シラバスで示される用語(=重要な概念)とその意味を整理します。
大学受験で言えば、山川出版の社会科用語集『一問一答』シリーズのイメージです。チェックリストとしてお使いいただけるかもしれません。

項目中の★印は、現時点での最新版(2024年10月試験)で導入されたことを表します。
シラバス掲載ページはこちら↓


⬛︎ 経営・組織論

(4)社会における IT 利活用の動向

②企業活動及び社会生活におけるIT利活用の動向の項目に示された次の用語についてのみ解説をつけました。

  • 第4次産業革命

  • Society5.0

  • 超スマート社会

  • データ駆動型社会

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)

  • グリーントランスフォーメーション(GX)

  • カーボンニュートラル

  • 国家戦略特別区域法(スーパーシティ法)

  • 官民データ活用 推進基本法

  • デジタル社会形成基本法

なお、今回は、コンパクトな説明が見つからず、長文の引用になってしまったものが複数あります。あらかじめご了承ください。


① ITの進展とそれに伴う社会の変化
・データ分析の高度化,AI の進化といった,IT の進化が促す社会の変化
・人間の知的活動とAI の進化との関係性
・人間の知的活動を起点としたものの見方,及びデータを起点としたものの見方の変化
【用語例】 
・コンピュータの処理能力の向上
・データの多様性及びデータ量の増加
・AIの進化

②企業活動及び社会生活におけるIT利活用の動向
・企業活動及び社会生活における IT 利活用の動向の概要
★社会の変化によって生じている様々な社会課題(労働市場の需給や流動性の変化,人口動態,地球環境,エネルギー問題,教育格差など)を解決するために IT の利活用が有用であること
【用語例】
・第4次産業革命

第4次産業革命とは、
18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、
20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、
1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化である第3次産業革命
に続く、次のようないくつかのコアとなる技術革新を指す2(付図2-1)。
(※引用者注:説明や付図へのリンクは、元データから参照してください。)

一つ目はIoT及びビッグデータである。工場の機械の稼働状況から、交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで、新たな付加価値が生まれている。
二つ目はAIである。人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素を全て与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことが可能となっている。加えて、従来のロボット技術も、更に複雑な作業が可能となっているほか、3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となっている。

こうした技術革新により、
①大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供、
②既に存在している資源・資産の効率的な活用
AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替などが可能となる。

企業などの生産者側からみれば、これまでの財・サービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性があるほか、消費者側からみれば、既存の財・サービスを今までよりも低価格で好きな時に適量購入できるだけでなく、潜在的に欲していた新しい財・サービスをも享受できることが期待される。

また、諸外国も含め、第4次産業革命の流れとして既に取組が始まっている具体的な事例を整理すると以下のようになる。

第一は、財・サービスの生産・提供に際してデータの解析結果を様々な形で活用する動きである。
具体的には、製造業者による自社製品の稼働状況データを活用した保守・点検の提供、ネット上での顧客の注文に合わせたカスタマイズ商品の提供、ウェアラブル機器による健康管理、医療分野でのオーダーメイド治療、保安会社による独居老人の見守りサービスの提供などの事例がある。

第二は、シェアリング・エコノミーである。これは、インターネットを通じて、サービスの利用者と提供者を素早くマッチングさせることにより、個人が保有する遊休資産(自動車、住居、衣服等)を他者に対して提供したり、余った時間で役務を提供するサービスである。
具体的には、保有する住宅の空き部屋等を活用して宿泊サービスを提供する「民泊サービス」や、一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービス、個人の所有するモノ(衣服等)を利用するサービスや、個人の持つ専門的なスキルを空き時間に提供するサービス、空いている駐車スペースを利用するサービス等、様々なサービスが登場している。

第三は、AIやロボットの活用である。
具体的には、AIを使った自動運転の試行実験、AIを活用した資産運用、介護などでのロボットによる補助の活用等の事例がある。

第四は、フィンテック(FinTech)の発展である。フィンテックとは、金融を意味するファイナンス(Finance)と技術を意味するテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語であり、金融庁金融審議会(2015)は、「主に、ITを活用した革新的な金融サービス事業を指す」としている3。
具体的には、取引先金融機関やクレジットカードの利用履歴をスマートフォン上で集約するサービスや、個人間で送金や貸借を仲介するサービス、AIによる資産運用サービスのほか、情報をAIで分析して信用度を評価することで、伝統的な銀行では貸出の対象にならないような中小企業や消費者向けに迅速に融資を行うサービスの提供などが可能となっている4。

