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遺品整理費用を減らし健康な生活も手に入れて

生前整理とは、生きているうちに身の回りの不用品などを整理しておくこと。亡くなってから、残された人が膨大な遺品の整理に困らないようにするため行います。でも不用品を整理すればスッキリ明るい気持ちで暮らせるなど、自分の生活にも良い変化が。なるべく死後の負担が少なくなる生前整理の方法を、最近話題の「デジタル終活」も含めて解説します。


身内だけで行う遺品整理はけっこう大変

身内が亡くなると、部屋に残った遺品を片づけなければなりません。ときには一軒家を全て空にしたり、賃貸マンションの一室をスピーディーに原状回復したりする場合もあります。
 
一方で、遺品整理をしなければならない当の遺族は忙しい働き盛りや、年老いて足腰が弱っていることが多いもの。遠方のためなかなか整理に通うことができず、整理に何年もかかってしまったという話もよく聞きます。
 
そこで登場しているのが、遺族に代わって遺品整理を行う事業者です。不用品の処分だけでなく、不用品と必要なものの仕分けや、通帳など貴重品の捜索を行ってくれるため、遺族にとってはとても心強い存在。ここ10数年ほどで、全国的に事業者が増えてきています。

遺品整理にかかる費用は15万円から40万円

事業者に遺品整理を依頼すると、3LDKでおよそ15万円から40万円ほどの費用がかかります※1。相場に幅があるのは、遺品の量や作業の大変さによって費用が変わってくるためです。
 
部屋が比較的きれいな状態で遺品が少なければ、遺品整理の料金は安く済みます。一方で、ゴミがうず高く積まれていたり、処分しなければならない大型の家財がたくさんあったり、汚れた部屋の原状復帰まで依頼したりすると、料金はかさみます。
 
つまり生前にコツコツ不用品の処分を行っていれば、遺品整理にかかる費用はそのぶん節約できるのです。

生前整理のメリットは費用面だけにとどまらない

生前整理のメリットは、遺品整理にかかる負担を軽減するだけにとどまりません。次の3つの効果が期待できます。

  1. 部屋の中がスッキリして気分が明るくなる。
    数十年間、「いつかは使うかもしれない」としまい込んできたものはありませんか。ホコリをかぶったそれらは、もしかしたらもう手放した方がいいかもしれません。思い切って手放せば、家の中が片付きますし、キレイな状態に気分も晴れ晴れとします。

  2.  家の中のものにつまずく心配が減る
    年を重ねると物を移動させるのがおっくうになり、廊下の片隅に段ボールを置くなど、足元に荷物が溜まりがちです。すると何かの拍子に物につまずいて転ぶ可能性が高くなってしまいます。
    高齢になってからの転倒は、骨がもろくなっていることから骨折の危険性が高まります。そのまま寝たきりになってしまうこともあるため、生前整理で家の中をスッキリさせておくのは大事です。

  3.  重要書類をまとめるきっかけになる
    家の中の整理を始めると、思いがけないところで保険関係など重要な書類が見つかることがあります。生前整理を機に、財産関係の書類を一箇所にまとめておけば、残される人にとっても便利です。

生前整理、おすすめの順番

本来、生前整理は思いついたことから初めてよいものです。しかし、「何から始める?」「どんなことをすればいい?」と迷う人もいるでしょう。おすすめの順番について解説します。

  1. キッチンや薬棚、脱衣所の不用品を整理
    まずは誰が見ても「不用」と分かる、賞味期限や使用期限の切れたものを処分します。キッチン、薬棚、脱衣所の棚はとくに使用期限のあるものが多く、よって物を捨てやすい環境が揃っています。
    期限切れのものを惜しみなく捨てれば「捨てグセ」がつき、次に不用品を見つけたときためらいなく処分できるようになります。
    コンビニでもらったナプキンは時間が経つと開封していなくても乾燥しますし、輪ゴムは経年劣化で切れやすくなります。このように、無料でもらって「いつか使おう」と思っていた品も、古い物は潔く処分しましょう。

  2.  タンスの中を整理
    タンスの中もまた、不用品が出やすいところです。サイズが合わない、流行りが過ぎた、若向けすぎるなどの理由で今後手に取らない服は、どんどん処分しましょう。処分がためらわれる高価な品は、リユースショップに持参するのも一案です。しかしものが溢れている現代、二束三文と覚悟を決めて持ち込みましょう。

  3.  物置を整理
    物置の中は、「いつか何かの役に立つだろう」と取っておいたもので溢れているかと思われます。しかし、何十年も出番がなかったなら、今後も使うチャンスはないと考えた方がいいでしょう。惜しいと思ったら、配偶者や子世代などの意見も聞いてみて。「処分した方がいい」と言われたら、潔く手放すのがおすすめです。

  4.  不用な大きい家財を空にし処分
    ここまで整理が進めば、古いタンスやカラーボックスなどの中を空にすることができるかと思います。大きな家財は、体が軽快に動くうちに処分しましょう。足腰が弱くなってからでは、他人の力を借りなければ大きいものを動かせなくなります。

  5. 子世代に部屋の整理をさせる
    実家を物置にしている子どもはいませんか。子世代が帰省した際に、自分たちのものを整理させる機会を作りましょう。学習机や本棚など、もう使わないものは処分を。

  6. アルバムなど思い出の品を整理
    生前整理の中でも最も難しいのが、思い出の品の整理です。とくにアルバムの中の写真を処分するのは勇気がいるという人もいることでしょう。アルバムの整理は、少しずつでいいのです。同じようなショットの中から一枚だけ残すといった、ためらいの少ない作業から始めてはいかがでしょうか。

「デジタル終活」は可視化がポイント

 
家の中の生前整理と並行して進めたいのが、デジタル終活です。デジタル終活とは、パソコンやスマホの中身、またネット上の情報を整理し、残された人がアクセスしやすいようにしておくことです。
 
アプリやデータの処分はスムーズにいっても、ネット上に散らばったアカウントの整理はなかなか進まない……という人もいるでしょう。それは、アプリやデータのように可視化された状態の情報が少ないからといえます。
 
いっそ、どんなサービスに入会してどんなアカウントを使っているか、紙に書き出してみてはいかがでしょう。見えないものを可視化すると、整理しやすくなります。自分が今後ネットを使うにあたっても、整理された情報が可視化されていた方が便利に利用できます。
 
デジタル終活については、以下の記事でも詳しく解説しています。参考にしてください。
 
全ての現代人に必須のデジタル終活って?ネット上の情報が遺品になる前にやっておきたいこと【前編】まずはデジタル終活の「ギリギリ合格」を目指す!たったの1分で作業は終了!?
 
全ての現代人に必須のデジタル終活って?ネット上の情報が遺品になる前にやっておきたいこと【後編】他の遺品整理と変わらぬ視点でデジタル終活を
 
※4 「みんなの遺品整理」(https://m-ihinseiri.jp/
2023年1月20日時点のデータ。800社以上の業者のホームページ、3万人以上の実際に利用した金額データから算出

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