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ときどき復讐に囚われていた
被害を受けたので加害者男性たちを憎んでいた。今となっては関わるだけ無駄なことだと感じている。そもそも復讐なんてしたくない。暴漢に死を、迫害者を殺害せよ、というのが以前抱いていた標語だけれど、そんな活動家みたいなことに突き進むことももはやない。夢だ。妄想だ。憧れだ。ロマンだ。暴漢への反逆というストーリーが楽しませてくれた。東京に核を落とせとか、戦争が起きてほしいとか、そういった破滅願望の産物。もはや
もっとみるいちにちひとつの備蓄品
一日ひとつ。レモンゼリー、やきとり、さばみそ、おにぎり、おかゆ、天然水、CBD。一日ひとつ。一日三千円。一週間、二週間、三週間。ひとつき三回、備蓄品。レインコート、グローブ、シューズ、懐中電灯、ホイッスル、救急セット、ペーパートランクス、フォークスプーン。一日ひとつ。七日に二つ。買いすぎない。少しずつ。半年かけて。毎月一万円。いちにちひとつ。Amazonで購入する。歯磨きペーパー、ヘルメット、みか
もっとみる公園 魔女 カラス 散歩
その日は曇りでした。僕たち4歳児たちは港町の公園を散歩していた。そこに1人の女性が現れます。全身の暗い姿をした魔女です。ショッピングカートを押して歩いており、カートにはカラスが下と上に2羽、鳩が3羽乗っています。僕ら4歳児は興味深げに彼女を取り囲みますが、彼女は子供の群れを忌避しているようです。黒いドレスに黒いハットの魔女。使い魔たちは普段は遠くにいて触れることのない動物たちです。彼女は今もあの公
もっとみる暴漢を殺害せよ、迫害者に死を
かつて僕が受けた性被害について記録します。それは中学二年生の頃のことです。当時クラスで男たちから集団暴行を受けていた僕はその日もあまり彼らとは関わらないようにと避けていました。すると突然お尻の穴に激痛が走ります。臼井くんが僕のお尻に勢いよく指を刺したのです。僕は痛みのあまり蹲り、そこからしばらく歩けませんでした。臼井くん(※暴漢と記す)暴漢は面白がり一人で笑っています。思えばこんなことばかりの日々
もっとみる成人式には行きませんでした
成人式は震災の翌年にあったと思います。その日は強く雪が降っていてとても寒かったのを覚えています。地下鉄に乗ろうとしたら満員で駅に置き去りにされ、会場に入るや中の人混みに驚いてそのまま入らずに帰りました。帰りの道で水たまりに入りとても冷たい思いをしました。成人式には行かなかったけれどどんなところなのか気になりました。その頃の僕は何をして過ごしていたのかを覚えていません。予備校に通って映画を見て猫に餌
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