内閣府 『日本経済2016-1017』https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html


・Society5.0

我が国が目指すべき未来社会の姿であり、
狩猟社会(Society 1.0)、
農耕社会(Society 2.0)、
工業社会(Society 3.0)、
情報社会(Society 4.0)
に続く新たな社会です。

第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)において、
サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会
としてSociety 5.0が初めて提唱されました。

第5期科学技術基本計画で提示した Society 5.0の概念を具体化し、現実のものとするために、令和3年3月26日に閣議決定された第6期科学技術・イノベーション基本計画では、我が国が目指すべきSociety 5.0の未来社会像を
持続可能性と強靭性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会
と表現しています。

内閣府
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

このあとに、「Society 5.0の実現に必要なもの」、「Society 5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策」が書かれている。

★超スマート社会

超スマート社会では、企業は様々な情報をデータ化して管理することで、生産効率の改善、需要予測の精緻化、取引相手を含むサプライ・チェーンの効率的運用を図ることができることに加え、データの解析を利用した新たなサービスの提供、AIを活用した事務の効率化や新たなサービス提供などが実現できる。

また、消費者を取り巻く環境については、個人のニーズに合った財やサービスを必要な時に必要なだけ消費することが可能となり、例えば、シェアリング・サービスの普及により、財や資産を所有せずとも好きな時にレンタルして利用することが可能になる。また、デジタル・エコノミーの進展により、ネット上でのコンテンツ提供が増加しており、好きな時に好きなだけコンテンツを楽しむことができ、その費用については、基本的にはネット配信は限界費用がゼロであるために、アクセス料金は安価ないし無料のものも多くなっている。また、スマート家電等の普及は、電力使用の効率化になる。

加えて、フィンテックの普及は、金融のデジタル化による資産運用や決済、融資にかかる手間や費用の削減により、今までそういった金融サービスから排除されていた人々や企業も金融サービスを受けられるようになる。

さらに、人々の働き方や仕事への影響については、ICTの活用によるテレワークの更なる普及や、シェアリング・サービスによる個人の役務提供の機会の増加などにより、好きな時に好きな時間だけ働くというスタイルが増加する可能性がある。他方、AIやロボットの活用により、労働が機械に代替される事象が一層進む可能性がある。比較的スキルの必要のない一部の製造、販売、サービスなどの仕事に加え、バックオフィス業務などについてAIにより代替される可能性がある。従来では機械で容易には代替できないとされていた人事管理、資産運用、健康診断などのハイスキルの仕事についても、その一部が代替されるとの指摘もみられる。

また、社会全体でみると、高齢者にとっては、第4次産業革命の恩恵は相対的に大きいとみられる。具体的には、ウェアラブルによる健康管理、見守りサービスによる安心の提供、自動運転による配車サービスなど公共交通以外の移動手段の普及などにより、高齢者も活き活きと生活できる環境の整備が進むものと期待される。

政府が2016年1月に決定した「第5期科学技術基本計画」においては、「超スマート社会」、「Society 5.0」5を打ち出している。少子高齢化が進む我が国において、個人が活き活きと暮らせる豊かな社会を実現するためには、IoTの普及などにみられるシステム化やネットワーク化の取組を、ものづくり分野だけでなく、様々な分野に広げることにより、経済成長や健康長寿社会の形成等につなげ、人々に豊かさをもたらす超スマート社会を実現することが重要な課題である。

内閣府 『日本経済2016-1017』
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html


・データ駆動型社会

目指すべき社会=データ駆動社会
日本が抱える課題は多岐にわたるが、最大の課題の一つが人口減少である。日本の人口は2100年の時点で約6千万人と推計される[3]。これは2004年12月のピーク時の約半分(約100年前の大正末期の人口とほぼ同じ)であり、このまま策を講じない場合、経済規模の大幅な縮小が財政赤字、社会保障費の拡大、(経済力に比例する)外交力の低下等、深刻な影響を将来もたらす可能性が大きい。

