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南の島に行ったと言い張ろうとしてる日曜日。

いきなり寒くなるなんて、もう少し遠慮がちに寒くなってほしい。

日曜日は朝から天気も悪くて、雨の日曜日かーなんて思ったけれど最近の私はそうはいかない。
お出かけ決行。
誘われて南の島へ行くことにした。
街の船着場から正味10分で着く南の島。
いや待てよ、地図でちゃんと見ると北じゃん。
あー夢見る島はいつも南だし、島にくっつく単語といえば南なのよね。

まあいい、とにかく船にも乗れたしとりあえず海を渡った訳だからよしとする。

こんな天気でも結構行く人がいるのねと思いながら、韓国語とか中国語とか英語とかドイツ語とかを聞きながながら、いつもならすぐにデッキに行く派なのに、今日はお利口に船内。

雲がなんかイカす。

こんな天気でも、子供たちと物好きな大人は「たった10分じゃない」ってデッキに出て行ってはしゃいでた。
2分もしないで船内にで戻ってきた。
だよね、と1人、ほくそ笑む。

到着。エッ、なんかいい匂いする。
ハンバーガー屋さんじゃん!着いてすぐ食べる?うわっどうする?
現金のみです!やられた、やらかした。
離島、海を渡ったとはいえ街を離れてたった10分でこれか。
えっもしかしてネット使えないの?まさかね。
あーーーそうだ私はここにハンバーガーを食べに来たわけじゃない。
展望台に行くんだ!高いところに登って見下ろしてやるんだ!何を?

後ろ髪を引かれつつバスに。
恐ろしいのはこんな一周12キロくらいの島にもバスがあるって事。
とりあえず売店でキャラメルポップコーンを買って乗り込んだ。
売店の軒先にあったカップ入りのキャラメルポップコーンの蓋が、若干埃でざらついていた。いつもなら絶対買わないけれど、ここはひとつ、そんなにお店もなさそうだし小腹が空く事間違いなしなので、緊急時に備えて180円払う。
小銭はある。

映画なら、
だから、やめとけばよかったんだよ的な導入部。

ついた。バスを降りた。なんか怖っ。
なんだろう、展望台入り口とやらでバスを降りたのは私たちだけ。

おまけによく言えばトトロが早速登場しそうな感じなんだけど、それを超える異界の者達がそこら辺にへばりついてる感じ。
「やばくない?ここ」
「そんな事ないでしょって言いたいけど、なんかね」
おいおいおい。
早く森を抜けて開けた場所にゴーだ。
いつもより足早にヒーヒー言いながら、上り坂を登る。
こういう時に限って可愛い鳥の声さえ聞こえない。
どこにでもいるカラスがガーガー言ってるだけ。

よし、着いた。
開けてる、確かに展望台もある。
でもなあー、そんなに清々しくもない。
展望台の横に畑があって、トラックに乗って来たらしきおばさんがスマホで何やら動画を撮って、誰かに送りながら話してる。
畑の横に軽トラも止まってるし、見た感じ地元の人だな。

妄想が始まる。
シチリアの小さな島の小高い隠された日当たりの良い畑で、イケナイ葉っぱを栽培してるマフィアのお手伝いさんが、生育具合をボスに報告してるビジョンとかぶる。
絶対これもそうだ!
面白くないから面白行くしようとして、一緒に行った人にそう言ったら
「それは良いから、展望台に登ろう」と軽くいなされる。ふん。

展望台を降りる階段のところで見つけた。
ほら見ろ、危ない場所なんだよ、ここは。

登ってる最中に天気が回復。
ちょっと良い感じじゃない?
やっぱバカと煙は高いところが好きっていうし、私もバカと煙の仲間だから、高いところに着くとなんだか気分が上がって途端に幸せ。
うーーーーーみーーーーーーー。
ちょっとばかり木が茂ってるところがあるけれど、360度海ですよ。

「360度海って、気持ちいいねーすごくない?」
「島っていうのは大抵そうなんじゃない?」
なんだよ、なんか、なんだよ、だ。
日本なんてどこに行ったって360度海だよ。
でもさ、同じ場所でくるっと回って見えるって言いたいんだよ。
北海道の一番高いところに立ったって360度全部海なんて見えないし、沖縄だって見えないだろうよ。
さらっと聞き流してくれよ、いつもの事だろ、私が大して何も考えもしないで思いつきを口にするのは。

よし、展望台にも登ったし、帰るか。
帰り道、鬱蒼とした異界の者達がいた森も、畑の怪しいマフィアのお手伝いさんもいなくなってた。なんか空気まで清々しい。

道の横の柑橘畑の、名前のわからない柑橘を狙おうと思ったけれど、きちんと管理されてるようだったし、まだ青かったのでやめておいた。

その後、なんか整備された区間のみんなが観光目的で行く場所に行ったけど、あんまり冴えなかった。
よくある、都会からほんのちょっこっとだけ離れた場所に作った、観光地とはいえプロっぽくない雰囲気と「ここいらにあるのは自然だけですよ。でも見るならお金は取りますけど」っていう、軽いビジネス感が混じったアップデートされてない空間で、楽しかったのはヤギの親子とウサギとポニーと、海に面した一面の丘に咲いたコスモスくらいかな。これは綺麗だった。

ほわっと幸せそうなやぎさん。

不思議に思って見ていた、船に乗ってる若い女子達が、歩きが多いであろう島に行くのにTPOにあってないミニスカートとか、ふわふわした毛がついたコートとか、踵の高いブーツとか履いてる理由がここでわかった。

写真を撮るためなのね。今、目の前で繰り広げられてる、
「きゃあっ、コスモスぅ、ここで撮って☆」
「あーもう少し、右で、あっそうそう、それでもっと足を前に出して・・・」
なるほど、だからこんなに寒い日に素足にミニスカートなんだ。
根性あるな。
確かに、私みたいな格好でSNSに写真あげたら、どこの山に登ったんですか?おまけに全体的に色悪いっすね。ってなる。

こんな場所も見つけた。
こんなにキラキラしてる感じなのに、
トンネルを抜けると、きっと戻って来られない。きゃぁぁあぁっ。

本土に帰ってきて、どうにもお腹がハンバーガーになってたから、美味しいハンバーグ屋さんが作る、美味しいたっぷりチーズが2種類も入ったハンバーガーを食べてやった。
絶対こっちの方が正解。

って感じの日曜日でした。

お家に帰ってみんなが面白いって言ってる、楽しみにしてた映画を見ようと思ってたのに、お風呂に入ったら体力の限界で無理だった。
それ見られたら、完璧なお休みだったのに。

でも、お楽しみは、とっておいてもお楽しみだからいいや。



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