 こうした中、21世紀型エコノミーの鍵を握るのがデータである。ビッグデータの収集・蓄積・解析を通じ、人工知能(AI)を活用しつつ、“課題発見”から“課題解決”、“過去分析”から“将来予測”、“部分最適”から“全体最適”へのシフトチェンジを実現する必要がある。

 その際、
(a)社会経済システムが持つ課題の特定→
(b)IoT機器などを用いた課題解決策(ソリューション)の検討→
(c)ソリューションの稼働状況の検証→
(d)ソリューションの改善
—–というサイクルを継続的に回すことが重要であり、
こうした「リアル・サイバーの垣根を超えたデータ循環」という姿が
目指すべきデータ駆動社会(Data Driven Society)の中核(基本像)をなす。

<後略>

デジタル政策フォーラム『データ駆動社会の実現に向けた7つの視点』2022
https://www.digitalpolicyforum.jp/proposal/より

・デジタルト ランスフォーメーション(DX)

(1)デジタル・トランスフォーメーションの定義
そもそも「デジタル・トランスフォーメーション」という概念は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された。教授の定義によると、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」とされている3。

その後、平成30年12月に経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン」4において、デジタル・トランスフォーメーションを、抽象的かつ世の中全般の大きな動きを示す考え方から進めて、企業が取り組むべきものと示した。

現在、世の中で使われている「デジタル・トランスフォーメーション」の定義は厳密には一致しておらず5、使い方も人や場面によってまちまちであるが、本白書における「デジタル・トランスフォーメーション」の定義は、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」6(令和2年7月17日閣議決定)におけるもの(下記)を踏襲することとする。

Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

なお、デジタル・トランスフォーメーションと同様に、広い意味での「デジタル化」の範疇に含まれる概念として、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」がある。国連開発計画(UNDP)ではこの両者を次のように定義している。

Digitization(デジタイゼーション)
既存の紙のプロセスを自動化するなど、物質的な情報をデジタル形式に変換すること

Digitalization(デジタライゼーション)
組織のビジネスモデル全体を一新し、クライアントやパートナーに対してサービスを提供するより良い方法を構築すること

言い換えると、
会社内の特定の工程における効率化のためにデジタルツールを導入するのが「デジタイゼーション」、
自社内だけでなく外部環境やビジネス戦略も含めたプロセス全体をデジタル化するのが「デジタライゼーション」である。
それに対し、デジタル・トランスフォーメーションは、デジタル技術の活用による新たな商品・サービスの提供、新たなビジネスモデルの開発を通して、社会制度や組織文化なども変革していくような取組を指す概念である(図表1-2-2-1)。

これまでに企業が実施してきた情報化・デジタル化(デジタル技術を用いた単純な省人化、自動化、効率化、最適化)はデジタル・トランスフォーメーションとは言い難く、社会の根本的な変化に対して、既成概念の破壊を伴いながら新たな価値を創出するための改革がデジタル・トランスフォーメーションである。また、デジタル・トランスフォーメーションは、あくまで企業が特定の目的を達成するための手段であり、それ自身を目的とするものではない点に留意が必要である。

総務省 令和3年版白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.htmlより

◾️DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

企業が、ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して、業務プロセスを改善していくだけでなく、製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土をも改革し、競争上の優位性を確立すること。
(読み:ディーエックス)

IT・デジタル技術の発展により、これまで提供できなかった新しい価値が次々に生まれています。これまでのITが得意としていた生産性向上、コスト削減などの価値だけではなく、顧客や社会のニーズに基づいた体験的価値、そしてヒト、モノ、カネ、情報がつながることで新しい発見や市場機会を生み出すネットワーク価値などです。個人のライフスタイルから産業構造まで、世の中を変えようとしています。

企業は、激しく変化するビジネス環境に対応するため、経営資源の「情報(データ)」を中核に、顧客への提供価値の変革、そして、新たな組織能力の獲得、つまりは、企業そのものの変革が求められています。

◾️DX推進にむけた企業の現状と課題

国内企業の多くはDX推進に取り組んでいるものの、実際のビジネスモデルや組織の本格的な変革には至っていません。

2018年に経済産業省が作成した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」の中で、既存システムの問題を解決しなければDXが実現できず、2025年以降、最大毎年12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘が鳴らされています(いわゆる「2025年の崖」問題)。

また、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表している世界デジタル競争力ランキングで、日本は63か国中27位と、デジタル技術の活用に関して米国(1位)、韓国(8位)、イギリス(13位)、中国(16位)などに大きく後れを取っています。特に深刻なのが、ビジネスにデジタル技術をいかに迅速に活用できるか(ビジネスアジリティ)やデジタル技術を活用する人材の項目です。これらの項目については、開発途上国も含めた63か国中日本は最下位と評価されています。

企業がこういったビジネスアジリティを高め、デジタル人材を育成・獲得していくためには、これまでのように情報システム部門主導でIT戦略を検討するのではなく、経営幹部、事業部門、情報システム部門などの関係者が一体となり、データやデジタル技術を使ってどのような価値を創出したいのか、そのため現状と課題、とるべきアクションについての共通認識を持ち、実行につなげていくことが重要となります。

NRI ナレッジ・インサイト
https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/alphabet/dx

★グリーントランスフォーメーション(GX)

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石エネルギーを中心とした現在の産業構造・社会構造を、クリーンエネルギー中心へ転換する取り組みのことをいいます。

化石エネルギーとは石炭や石油、天然ガスのことで、クリーンエネルギーとは太陽光や風力発電のようにCO2(二酸化炭素)を排出しないエネルギー源のことを指します。例えば、工場や事業所での電力を、水力・風力・太陽光などの再生可能エネルギーに転換することや、家庭の古い冷暖房機器を効率のよいヒートポンプ式に更新することもGXです。

<中略>

GXは、単に化石燃料をクリーンエネルギーに切り替えるだけではなく、それによって起こる産業や社会の構造の変化や再構築までを含めた取り組みです。脱炭素社会を構築しながら、私たちの産業や生活を維持するだけでなく、むしろ発展させ、より快適な社会を作ることを目的としています。

朝日新聞SDGs ACTION!『GX(グリーントランスフォーメーション)とは 政府や企業の取り組みを解説』
https://www.asahi.com/sdgs/article/15029672より

★カー ボンニュートラル

カーボンニュートラルとは
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。

「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。

※ここでの温室効果ガスの「排出量」「吸収量」とは、いずれも人為的なものを指します。

カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減 並びに 吸収作用の保全及び強化をする必要があります。

地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として、

世界的な平均気温上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保つとともに(2℃目標)、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)

今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
等に合意しました。

この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。

環境省 脱炭素ポータル
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/より

・国家戦略特別区域法(スーパーシティ法)

スーパーシティ法案とは、正式名称を「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」という、規制改革制度です。より柔軟で迅速な規制緩和や特例措置が設定できるように、従来まで規制特例の設定に使われていた「国家戦略特別区域法」を大幅に改定しました。スーパーシティ法案を理解するには、スーパーシティ構想と国家戦略特別区が何かを把握することが大切です。まずスーパーシティ構想とはどのような構想を指すのでしょうか。

海外ではIT技術をふんだんに利用し、新産業やイノベーションを創出しているスマートシティが登場しています。これらを日本に取り入れ、第四次産業革命をリードできる最先端都市を作り上げることを目指し、内閣府が打ち出しものがスーパーシティ構想です。しかし、日本にはスーパーシティ構想に必要な要素や技術はあるものの、構想を実施する場所がありませんでした。そこで、スーパーシティ構想を実現するために、これまで規制緩和や特例措置の設定に使われていた「国家戦略特別区域法」に政府は着目しました。

国家戦略特別区域とは、地域振興と国際競争力の向上を目的とした経済特区のことで、一般的には国家戦略特区と呼ばれています。目的は「世界で一番ビジネスをしやすい環境」を作り上げることで、第2次安倍内閣では国家戦略特区を設けることが国家の成長戦略の柱とされています。

国家戦略特区では「解雇ルール」「労働時間法制」「有期雇用制度」の3点の雇用ルールの見直しが図られました。しかし、未来的な都市設計には従来的な岩盤規制の突破を目指した規制緩和だけでは法整備が足りません。

そのため政府は「国家戦略特別区域法」を改正することでスーパーシティ構想の実現を可能にしました。これがスーパーシティ法案です。

スーパーシティ法案では「国家戦略特別区域法」に、新たな特定事業と特例措置が追加されています。加えて、産業技術の有効性の実証による道路や車両の利用を可能とし、ビッグデータや人工知能(AI)などが活用される都市を想定して、国や地方公共団体のデータ提供について改定が行われました。

スーパーシティ法案は従来までの「国家戦略特別区域法」とどの点で異なるのでしょうか。スーパーシティ法案には理解しておくべき3つのポイントがあります。

まず第1に重要なポイントは、スーパーシティ法案では、複数にわたる分野を一体的に改革するための設定ができます。

第2のポイントは、ビッグデータの取扱などが予想されるため、地方公共団体や国が保持するデータを、データ連携基盤整備事業者への提供が可能になったことです。

またスーパーシティ法案では「データ連携基盤」を構築することで、データ提供者とデータを利用するサービスをスムーズに結びつけることが予定されています。しかし、このようなデータのやり取りや、複数の項目をまたぐ規制緩和が、住民の許諾を得ずになされるのは好ましいことではありません。

そこでスーパーシティ法案では、今までの「国家戦略特別区域法」とは異なり、区域計画では、自治体議会での承認と住民の合意が前提となっています。これが第3の重要なポイントです。

規制特例が行われる場合には、地方事務に係る政省令では当該地方自治体の条例の制定が必要です。国の事務の分権やその他の規制特例では、特区諮問会議での審議が求められます。それだけでなく関係省庁の大臣への勧告など、規制特例案を折衝する手続きも定められています。

これらのことから、スーパーシティ法案は従来の国家戦略特区よりも進んだ規制緩和であると同時に、当事者となるものの考えを尊重できる制度設計がなされているといえるでしょう。

ジチタイムズ 編集部『スーパーシティ法案とは?可決までの流れと反対理由をわかりやすく解説します。』
https://www.publicweek.jp/ja-jp/blog/article_07.html

・官民データ活用推進基本法

第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境をより一層整備することが重要であることに鑑み、官民データの適正かつ効果的な活用(以下「官民データ活用」という。)の推進に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他官民データ活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条

この法律において「官民データ」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。第十三条第二項において同じ。)に記録された情報(国の安全を損ない、公の秩序の維持を妨げ、又は公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれがあるものを除く。)であって、国若しくは地方公共団体又は独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)若しくはその他の事業者により、その事務又は事業の遂行に当たり、管理され、利用され、又は提供されるものをいう。
<2「人工知能関連技術」略>
<3「インターネット・オブ・シングス活用関連技術」 略>

(基本理念)
第三条
官民データ活用の推進は、デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)及びサイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)その他の関係法律による施策と相まって、個人及び法人の権利利益を保護しつつ情報の円滑な流通の確保を図ることを旨として、行われなければならない。

2官民データ活用の推進は、地域経済の活性化及び地域における就業の機会の創出を通じた自立的で個性豊かな地域社会の形成並びに新たな事業の創出並びに産業の健全な発展及び国際競争力の強化を図ることにより、活力ある日本社会の実現に寄与することを旨として、行われなければならない。

3官民データ活用の推進は、国及び地方公共団体における施策の企画及び立案が官民データ活用により得られた情報を根拠として行われることにより、効果的かつ効率的な行政の推進に資することを旨として、行われなければならない。

4官民データ活用の推進に当たっては、情報通信技術(デジタル社会形成基本法第二条に規定する情報通信技術をいう。以下同じ。)の利用における安全性及び信頼性が確保されるとともに、個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにされなければならない。

5官民データ活用の推進に当たっては、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化及び効率化に資するよう、国民の利便性の向上に資する分野及び当該分野以外の行政分野において、情報通信技術の更なる活用の促進が図られなければならない。

6官民データ活用の推進に当たっては、個人及び法人の権利利益を保護しつつ、個人に関する官民データの適正な活用を図るために必要な基盤の整備がなされなければならない。

7官民データ活用の推進に当たっては、官民データを活用する多様な主体の連携を確保するため、情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保その他の官民データの円滑な流通の確保を図るために必要な基盤の整備がなされなければならない。

8官民データ活用の推進に当たっては、官民データの効果的かつ効率的な活用を図るため、人工知能関連技術、インターネット・オブ・シングス活用関連技術、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の先端的な技術の活用が促進されなければならない。

e-gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC1000000103より抜粋・協調

ここまでの、目的及び理念で概要はつかめます。

長くなりますが、第四条以降の条文は次のとおりです。
ポイントとなる部分を太字にしました。

(国の責務)
第四条
国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、官民データ活用の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第五条
地方公共団体は、基本理念にのっとり、官民データ活用の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の経済的条件等に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(事業者の責務)
第六条
事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、自ら積極的に官民データ活用の推進に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する官民データ活用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

第二章 官民データ活用推進基本計画等
(官民データ活用推進基本計画等)
第八条
政府は、官民データ活用の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、官民データ活用の推進に関する基本的な計画(以下「官民データ活用推進基本計画」という。)を定めなければならない。
<略>

(都道府県官民データ活用推進計画等)
第九条
都道府県は、官民データ活用推進基本計画に即して、当該都道府県の区域における官民データ活用の推進に関する施策についての基本的な計画(以下この条において「都道府県官民データ活用推進計画」という。)を定めなければならない。
<略>

(手続における情報通信技術の利用等)
第十条
国は、行政機関等(情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第二号の行政機関等をいう。以下この項において同じ。)に係る申請、届出、処分の通知その他の手続に関し、電子情報処理組織(行政機関等の使用に係る電子計算機と当該行政機関等の手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことを原則とするよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 国は、民間事業者等(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十六年法律第百四十九号)第二条第一号の民間事業者等をいう。以下この項において同じ。)が行う契約の申込みその他の手続に関し、電子情報処理組織(民間事業者等の使用に係る電子計算機と当該民間事業者等の手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により行うことを促進するよう、必要な措置を講ずるものとする。

国は、法人の代表者から委任を受けた者が専ら電子情報処理組織(当該委任を受けた者の使用に係る電子計算機とその者の契約の申込みその他の手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いて契約の申込みその他の手続を行うことができるよう、法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

(国及び地方公共団体等が保有する官民データの容易な利用等)
第十一条
国及び地方公共団体は、自らが保有する官民データについて、個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにしつつ、国民がインターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて容易に利用できるよう、必要な措置を講ずるものとする。

事業者は、自らが保有する官民データであって公益の増進に資するものについて、個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにしつつ、国民がインターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて容易に利用できるよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

国は、官民データ活用を推進するため、官民データの円滑な流通に関連する制度(コンテンツ(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(平成十六年法律第八十一号)第二条第一項に規定するコンテンツをいう。)の円滑な流通に関連する制度を含む。)の見直しその他の必要な措置を講ずるものとする。

(個人の関与の下での多様な主体による官民データの適正な活用)
第十二条
国は、個人に関する官民データの円滑な流通を促進するため、事業者の競争上の地位その他正当な利益の保護に配慮しつつ、多様な主体が個人に関する官民データを当該個人の関与の下で適正に活用することができるようにするための基盤の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

(個人番号カードの普及及び活用に関する計画の策定等)
第十三条
国は、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。以下この項において同じ。)の普及及び活用を促進するため、個人番号カードの普及及び活用に関する計画の策定その他の必要な措置を講ずるものとする。

2国は、電子証明書(電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。)を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録(電子計算機による情報処理の用に供されるものに限る。)をいう。)の発行の番号、記号その他の符号に関連付けられた官民データについては、その利用の目的の達成に必要な範囲内で過去又は現在の事実と合致するものとなること及び漏えい、滅失又は毀損の防止その他の安全管理が図られることの促進のために必要な措置を講ずるものとする。

(利用の機会等の格差の是正)
第十四条
国は、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差の是正を図るため、官民データ活用を通じたサービスの開発及び提供並びに技術の開発及び普及の促進その他の必要な措置を講ずるものとする。

(情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保等)
第十五条
国及び地方公共団体は、官民データ活用に資するため、相互に連携して、自らの情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保、業務の見直しその他の必要な措置を講ずるものとする。

2国は、多様な分野における横断的な官民データ活用による新たなサービスの開発等に資するため、国、地方公共団体及び事業者の情報システムの相互の連携を確保するための基盤の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

(研究開発の推進等)
第十六条
国は、我が国において官民データ活用に関する技術力を自立的に保持することの重要性に鑑み、人工知能関連技術、インターネット・オブ・シングス活用関連技術、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の先端的な技術に関する研究開発及び実証の推進並びにその成果の普及を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(人材の育成及び確保)
第十七条
国は、官民データ活用に係る専門的な知識又は技術を有する人材を育成し、及び確保するために必要な措置を講ずるものとする。

(教育及び学習の振興、普及啓発等)
第十八条
国は、国民が広く官民データ活用に関する関心と理解を深めるよう、官民データ活用に関する教育及び学習の振興、啓発及び知識の普及その他の必要な措置を講ずるものとする。

(国の施策と地方公共団体の施策との整合性の確保等)
第十九条
国は、官民データを活用する多様な主体の連携を確保するため、官民データ活用の推進に関する施策を講ずるに当たっては、国の施策と地方公共団体の施策との整合性の確保その他の必要な措置を講ずるものとする。

https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/range.html


・デジタル社会形成基本法

デジタル社会形成基本法は、2021年5月12日に可決された、以下の6つの法律からなるデジタル改革関連法のひとつになります。
・デジタル社会形成基本法
・デジタル庁設置法
・デジタル社会の形成を図るための関連法案の整備に関する法律
・公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録に関する法律
・預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律
・地方公共団体情報システムの標準化に関する法律

これら6つの法律のなかでも、デジタル社会形成基本法は、日本におけるデジタル社会の形成についての基本理念を示す法律で、一連の法律の中核となるものです。具体的には、デジタル社会の形成に関する基本理念や施策策定の基本方針、国・地方公共団体・事業者の責務、デジタル庁の設置、重点計画の作成について定めています。

これまで、情報通信技術を活用するネットワーク社会の形成に関する施策を推進するための法律として「情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」がありましたが、制定時(2000年)から20年以上が経過し、データの多様化・大容量化が進むなか、さらなるデータ利活用の推進や、新型コロナウイルス感染症への対応において浮上したさまざまな社会課題に対応するために、IT基本法に代わる新法としてデジタル社会形成基本法が制定されました。デジタル社会形成基本法の成立とともにIT基本法は廃止されています。

日経BPガバメントテクノロジー
https://project.nikkeibp.co.jp/jpgciof/atcl/19/00003/00007/

具体的な法文は下記を参照。令和5年と6年に一部改正されている。

   *****

今回は、社会における IT 利活用の「動向」の項目でした。

  • 第4次産業革命

  • Society5.0

  • 超スマート社会

  • データ駆動型社会

  • デジタルトランスフォーメーション(DX)

  • グリーントランスフォーメーション(GX)

…のような、
白書などで用いられている「動向」を表す用語は、これまでも聞いたことがあるものでしたが、

  • 国家戦略特別区域法(スーパーシティ法)

  • 官民データ活用推進基本法

  • デジタル社会形成基本法

…といった関係法令は、「初めまして」でした。
ひさしぶりに条文を逐一読みました。
教職教養の勉強をした時以来です。

ていねいに読んでみると、目的・理念・主体ごとの責務・関連事項といった大きな流れで読めば良いことがわかります。

しかし、過去問を見ることで、どのように出題されるのかを確かめておく必要があると感じました。


次回は、
①「ストラテジ(経営戦略)系」
>「2. 業務分析・データ利活用 」
>(1) 業務の把握
 (2) 業務分析と業務計画
についての予定です。

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